保守
推奨される定期整備作業
整備間隔 | 整備手順 |
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After the first 2 operating hours |
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After the first 8 operating hours |
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After the first 10 operating hours |
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After the first 50 operating hours |
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Before each use or daily |
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Every 25 hours |
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Every 50 hours |
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Every 100 hours |
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Every 200 hours |
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Every 400 hours |
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Every 600 hours |
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Every 800 hours |
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Every 1,000 hours |
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Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。
危険
許可を受けた有資格者以外には保守、修理、調整、点検などの作業をさせないでください。
作業場には危険物を置かぬようにし、また、防火機 器を備えること。 燃料やバッテリー液、オイルなどの点検に裸火を使用しないこと。ガソリンや溶剤を使ってパーツ(部品)を洗浄する時には必ず密閉型の洗浄容器を使うこと。
注意
始動キーをつけたままにしておくと、誰でもいつでもエンジンを始動させることができ、危険である。
整備・調整作業の前には必ず始動スイッチからキーを抜いておくこと。
悪条件下で使用する場合
Important: 以下のような条件で使用する場合には、保守間隔を通常の半分に短縮し、より頻繁な整備を行ってください:
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砂漠、荒れ地での使用
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酷寒地(0°C以下)での使用
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トレーラ作業
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非常にほこりの多い条件下での頻繁な使用
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建設現場での使用
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泥、砂、水などの悪条件下で長時間使用した場合は、直後にブレーキの洗浄と点検を行う。 これにより無用な摩耗を防止することができる。
整備前に行う作業
整備作業の多くは、荷台の昇降作業を伴います。けがや死亡事故を防止するために以下の点にご注意ください:
警告
荷台に資材を積んだままで荷台を上昇させ、確実に支持しないと荷台が急に降下する可能性がある。適切に支持されていない荷台の下での作業は危険である。
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車両の整備や調整を行う時には、まず平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止させてキーを抜き取ること。
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荷台の下で作業するときは荷台もアタッチメントも空にし、昇降シリンダが完全に延びた状態にして荷台を安全サポートで支える。
安全サポートの使い方
Important: サポートの取り付け・取り外しは必ず荷台外側から行う。
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荷台を上げ、シリンダが完全に伸びたのを確認する。
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ROPS パネルの後ろについている保管用ブラケットから荷台サポート(安全サポート)を取り外す(Figure 32)。
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サポートをシリンダロッドにはめ込み、安全サポートの端部でシリンダバレルの端とシリンダロッドの端を確実に支える(Figure 33)。
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荷台を下げる時は、安全サポートを取り外して元の位置(ROPS パネル後ろ保管用ブラケット)に収納する。
Important: 昇降シリンダに安全サポートを取り付けたままで荷台を下げようとしないこと。
フルサイズ荷台の取外し
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エンジンを始動し、油圧昇降レバーで荷台を降下させてスロットの中でシリンダが遊んでいる状態にする。
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昇降レバーから手を離し、エンジンを停止する。
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シリンダの外側端部からリンチピンを外す(Figure 34)。
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シリンダロッドの端部を荷台取り付けプレートのスロットに固定しているクレビスピンを内側に押し込んで外す(Figure 34)。
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ピボットブラケットをフレームに固定しているリンチピンとクレビスピンを外す(Figure 34)。
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車体から荷台を外す。
