保守
警告
全ての動力源を遮断せずに機体の整備を行うと死亡事故などの重大な人身事故が発生する危険がある。
整備作業を始める前に、動力源との全ての接続を外しておくこと。
Note: 配線図や油圧回路図はオンラインで入手可能です:www.Toro.com
潤滑
日常点検
MH-400の始業点検として、以下の安全点検を行ってください。安全に関わる異状が発見された場合は、責任者に報告してください。安全についての詳細は本マニュアルの「安全について」の章をご参照ください。
タイヤとキャスタホイールの空気圧を点検する
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牽引用シャーシの推奨タイヤ空気圧は0.69bar(0.7kg/cm2 = 10psi) またはタイヤメーカーの推奨値です。牽引車両のタイヤの仕様については牽引車両のオペレーターズマニュアルを参照してください。
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過度の磨耗がない; 目視で分かる破損がない。
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ホイールボルトがしっかり締まっている; 脱落がない。
後ゲートの点検
調整部がスムースに動く。
ジャッキスタンドの収納と点検
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移動前に、ジャッキスタンドを確実に「上」位置に収納する。トラックスター直結用シャーシの場合は、両方のジャッキスタンドが機体後方に収納されている。
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ヒッチピンやジャッキスタンドが破損しておらず、安全ピンが正しく取り付けられている。(安全ピンが脱落・破損していれば交換する。)
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ヒッチ部の接続にガタツキがない。
油圧システムを点検する
警告
高圧で噴出する作動油は皮膚を貫通し、身体に重大な損傷を引き起こす。
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油圧を掛ける前に、油圧ラインやホースに傷や変形がないか接続部が確実に締まっているかを確認する。
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油圧のピンホールリークやノズルからは作動油が高圧で噴出しているので、絶対に手などを近づけない。
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リークの点検には新聞紙やボール紙を使う。
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油圧関係の整備を行う時は、内部の圧力を確実に解放する。
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万一、油圧オイルが体内に入ったら、直ちに専門医の治療を受ける。
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オイル漏れがないか点検する。漏れを発見した場合は、接続部を締め直す、または破損部品を修理・交換する。
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油圧ホースに過度の磨耗や目視でわかる傷がない。
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油圧オイルの量を点検する。不足している場合は補充する。
ベルトとリアゲートのシールの点検
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ゴム製シールをすべて点検する; 過度の磨耗や目視でわかる傷がない。漏れが発生したらシールを交換・修理する。
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ベルトスクレーパが適切に調整されている。スクレーパがベルトの全幅にわたってしっかり当たっている。
ブレードを点検する
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ツインスピナーのディスクのブレードに過度の磨耗がない。薄くなりすぎたら交換する。
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ツインスピナーのハウジングにひび割れや腐食の徴候がない。必要に応じて磨耗プレートを交換する。
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安全ステッカーに破れがなく、はっきり読める; 破れたり読めなくなったステッカーは貼り替える。
油圧系統
工場で高品質油圧オイルを満たして出荷しています。初めての運転の前に必ず油量を確認し、その後は毎日点検してください。推奨オイルの銘柄を以下に示します:
Toro プレミアムトランスミッション/油圧トラクタオイル (19 リットル缶または208 リットル缶。)パーツカタログまたは代理店でパーツ番号をご確認ください。) |
他に使用可能なオイル:トロのオイルが入手できない場合は、他のトラクタ用ユニバーサル油圧オイルを使用することができますが、その場合は、必ず通常の石油系オイルを使用し、合成オイルや生分解性オイルは使用しないでください。また、それらのオイルは、以下に挙げる特性および産業規格をすべて満たしている必要があります。オイルの性能や規格については専門業者にご相談ください。
Note: 不適切なオイルの使用による損害については弊社は責任を持ちかねますので、品質の確かな製品をお使い下さる様お願いいたします。
物性: | |
粘度, ASTM D445 | cSt @ 40°C 55~62 |
粘性インデックス ASTM D2270 | 140 – 152 |
流動点, ASTM D97 | -37°C~-43°C |
産業規格: API GL-4, AGCO Powerfluid 821 XL, Ford New Holland FNHA-2-C-201.00, Kubota UDT, John Deere J20C, Vickers 35VQ25, および Volvo WB-101/BM | |
Note: 多くの油圧オイルはほとんど無色透明であり、そのためオイル洩れの発見が遅れがちです。油圧オイル用の着色剤(20 ml 瓶)をお使いいただくと便利です。1瓶で 15~22 リットルのオイルに使用できます。パーツ番号は P/N 44-2500; ご注文は Toro 代理店へ。
コンベアベルト装置の整備
コンベアベルトとローラの点検
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コンベアベルトがローラ上を滑らず、真っ直ぐに走る。ベルトが片側に寄る場合には調整を行う。コンベアベルトのトラッキングの点検を参照。
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前後のローラベアリングに過度の磨耗や目視でわかる傷がない(2ヶ月ごとに点検)。
