保守
Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。どんな整備を行う時でも、平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取ること。
推奨される定期整備作業
整備間隔 | 整備手順 |
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After the first 100 operating hours |
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Every 50 hours |
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Every 250 hours |
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Every 500 hours |
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Every 2 years |
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警告
安全サポートブラケットを使用せずにこの機械の整備などを行うと、けがをするなどの危険が大きくなります。
運転台の下、キャブの下で整備作業を行う場合には、必ず安全サポートブラケットを取り付けてください。
注意
始動キーをつけたままにしておくと、誰でもいつでもエンジンを始動させることができ、危険である。
整備・調整作業の前には必ずエンジンを停止し、キーを抜いておくこと。
Important: ヒーター関係の保守整備作業や修理作業は、トロ社代理店または、暖房システムメーカーの専門員に依頼してください。
Important: エアコンシステムのうち、冷媒に関わる作業はすべて、正式な資格を有する人が行ってください。
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エアコンシステムは、刈り込みシーズンを通じてずっとご使用いただけます。システムを正常に効率よく作動させ、寿命を十分に伸ばすために、本書に記載されている整備作業を必ず実施してください。本書に指示・記載されている保守整備作業を怠ると、製品保証が適用されなくなる場合がありますからご注意ください。
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エアコンシステムを時々しか使用しない場合であっても、経年劣化や冷媒の抜けが発生する可能性がありますから定期整備を行うことが必要です。
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コンデンサと蒸発器のフィンは、圧縮空気で通常の空気の流れと逆の方向に吹いて清掃してください。グリス状の付着物が発見された場合には、研磨剤を含まない普通の洗剤で拭きとってください。
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冷媒の量が不足していると、冷房効率が低下します。
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冷媒の量が極端に少なくなると、低圧スイッチが働いてシステムを自動的に停止させます。
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冷媒の量は、回収タンクについている点検窓で確認することができます。冷媒を追加した場合には、システムを5分間ほど運転し、冷媒回路に入っている空気をパージしてください。エアパージが終了したら、冷媒の量を点検してください。時々泡が見えるのは問題ありません。
Important: コンプレッサのオイルを車両に落とさないでください。 万一車両に触れると、車両のペイントの脱色や、アクリル、ABS樹脂部分などを劣化させます。
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全天候ホースを取り付ける際には、シールリングに冷媒オイルを塗布してください。
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エアコンシステムから全天候ホースを外した時には、必ずOリング(冷媒134A用の特殊製品です)を新しいものに交換してください。
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フィッティングを締め付けたり緩めたりする場合には、必ずレンチを2本使用し、チューブをねじらないように十分注意してください。
冷媒の圧力を点検する
エアコンシステムが作動中は、吸い込み側と圧力側とでは作動圧が異なっています。
この圧力差は、コンプレッサの運転速度、車両の車内温度、外気温、相対湿度などによって変化します。
しかし、以下の表に示した値から外れている場合には、システムが故障している可能性があります。
圧力測定方法:コンプレッサの作動速度を 2000 rpm に設定する(気温は 20-40 ℃)ブロアを設定3(最高速度)で作動させる
外気温 | 低圧側 | 高圧側 |
20° C | 1.7-2.1 Bar(1.7-2.1 kg/cm2 = 24.7-30.5 psi) | 10-14 Bar(10.2-14.2 kg/cm2 = 145-203 psi) |
25° C | 1.8-2.2 Bar(1.8-2.2 kg/cm2 = 26.1-31.9 psi) | 12-16 Bar(12.2-16.2 kg/cm2 = 174-232 psi) |
30° C | 1.9-2.3 Bar(1.9-2.3 kg/cm2 = 27.6-33.4 psi) | 14-18 Bar(12.2-16.2 kg/cm2 = 203-261 psi) |
圧力正常でない場合の判断
圧力試験中に、表の数値から外れた値が表示される場合があります。その原因を突き止めることで、パーツの交換や修理が必要かどうかを判断することができます。
以下に、異常値の例とその原因をまとめます。
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高圧側の圧力計の読みが高すぎる
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コンデンサの内部の空気の量が少ない。
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冷媒の量が多すぎる。
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ドライヤ/フィルタが詰まっている。
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高圧側の圧力計の読みが低すぎる
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冷媒の量が少なすぎる(点検窓で確認)
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コンプレッサの運転速度が低すぎる(駆動ベルトを点検)。
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コンプレッサ自体のトラブル。