Important: フルサイズ荷台は約148kg の重量があり、一人で作業することは不可能である。必ず 2 人または 3 人で行なうか、ホイストを使うこと。
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シリンダを格納用クリップで固定する。
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油圧昇降レバーを誤って操作しないように、ロックしておく。
フルサイズ荷台の取付け
Note: 荷台に側板を取り付ける場合は、先に側板を取り付けてから荷台を車両に取り付けると楽に作業ができます。
Note: 後部のピボットプレートは下端を後部に向けて荷台フレーム(チャネル鋼材)にボルトで固定されています(Figure 35)。
Important: フルサイズ荷台は約148kg の重量があり、一人で作業することは不可能である。必ず 2 人または 3 人で行なうか、ホイストを使うこと。
Note: スペーサブラケットとウェアブロック(Figure 36)はキャリッジボルトで固定しますが、このボルトは必ず頭を車両の内側に向けてください。
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シリンダが完全に縮んだのを確認する。
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荷台を慎重に車両フレームの上に載せる; 後部にある荷台のピボットプレートの穴とリアフレーム(チャネル鋼材)の穴を揃えて、クレビスピンとリンチピン(各2個)を取り付ける(Figure 36)。
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荷台を下げた状態のまま、各シリンダロッド端部を荷台取り付けプレートのスロットに固定する; クレビスピンとリンチピンを使用。
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クレビスピンは荷台の外側から差し込み、リンチピンが荷台の外側に向いているようにする(Figure 36)。
Note: 後ろ側のスロットはフルサイズ荷台の取付け用で、前側のスロットは2/3荷台の取付け用。
Note: エンジンを掛けてシリンダを伸縮させないと穴の位置が揃わないことがあります。
Note: 使っていない穴をボルトとナットでふさいでおくと、組立て時の間違いを防ぐことができます。
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エンジンを掛け、油圧昇降レバーを操作して荷台を上げる。
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昇降レバーから手を離し、エンジンを停止する。
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荷台の安全サポートを取り付けて、誤って荷台が下がってこないようにしておく;安全サポートの使い方を参照。
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クレビスピンの内側の端部にリンチピンを取り付ける。
Note: 荷台にテールゲート自動開放装置を搭載している場合は、リンチピンを取り付ける前に、必ず、フロントダンプリンクロッドが左側のクレビスピンの内側にきていることを確認してください。
車体をジャッキで持ち上げる場合
危険
ジャッキに載っている車体は不安定であり、万一外れると下にいる人間に怪我を負わせる危険が大きい。
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ジャッキアップした状態では車両を始動しない。
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車両から降りる時は必ずスイッチからキーを抜いておく。
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ジャッキアップした車両には輪止めを掛ける。
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ジャッキアップした状態でエンジンを始動してはならない;エンジンの振動や車輪の回転によって車体がジャッキから外れる危険がある。
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ジャッキアップした車体の下で作業するときは、必ずスタンドで車体を支えておくこと。万一ジャッキが外れると、下にいる人間に怪我を負わせる危険が大きい。
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車両前部をジャッキアップする時は必ず 510cm 程度の角材等をジャッキとフレームの間にかませる。
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車両前部のジャッキポイントは前中央のフレームサポート(Figure 37)、後部のジャッキポイントはアクスル下(Figure 38)にある。
フードの外しかた
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ヘッドライトの開口部でフードをつかみ、フードを持ち上げて、下側の取り付けタブをフレームの穴から外す(Figure 39)。
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フードの下側を手前に持ち上げてから下に引っ張り、上側の取り付けタブをフレームの穴から外す(Figure 39)。
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フードの上側を手前に倒し、ヘッドライトからワイヤコネクタを抜く(Figure 39)。
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フードを外す。
フードを取り付ける
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ライトを接続する。
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上側の取り付けタブをフレームの穴に差し込む。
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下側の取り付けタブをフレームの穴に差し込む。
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フードが上下左右の溝にしっかりはまっていることを確認する。
潤滑
ベアリングとブッシュのグリスアップ
定期的に、全部の潤滑個所にNo.2汎用リチウム系グリスを注入します。
グリスアップ箇所は以下の通りです:
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ボールジョイント(4)、タイロッド(2)、ピボットマウント(2)、ステアリングシリンダ(2)(以上はFigure 40)
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キングピンのブッシュ(2ヶ所)(以上はFigure 41)
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クラッチ(1)とアクセル(1)とブレーキ(1)(以上はFigure 42)
