保守
Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。
推奨される定期整備作業
整備間隔 | 整備手順 |
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使用開始後最初の 50 時間 |
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使用するごとまたは毎日 |
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使用後毎回 |
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25運転時間ごと |
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100運転時間ごと |
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150運転時間ごと |
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200運転時間ごと |
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250運転時間ごと |
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300運転時間ごと |
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400運転時間ごと |
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500運転時間ごと |
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600運転時間ごと |
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1500運転時間ごと |
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1年ごとまたは長期保管前 |
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Important: エンジンの整備に関しての詳細は、付属のエンジンマニュアルを参照のこと。
注意
始動キーをつけたままにしておくと、誰でもいつでもエンジンを始動させることができ、危険である。
整備・調整作業の前には必ず始動スイッチからキーを抜きとり、点火プラグ装着車の場合は、念のために点火プラグのコードを外しておくこと。点火コードが絶対に点火プラグと触れることのないよう、確実に隔離すること。
整備前に行う作業
Important: カバーについているボルトナット類は、カバーを外しても、カバーから外れません。全部のボルト類を数回転ずつゆるめてカバーが外れかけた状態にし、それから、全部のボルト類を完全にゆるめてカバーを外すようにしてください。このようにすれば、誤ってリテーナからボルトを外してしまうことがありません。
前カバーの取り外し
Important: カバーについているボルトナット類は、カバーを外しても、カバーから外れません。全部のボルト類を数回転ずつゆるめてカバーが外れかけた状態にし、それから、全部のボルト類を完全にゆるめてカバーを外すようにしてください。このようにすれば、誤ってリテーナからボルトを外してしまうことがありません。
-
前カバーを取り外す;前カバーの取り外しを参照。
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下部シールドの取り外し
Important: カバーについているボルトナット類は、カバーを外しても、カバーから外れません。全部のボルト類を数回転ずつゆるめてカバーが外れかけた状態にし、それから、全部のボルト類を完全にゆるめてカバーを外すようにしてください。このようにすれば、誤ってリテーナからボルトを外してしまうことがありません。
潤滑
エンジンの整備
エアクリーナの整備
整備間隔 | 整備手順 |
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150運転時間ごと |
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300運転時間ごと |
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600運転時間ごと |
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エアフィルタの取り外し
一次エアフィルタの整備
フィルタの外側から照明を当てて1次フィルタの内側を点検し、傷などがないか確認する。
Note: フィルタに穴があいているとその部分が明るく見えます。フィルタが汚れている、曲がっている、または破損している場合には交換する。1次フィルタは清掃しないこと。
安全フィルタの整備
この安全フィルタは再利用せず、定期的に交換してください。
Important: 安全フィルタは清掃しないでください。安全フィルタが汚れている場合には、1次フィルタが破損しています。その場合には両方のフィルタを交換してください。
フィルタの取り付け
Important: エンジンを保護するため、必ず両方のエアフィルタを取り付け、カバーをつけて運転してください。
エンジンオイルについて
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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100運転時間ごと |
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200運転時間ごと |
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エンジンオイルの仕様
オイルのタイプ: 洗浄性オイル(API 規格 SJ またはそれ以上)
オイルの量: 1.9 リットル(フィルタ交換時)
粘度: 下の表を参照してください。
Note: 酷寒地 (-23ºC以下) では、合成オイルをご使用いただくとエンジンの始動性が改善されます。
エンジンオイルの量を点検する
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載機種では)を掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
エンジンオイルの交換
Note: 廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分してください。
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エンジンを始動し、5 分間程度運転する。
Note: オイルが温まって排出しやすくなります。
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オイルが完全に抜けるように、機体の後部側が前部側よりもやや低くなるように駐車する。
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駐車ブレーキを掛け、油圧装置を下降させる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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ドレンホースの下に廃油受けを置く。ドレンバルブを回して開き、オイルを排出する(図 33 と 図 34)。
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オイルが完全に抜けたらドレンプラグを閉じる。