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低圧側の圧力計の読みが高すぎる
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膨張バルブの調整不良。
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コンプレッサの運転速度が低すぎる(駆動ベルトを点検)。
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コンプレッサ自体のトラブル。
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低圧側の圧力計の読みが低すぎる
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吸い込み側または圧力側ホースの詰まり。
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膨張バルブの調整不良。
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冷媒の量が少なすぎる(沈殿物回収容器を確認)。
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蒸発器の内部の空気の量が少ない。
専門家に依頼して各部の圧力が正常になるように修理調整してもらう。
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Important: 冷媒を外気中に放出しないでください。冷媒回路の接続部を開いたり外したりする前に、必ず冷媒を所定のリサイクル容器に回収し、回収した冷媒は適切な方法で処分してください。
エアコンシステムの整備や修理は、必ずトロの純正部品を使用して行ってください。
冷媒の量の点検
冷媒の量が運転のために適切な量となっていることを確認してください。冷媒の量が減ってくるにつれて、点検窓から見える泡の量が増えてきます。冷媒の量が不足していると、冷房効率が低下します。冷媒の量が極端に少なくなると、低圧スイッチが働いてシステムを自動的に停止させます。
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回収タンクについている点検窓で、冷媒の量を確認してください(Figure 15)。
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冷媒を追加した場合には、システムを5分間ほど運転し、冷媒回路に入っている空気をパージしてください。
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エアパージが終了したら、冷媒の量を点検してください。
Note: 時々泡が見えるのは問題ありません。
コンプレッサの電磁クラッチの点検
コンプレッサのスイッチをONにしたときに、カチッという音が聞こえれば、電磁クラッチは正常に作動しています(Figure 16)。

ドレンチューブの点検
コンプレッサのファンベルトの点検
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プーリとプーリとの中間部を 40 N(約4.5 kg) の力で押した時に、10 mm 程度のたわみがあれば適正です。
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たわみがこの値でない場合には、上下のコンプレッサ取り付けボルトをゆるめて調整します。
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コンプレッサベルトの張りを調整し、ボルトを締め付ける。
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もう一度ベルトのたわみを点検し、適切に調整されたことを確認してください。
キャブを倒すには
運転台の下の清掃や整備作業を実施しやすくするためにキャブを倒すことができます。
キャブと運転台とは一体で倒れます。運転台を倒した際の傾斜角度は、キャブをつけていない場合よりも小さくなります。これは、キャブを倒した場合であってもマシンが十分に安定した駐車姿勢を保持できるように設計しているためです。
キャブを倒すには
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Rクリップを外して、キャブの後部についているロッキングレバー(2本)を上向きにする(Figure 20)。
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両方のレバーを内側にスライドさせてブラケットから外す。
Note: レバーが動かしにくい時には、ロッキングペグをブラケットのスロットに合わせてレバーを外してください。
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キャブの左右両側の後コーナー柱には、キャブを持ち上げるための握りハンドルがついている。どちらかのハンドルを持ち上げる。
Note: ガス充填補助スプリングの働きによりキャブはゆっくりと持ち上がり、最高位置にて自動的に停止する。
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キャブを完全に上昇させたら、安全サポートブラケットを以下の手順で取り付ける:
キャブを下降させるには
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サポートブラケットを取り外す手順:
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安全サポートブラケットをクロスビームブラケットに固定している2本のロッキングレバーを外す。
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クロスビームブラケットから安全サポートブラケットを取り出す。
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安全サポートブラケットを格納ポッドに収納する(Figure 21)。
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どちらかのハンドルを持ってキャブを引き降ろす。キャブ後部のブラケットがクロスビームのブラケットに嵌ればよい。
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縦位置になっているレバー(Figure 20)を、ブラケットにセットする。
Note: レバーを前後に動かしてロッキングペグをスロットに整列させてください。
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レバーが奥まで入ったら、レバーを後方に回してロックします(Figure 23)。
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Rクリップを取り付ける。
ヒューズの搭載位置
マシンとキャブの洗浄
機体やキャブの洗浄を行うとき、ルーフ部分に水を向けないでください。