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Uジョイント(18)、4輪駆動シャフト(3)(以上はFigure 43)
Important: ドライブシャフトとユニバーサルシャフトベアリングのクロス部分では、4つのカップ全部からグリスがはみ出てくるまでグリスを入れてください。
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異物を押し込んでしまわないよう、各グリスニップルをきれいに拭く。
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グリスガンでグリスを注入する。
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はみ出したグリスはふき取る。
エンジンの整備
エアクリーナの整備
定期的にエアクリーナとホースアセンブリを点検し、エンジンの保護と寿命の安定をはかってください。エアクリーナ本体にリーク原因となりそうな傷がないか点検する。ボディーが破損している場合は交換してください。
エアクリーナのフィルタの点検・交換は以下の要領で行います:
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エアクリーナのラッチを外し、ボディーからカバーを抜き出す(Figure 44)。
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ダストカップ側をひねって開き、内部にあるゴミを捨てる。
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エアクリーナのボディーから、フィルタをしずかに引き出す (Figure 44)。
Note: ボディの側面にフィルタをぶつけないように注意すること。
Note: フィルタは清掃しないでください。
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新しいフィルタの外側から照明を当ててフィルタの内側を点検し、傷などがないか確認する。
Note: フィルタに穴があいているとその部分が明るく見える。
Note: 破れや油汚れ、ゴムシールの傷がないか点検する。破損しているフィルタは使用しない。
Note: エンジンを保護するため、必ずエアフィルタを取り付け、カバーをつけて運転してください。
Note: エアフィルタのハウジング内部にほこりを落とさないように充分注意してください。
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フィルタをゆっくり押し込むようにしてボディチューブに取り付ける(Figure 44)。
Note: 一次フィルタの外側リムをしっかり押さえて確実に装着してください。
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上下方向を間違えないように、エアクリーナカバーを正しく取り付け、ラッチを掛ける(Figure 44)。
エンジンオイルとフィルタの交換
オイル容量: 3.2 リットル(フィルタを含む)
オイルのタイプ: 洗浄性オイル(API 規格 SJ またはそれ以上)
オイルの粘度: 10W-30;Figure 45に示す図から適切な粘度を選択する。
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荷台装着車の場合は荷台を上げ、サポートを取り付けて、荷台を固定する。
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ドレンプラグを外してオイルを容器に受ける(Figure 46) 。
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オイルが抜けたらドレンプラグを取り付ける。
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オイルフィルタを外す(Figure 46)。
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新しいフィルタのシールに薄くエンジンオイルを塗って取り付 ける。
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ガスケットが取り付けプレートに当たるまで手で回して取り付け、そこから更に1/2~2/3 回転増し締めする。
Note: 締めすぎないように注意すること。
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クランクケースに所定のオイルを入れる。
燃料系統の整備
燃料ラインと接続の点検
燃料ラインの劣化・破損状況やゆるみが出ていないか点検を行ってください。
Close section燃料フィルタ・水セパレータの整備
燃料フィルタ・水セパレータからの水抜き
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燃料フィルタの下に汚れのない容器をおく(Figure 47)。
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キャニスタ下部のドレンプラグをゆるめて水や異物を流し出す。
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キャニスタ下部のドレンプラグを締める。
燃料フィルタの交換
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水セパレータからの水抜きを行う; 燃料フィルタ・水セパレータからの水抜きを参照。
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フィルタの取り付け部周辺をウェスできれいにぬぐう(Figure 47)。
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フィルタ容器を外して取り付け部をきれいに拭く。
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ガスケットにきれいなオイルを薄く塗る。
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ガスケットが取り付け部に当るまで手でねじ込み、そこからさらに1/2回転締め付ける。
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キャニスタ下部のドレンプラグを締める。
電気系統の整備
ヒューズの整備
救援バッテリーによるエンジンの始動
警告
救援バッテリーによるエンジンの始動はそれなりに危険があり、人身事故や機械を破損するなどの事故を起こす可能性がある。
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救援用のバッテリーの電圧がDC 15V を超えないことを確認する; これ以上の電圧ではワークマン側の電気系統が破損する。
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凍結したバッテリーには絶対に接続してはならない。作業中に破裂や爆発を起こす危険がある。
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バッテリーの取り扱いに関する通常の注意事項を守って作業を行うこと。