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駆動チェーンとスプロケットの状態と張りを点検する。
Important: ベッド、ベルト、ローラの間に砂が過度にたまっていない。車体を清掃するを参照。
コンベアベルトの張りの調整
ベルトがスリップしない限りこの調整は不要です。新しいベルトを取り付けた時や他の整備作業のためにベルトをゆるめたりした場合にはこの調整を行ってください。
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ベルトのVガイドと前後のローラのガイドとが整列していることを確認する。
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左右の調整ナットを均等に締めてベルトに適当な張りを与える。
Note: 必要に応じ、前アイドラローラのカバーや後ろシュートカバーを取り外す。
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散布に使用する資材の中で一番重量の大きいものを目一杯に積む。
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テンショナロッドが回らないようにロッドの端部をレンチで押さえながら、もう1本のレンチでロッキングナット(ロッドの端部に一番近いナット)をゆるめる(図 55)。
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コンベアベルトを作動させて、ベルトがスリップするかどうかを点検する。
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スリップする場合にはベルトを停止させ、左右の調整ナットをそれぞれ1/2回転だけ締めつける。締めすぎないこと。
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ベルトがスリップしなくなるまで上記5と6の手順を繰り返す。
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ロッキングナットを締め、黄色い安全カバーを取り付ける。
コンベアベルトのトラッキングの点検
このコンベアベルト装置は自動的に整列して走行します。このため、前後のローラの中央部に溝がついており、ベルトのVガイドがこの溝にそって走行しますが、溝から外れる場合があります。トラッキングの調整は以下の手順で行います:
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ベルトがどちら側に寄るのかを確認する。
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左右前部の安全カバーを取り外す。
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ベルトが寄ってくる側で調整する。テンショナロッドが回らないようにロッドの端部を押さえながらロッキングナットをゆるめ、調整ナットをナットの2面分締めつける(図 55)。
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左右のロッキングナットを締めつけ、コンベアベルトを作動させる。
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ベルトの試運転を行う。ベルトが自動的に正常位置に戻るように何度か調整を重ねる。
Important: 時間をかけて辛抱づよく調整すること。ベルトを張り過ぎないこと。
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左右のカバーを取り付けて終了。
車体を清掃する
塩類、舗装道路からのタール、樹液、肥料などの化学薬品で塗装面が傷む場合があります。これらの物質は洗剤と水で出来るだけ早期に落してください。必要な場合はクリーナや溶剤も使ってください。ただし塗装面に悪影響が出ないか確認してください。
警告
可燃性の溶剤から発生するガスは有毒で健康を害する危険がある。
可燃性の液剤や、有毒ガスを発生するクリーナは使用しないこと。必ずメーカーの注意事項を守ること。
Important: 高圧洗浄機を使わないこと。グリス、塗装、ステッカーなどが剥がれ落ちたり、機材が損傷する可能性がある。
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オプション機器は必ず本体から取り外して別に洗う。
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ハンドヘルドリモートを取り外す。
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機体を温水と弱性洗剤で洗う。
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洗剤が乾いてしまわないうちにきれいな水で完全に洗い流す。
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プロパスの後部からベルトスクレーパアセンブリを取り外す(図 56)。
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機体の前部を、必要なだけ上昇させる。
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作業車両に搭載している場合には牽引車両についている油圧昇降シリンダを使用する。(牽引車両のオーナーズマニュアルを参照。)
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牽引用シャーシまたはトラックスター直結シャーシに搭載している場合にはシャーシのジャッキを使用する。
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後部のテールゲートを一番広く開けて、ホッパーアセンブリの中にあるものを全部洗い出す。内面のシールの状態を点検し、必要に応じて交換する。
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機体の前部に清掃ステッカー(図 57)が貼付されている; ステッカーに描かれているように、水道ホースを使って前ガードのメッシュから水を掛け、腹板に残っている資材を完全に流し出す(図 58)。
Note: グリスアップのためにカバーを外したら、ついでに、水で洗浄を行ってください。
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ホッパー、ボトムガード、コンベアベルト、ベッド、ローラを点検し、砂が完全に落ちたのを確かめる。
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油圧昇降シリンダやジャッキを元に戻して機体を通常の状態にする。
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ベルトスクレーパアセンブリを元通りに取り付ける。スクレーパ取り付けバーをベルトに押し付ける。スクレーパがベルトに対して出来るだけ垂直になるよう、またベルトに接触するように調整する。