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救援車とワークマンを直接接触させないよう十分注意すること。
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バッテリーケーブルの極性を間違えて接続すると電気系統の破壊や人身事故などを起こす可能性があるので注意すること。
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バッテリーカバーをたわめて、タブをバッテリーベースから外し、カバーをバッテリーから取り外す(Figure 50)。
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2 台のバッテリーのプラス(+)端子同士をブースタケーブルでつなぐ(Figure 51)。
Note: 端子を必ず確認すること; バッテリーカバーの「+」の印で確認できることが多い。
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もう 1 本のケーブルを救援車のバッテリーのマイナス(-)端子につなぐ。
Note: バッテリーのマイナス(-)端子の表示を必ず確認すること。
Note: このケーブルの他端は、ワークマンのバッテリー(あがっている方のバッテリー)に直結するのでなく、エンジンとフレームに救援用ケーブルを接続する。但しエンジンの燃料供給部に接続しないこと。
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救援側の車両のエンジンを始動する。
Note: エンジンを始動してから数分間待ち、それから救援される側のエンジンを始動する。
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ケーブルを外す時は、まずマイナスケーブルをエンジンから先に外し、次にバッテリーのマイナス端子から外す。
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バッテリーベースにバッテリーカバーを取り付ける。
バッテリーの整備
警告
CALIFORNIA
Proposition 65 Warning
バッテリーやバッテリー関連製品には鉛が含まれており、カリフォルニア州では発ガン性や先天性異常を引き起こす物質とされています。取り扱い後は手をよく洗ってください。
危険
電解液には触れると火傷を起こす劇薬である硫酸が含まれている。
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電解液を飲まないこと。また、電解液を皮膚や目や衣服に付けないよう十分注意すること。安全ゴーグルとゴム手袋で目と手を保護すること。
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皮膚に付いた場合にすぐに洗浄できるよう、必ず十分な量の真水を用意しておくこと。
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バッテリーの電解液は常に正しいレベルに維持してください。
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バッテリー上部はアンモニア水または重曹水に浸したブラシで定期的に清掃してください。 清掃後は表面を水で流して下さい。清掃中はセルキャップを外さないでください。
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バッテリーのケーブルは、接触不良にならぬよう、端子にしっかりと固定してください。
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端子が腐食した場合は、バッテリーカバーを外し、ケーブルを外し(マイナスケーブルから先に外すこと)、クランプと端子とを別々に磨いてください。磨き終わったらケーブルをバッテリーに接続し(プラスケーブルから先に接続すること)、端子にはワセリンを塗布してください。
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各セルへは、蒸留水またはミネラルを含まない水を電解液適正レベルまで補給してください。水を補給するときは上限(各セルの内側の線の下端)を超えないように注意してください。
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高温環境下で保管すると、涼しい場所で保管するよりもバッテリーは早く放電します。
走行系統の整備
フロントデファレンシャルのオイル交換
デファレンシャルオイルのタイプ: Mobil 424 油圧オイル
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取る。
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デファレンシャル側面にあるドレンプラグの周辺をウェスできれいにぬぐう(Figure 52)。
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ドレンプラグの下にオイルを受ける容器をおく。
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ドレンプラグを外してオイルを容器に受ける。
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オイルが完全に抜けたらドレンプラグを取り付け、締めつける。
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デファレンシャルの下部についている補給・点検プラグの周囲をきれいに拭く。
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補給・点検プラグを外し、プラグの穴の高さまでオイルを入れる。
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補給・点検プラグを取り付ける。
風速安定ボックスの保守
風速安定ボックスに割れや穴、接続部のゆるみがないか点検する。破損個所を発見した場合には、トロのディストリビュータに修理を依頼する。
Close sectionシフトケーブルの調整
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シフトレバーをニュートラル位置にする。
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シフトケーブルをトランスアクスルのシフトアームに固定しているクレビスピンを取る(Figure 53)。
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クレビスのジャムナットをゆるめて、各クレビスを調整する; トランスアクスルのシフトアームの穴の前と後ろでケーブルの遊びが等しくなるようにする(前後それぞれの方向でトランスアクスルレバーの遊びを吸収するように)。
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調整が終わったらクレビスピンを取り付けてジャムナットを締め付ける。
ハイ・ロー切り替えケーブルの調整
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ハイ・ロー切り替えケーブルをトランスアクスルに固定しているクレビスピンを取る(Figure 53)。
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クレビスのジャムナットをゆるめて、クレビスの穴とトランスアクスルブラケットの穴を揃える。
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調整が終わったらクレビスピンを取り付けてジャムナットを締め付ける。
デファレンシャルロックケーブルの調整
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デファレンシャルロックレバーをOFF位置にする。
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デファレンシャルロックケーブルをトランスアクスルのブラケットに固定しているジャムナットをゆるめる(Figure 54)。
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スプリングのフックとトランスアクスルのレバーの穴の外縁との間が 0.25-1.5mm になるよう、ジャムナットで調整する。
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調整が終わったらジャムナットを締めつける。
タイヤの点検
前タイヤの適正空気圧は 220kPa(2.21bar=2.2kg/cm2)、後タイヤは 124kPa(1.24bar = 1.3kg/cm2) です。
運転中に縁石にぶつけるなどした場合、リムが破損したり、トーインが狂ったりする可能性がありますから、このような事故の後では必ず点検してください。
Important: タイヤ空気圧はひんぱんに点検して適正に保ってください。空気圧が適正でないと、タイヤの摩耗が通常より早くなって四輪駆動できなくなる場合があります。
Figure 55は空気圧不足で生じる磨耗の例です。
Figure 56は空気圧過多で生じる磨耗の例です。
前輪の整列の点検
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タイヤをまっすぐ前に向ける。
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後輪の前と後ろで、左右のタイヤの中央線間距離を測る(アクスルの高さ位置で計測)(Figure 57)。
Note: 前後での計測値の差が 03mm の範囲内であれば適切である。タイヤを90°回し、同じように計測して確認する。
Important: 計測はタイヤの同じ位置で行ってください。車両は平らな場所に停めること、またタイヤはまっすぐ前に向けること。
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中心線から中心線までの距離は以下の手順で調整します:
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タイロッドの中心についているジャムナットをゆるめる(Figure 58)。
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タイロッドを回して前タイヤを内向き方向または外向き方向に動かし、タイヤの中央線間距離が所定の値になるようにする。
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正しく調整できたら、タイロッドのジャムナットを締める。
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タイヤが左右に同じだけ切れることを確認する。
Note: タイヤの切れ角度が左右で等しくない場合には、サービスマニュアルを参照して調整する。
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冷却系統の整備
冷却部の清掃
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エンジンを停止させ、エンジン部を丁寧に清掃する。
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ラジエタースクリーンのラッチを外して、ラジエター前面から外す(Figure 59)。
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ラッチを外し、オイルクーラを装備している場合にはそれを倒してラジエターから遠ざける(Figure 60)。
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ラジエターとオイルクーラ、スクリーンを圧縮空気でていねいに洗浄する。
Note: 圧縮空気でごみを吹き飛ばしてください。ラジエターの表面の清掃には水を使用しないでください。
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クーラとスクリーンをラジエターに取り付ける。
エンジンの冷却液の交換
冷却液のタイプ:水とエチレングリコール不凍液の 50/50 混合液
Note: 冷却液を完全に抜き、新しい冷却液を適正レベルまで入れるには、以下の手順を何度か繰り返し行う必要があります。
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平らな場所に駐車する。
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荷台装着車の場合は荷台を上げ、サポートを取り付けて、荷台を固定する。
注意
エンジン停止直後にラジエターのキャップを開けると、高温高圧の冷却液が吹き出してやけどを負う恐れがある。
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エンジン回転中は補助タンクのふたを開けないこと。
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冷却液タンクが十分に冷えるまで15分ぐらい待ってからキャップを開けるようにすること。
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キャップを開けるときはウェスなどを使い、高温の水蒸気を逃がしながらゆっくりと開けること。
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ラジエターキャップを取る。
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冷却液タンクのキャップを取る(Figure 62)。
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下側のラジエターホースを外して、冷却液を容器に回収する。
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冷却液が抜けたら下側のラジエターホースを接続する。
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冷却液ドレンプラグ(エンジン下)を開き、冷却液を容器に受ける。
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冷却液が抜けたらドレンプラグを取り付ける。
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水とエチレングリコール不凍液の50/50 混合液をゆっくりと注入する。
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ラジエターキャップを取りつける。
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補給口の首の根元まで冷却液を入れる。
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エンジンを始動し、アイドリングさせる。
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空気が抜けて液面が下がったら、再び補給口の首の根元まで冷却液を入れる。
Note: エンジンの温度を上げすぎないでください。通常運転時まで上げる必要はありません。
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補助タンクのキャップを取り付けて終了。
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車両を走らせて、エンジンの温度を通常運転時まで上げる。
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マシンを停止させ、機体が冷えるまで待つ。
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冷却液の量を再点検し、必要に応じて補給する。
ブレーキの整備
駐車ブレーキの調整
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駐車ブレーキレバーのゴム製グリップをはずす(Figure 63)。
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調整ノブをブレーキレバーに固定している固定ねじをゆるめる(Figure 64)。
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ノブを回し、20-22kg程度の力でブレーキを作動させられるように調整する。
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調整が終わったら固定ねじを締める。
Note: レバーの調整しろが足りない場合は、レバーを調整の中央までゆるめてから後ろのケーブルを調整し、手順3をもう一度行う。
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駐車ブレーキレバーにゴム製グリップを取り付ける。
ブレーキペダルの調整
Note: 前のフードを外すと調整作業がやりやすくなります。
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マスターシリンダのヨークをブレーキペダルのピボットに固定しているコッターピンとクレビスピンを取る(Figure 65)。
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ブレーキペダル(Figure 66)を持ち上げてフレームに接触させる。
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ヨークをマスターシリンダのシャフトに固定しているジャムナットをゆるめる(Figure 66)。
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ヨークを調節してヨークの穴とブレーキペダルのピボットの穴を揃える。
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ヨークをペダルのピボットに固定する; クレビスピンとコッターピンを使用。
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ヨークをマスターシリンダのシャフトに固定しているジャムナットを締める。
Note: 正しく調整できると、ブレーキのマスターシリンダに力が掛かっていない状態になります。
ベルトの整備
オルタネータベルトの調整
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荷台装着車の場合は荷台を上げ、伸ばした昇降シリンダにサポートを取り付けて、荷台を固定する。
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クランクシャフトとオルタネータのプーリ間の中央でベルトを指で押してベルトの張りを点検する; 押す力は10kg程度(Figure 67)。
Note: 新しいベルトの場合は 8-12mm 程度のたわみが出るのが適正である。
Note: 古いベルトの場合は 10-14mm 程度のたわみが出るのが適正である。たわみの量が適正でない場合は以下の手順へ進む。適正であれば調整は不要です。
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ベルトの張りの調整は以下のように行います:
制御系統の整備
アクセルペダルの調整
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取る。
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アクセルペダルの中央部を 11.3 kg の力で踏んだときに、ペダルと床のすきまが 2.54~6.35 mm となるようにアクセルケーブル(Figure 68)のボールジョイントを調整する(Figure 69)。
Note: 作業はエンジンを停止し、リターンスプリングを取り付けた状態で行います。
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ロックナットを締めつける(Figure 68)。
Important: ハイアイドル速度は最大で3,650rpmです。ハイアイドルストップの設定は変えないでください。
Close sectionクラッチペダルの調整
Note: クラッチペダルのケーブルはベルハウジングでもクラッチペダルのピボットでも調整することができます。フロントフードを外すとペダルピボットに手が届きやすくなります。
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クラッチケーブルをベルハウジング上のブラケットに固定しているジャムナットをゆるめる(Figure 70)。
Note: さらに調整が必要な場合は、ボールジョイントを外して回しても構いません。
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クラッチレバーからリターンスプリングを外す。
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ジャムナットまたはボールジョイントを調整する; 1.8kgの力でクラッチペダルを踏んだ時にペダルの裏面の下端が床のダイヤモンド柄の頂部から 9.2~9.8cm になるようにする(Figure 71)。
Note: クラッチリリースベアリングがプレッシャプレートのフィンガーに軽く触れるように力を掛けてください。
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調整ができたらジャムナットを締めて調整を固定する。
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ジャムナットを締めた後で測定して、正しく 9.2~9.8cmに調整できていることを確認する。
Note: 必要に応じて再調整する。
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リターンスプリングをクラッチレバーに取り付ける。
Important: ジャムナットを締めた後、ロッドの端部がねじれずにぴったりボールに当たり、クラッチペダルと平行になっていることを確認してください(Figure 72)。
Note: クラッチの遊びは絶対に 19mm よりも小さくしないでください。
速度表示単位の切替え
スピードメータの表示単位をMPH(マイル毎時)からKPH(km毎時)に、またKPHからMPHに、切り替えることができます。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取る。
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フードを外す;フードの外しかたを参照。
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速度計のそばに接続されていないワイヤ(2本)を探す。
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コネクタプラグをハーネスワイヤから外して、2本のワイヤをいっしょに接続する。
Note: 速度計の表示単位がKPMに、またはMPHに切り替わる。
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フードを取り付ける。
油圧系統の整備
油圧オイルの交換とストレーナの清掃
油圧オイルの量: 7 リットル
油圧オイルのタイプ: Dexron III ATF
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取る。
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油圧オイルタンクの側面にあるドレンバルブをゆるめ、流れ出すオイルを容器に受ける(Figure 73)。
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タンク側面のストレーナについている油圧ホースと90°フィッティングの向きを確認記憶する(Figure 74)。
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油圧ホースと90度フィッティングを外す。
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ストレーナを外し、裏側から溶剤で洗浄する。
Note: 取り付ける前に自然乾燥させる。
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ストレーナを取り付ける。
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ストレーナに接続する油圧ホースと 90°ィッティングも元通りの向きに取り付ける。
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ドレンプラグを取り付け、締め付ける。
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約 7 リットルの油圧オイルを入れる;トランスアクスル/油圧オイルの量を点検するを参照。
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エンジンを始動させて運転を行い、システム全体にオイルを行き渡らせる。
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オイルの量を点検し、必要に応じて補給する。
Important: 指定された銘柄のオイル以外は使用しないでください。他のオイルを使用すると油圧システムを損傷する恐れがあります。
Close section油圧フィルタの交換
Important: 純正品以外のフィルタを使用すると関連機器の保証が適用されなくなる場合があります。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取る。
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フィルタ取り付け部周辺をウェスできれいにぬぐう。
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フィルタの下に廃油受けを置いてフィルタを外す(Figure 75)。
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新しいフィルタのガスケットにオイルを塗る。
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取り付け部が汚れていないのを確認する。
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ガスケットが取り付けプレートに当たるまで手で回して取り付け、そこから更に1/2回転増し締めする。
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エンジンを始動して2分間運転し、システム内のエアをパージする。
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エンジンを停止し、タンクの油量を点検し、オイル漏れがないか調べる。
ハイフロー油圧オイルとフィルタの交換
油圧オイルの量:約 15 リットル
油圧オイルのタイプ:オールシーズン用 Toro プレミアム油圧オイル(19 リットル缶または 208 リットル缶)。パーツカタログまたは代理店でパーツ番号をご確認ください。
トロ純正品が入手できない場合:Toro のオイルが入手できない場合は、以下に挙げる特性条件および産業規格を満たすオイルを使用することができます。オイルの専門業者と相談の上、適切なオイルを選択してください:
Note: 不適切なオイルの使用による損害については弊社は責任を持ちかねますので、品質の確かな製品をお使い下さる様お願いいたします。
高粘度インデックス/低流動点アンチウェア油圧作動液, ISO VG 46
物性:
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粘性, ASTM D445 cSt @ 40°C 44~48 cSt @ 100°C 7.9~8.5
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粘性インデックス ASTM D2270 140~152
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流動点, ASTM D97 –35°F~–46°F
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FZG, フェールステージ—11 またはそれ以上
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水分含有量(新しいオイルで):500ppm(最大)
産業規格:
Vickers I-286-S, Vickers M-2950-S, Denison HF-0, Vickers 35 VQ 25 (Eaton ATS373-C)
Note: 多くの油圧オイルはほとんど無色透明であり、そのためオイル洩れの発見が遅れがちです。油圧オイル用の着色剤(20ml 瓶)をお使いいただくと便利です。1瓶で 15~22 リットルのオイルに使用できます。パーツ番号は P/N 44-2500; ご注文は Toro 代理店へ。
Note: オイルが汚染されてしまった場合は油圧系統全体を洗浄する必要がありますので弊社代理店にご連絡ください。汚染されたオイルは乳液状になったり黒ずんだ色になったりします。複数のアタッチメントを使用している場合は、異なる油圧オイルが混ざることでオイルの汚染が通常より早くなることがあるため、整備間隔を短くしなければならないことがあります。
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ハイフローフィルタを取り付けている周辺をウェスできれいにぬぐう(Figure 75)。
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フィルタの下に廃油受けを置いてフィルタを外す。
Note: オイルを抜かずにフィルタのみを交換する場合には、フィルタに入るラインに栓をしてください。
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新しいフィルタのガスケットをオイルで湿し、ガスケットがフィルタヘッドに当たるまで手で回し入れる。その状態からさらに 回転締め付ける。これでフィルタは十分に密着する。
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油圧オイルタンクに約 15 リットルの油圧オイルを入れる。
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エンジンを始動させ、約 2 分間のアイドリングを行ってオイルを全体に行き渡らせ、内部にたまっているエアを逃がす。
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エンジンを止め、油量を点検する。
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オイルの量が適正であることを確認する。
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抜いたオイルは適切に廃棄処理する。
緊急時の荷台の上げ方
荷台が上がらなくなった時にはスタータを使うか、もう一台のワークマンの油圧装置を使うかして上げることができます。
スタータを使った荷台の上げ方
昇降レバーを上昇位置にした状態でスタータモータを回せば荷台を上げることができます。但し、スタータは10 秒間以上連続で回さないでください; 10 秒使用したら 60 秒休んでください。クランキングできない時は、積み荷を降ろして荷台(アタッチメント)を外し、エンジンまたはトランスアクスルの整備を行う必要があります。
Close section別のワークマンの油圧装置を使った荷台の上げ方
注意
荷台に資材を積んだままで荷台を上昇させ、確実に支持しないと荷台が急に降下する可能性がある。適切に支持されていない荷台の下での作業は危険である。
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車両の整備や調整を行う時には、まず平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止させてキーを抜き取ること。
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荷台の下で作業するときは荷台もアタッチメントも空にし、昇降シリンダが完全に延びた状態にして荷台を安全サポートで支える。
この方法には本体側のカップラに合うクイックカップラの付いた油圧ホース(片側にオスのカップラ、もう一方にメスのカップラ)が 2 本必要です。
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もう一台のワークマンを、故障しているワークマンに背中合わせに寄せる。
Important: ワークマンの油圧システムにはDexron III ATF オイルを使用しています。油圧装置の汚染を防ぐため、2 台のワークマン(救援車と故障車)が共に同じオイルを使用していることを必ず確認してください。
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それぞれの車両で、クイックカップラホース(2本)を、カップラブラケットのホースから外す(Figure 76)。
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故障しているワークマンのカップラホースに、救援用ホース 2 本を接続する(Figure 77)。
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使用しないフィッティングにはキャップをかぶせておく。
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救援側のワークマンのカップラブラケットにまだついているカップラに、救援用ホースを接続する(上のホースは上のカップラに、下のホースは下のカップラに接続する)(Figure 78)。
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使用しないフィッティングにはキャップをかぶせておく。
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周囲から人を遠ざける。
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救援車のエンジンを始動し、油圧昇降レバーを「上昇」位置にすると、故障側の荷台が持ち上がる。
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油圧レバーをニュートラル位置にしてレバーをロックする。
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伸ばした昇降シリンダに、荷台サポートを取り付ける;安全サポートの使い方を参照。
Note: 両方の車両のアタッチメントとエンジンを停止させた状態で、油圧昇降レバーを数回前後に動かし、内部の圧力を解放するとクイックカップラが外しやすくなります。
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作業が終わったら救援ホースを外し、各ワークマンの油圧ホースを元通りに接続する。
Important: 両方の車両とも、運転を再開する前に必ず油圧オイルの量を確認してください。
車体を清掃する
必要に応じてマシンを洗浄する。水または水と洗剤で洗浄します。 柔らかい布などを使っても構いません。
Important: 高圧洗浄機は使用しないでください。圧力洗浄機を使うと、電装部の損傷、ステッカー類の剥がれ、潤滑部のグリス落ちなどを起こす可能性があります。また、コントロールパネル、エンジン、バッテリー付近に大量の水をかけないようにしてください。
Important: エンジンを駆動させたままで洗車を行わないでください。エンジンを駆動させたままで洗車するとエンジン内部を損傷する恐れがあります。
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