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廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分してください。
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所定量の 80% 程度のオイルをゆっくり入れ、そこから、残りの量を注意深く足してFULLマークまで入れる(図 35)。
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エンジンを始動し、平らな場所へ移動する。その後、オイルの量をもう一度点検する。
エンジンオイルフィルタの交換
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エンジンからオイルを抜く;エンジンオイルの交換を参照。
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エンジンオイルフィルタを交換する(図 36)。
Note: フィルタのガスケットがエンジンに当たるまで締め付け、そこからさらに 3/4 回転締め付ける。
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適切な種類の新しいオイルをエンジンに入れる;エンジンオイルの仕様を参照。
点火プラグの整備
整備間隔 | 整備手順 |
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500運転時間ごと |
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電極間のエアギャップを正しく調整しておいてください。取り付け、取り外しには必ず専用のレンチを使い、エア・ギャップの点検調整にはすきまゲージやギャップ調整工具などを使ってください。必要に応じて新しい点火プラグと交換してください。
タイプ : Champion® XC10YC または同等品
エアギャップ:0.76 mm
点火プラグの取り外し
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載機種では)を掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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図 37のように、点火プラグを取り外す。
点火プラグの点検
Important: 点火プラグは清掃しないでください。黒い汚れ、電極の磨耗、油膜、亀裂などがあれば新しいものと交換してください。
絶縁体部がうす茶色や灰色なら適正、碍子が黒くなっているのは不完全燃焼である(エアクリーナの汚れが原因であることが多い)。
すきまを 0.75 mm に調整する。
点火プラグの取り付け(s)
燃料系統の整備
燃料タンクの内部清掃
危険
燃料は非常に引火・爆発しやすい物質である。発火したり爆発したりすると、やけどや火災などを引き起こす。
燃料に関する注意事項の説明は燃料についての安全事項 を参照してください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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ボトムシールドを外して燃料バルブへのアクセスを確保する; 下部シールドの取り外しを参照。
Note: 燃料バルブは、バッテリーの後ろからフレームを抜ける形でアクセスすることも可能です (図 40)。
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燃料バルブを閉じる(図 41)。
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燃料バルブについているホースのエンジン側のホースクランプをゆるめて、バルブから離れた位置に移動させる(図 41)。
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燃料ラインをバルブから抜き取る(図 41)。
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燃料バルブを開き、排出される燃料を適切な容器に受ける。
Note: 必要に応じて燃料フィルタを交換する;油圧フィルタの交換を参照。
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燃料バルブに燃料ホースをつなぐ。ホースクランプを燃料フィルタの位置までずらして燃料ラインを固定する。
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下部シールドを取り付ける; 下部シールドの取り外しを参照。
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こぼれた燃料はふき取ってください。
低圧燃料フィルタの交換
整備間隔 | 整備手順 |
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150運転時間ごと |
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汚れているフィルタを再取り付けするのは絶対にやめてください。
Note: フィルタの取り付け方をよく観察してからフィルタを取り外す。
Note: こぼれた燃料はふき取ってください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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燃料バルブを閉じる。
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古いフィルタのクランプをゆるめて脇に寄せる(図 42)。
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ホースからフィルタを抜き取る。
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新しいフィルタをホースに取り付け、クランプで固定する。
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燃料バルブを開く。
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燃料タンクを点検し、必要に応じて修理する。
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こぼれた燃料はふき取ってください。
高圧燃料フィルタの整備
高圧燃料フィルタは整備しないでください。高圧燃料フィルタは燃料ポンプモジュールと一体化されています。高圧燃料フィルタを始め、燃料ポンプモジュール内の機器は整備できません。
Important: 燃料ポンプモジュールは分解しないでください。
燃料ポンプモジュールの交換は弊社サービスティーラにお任せください。
電気系統の整備
バッテリーの整備
整備間隔 | 整備手順 |
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25運転時間ごと |
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バッテリーの表面はいつもきれいに、常にフル充電状態にしておきましょう。バッテリーやバッテリーボックスの清掃にはペーパータオルが便利です。端子部に腐食が発生した場合には、重曹水(水4:重曹1)で清掃します。きれいになった端子には、錆びないようにグリスを塗っておきます。
電圧:12 V、CCA 350 A (-18 °C)。
警告
バッテリーケーブルの接続手順が不適切であるとケーブルがショートを起こして火花が発生する。それによって水素ガスが爆発を起こし人身事故に至る恐れがある。
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ケーブルを取り外す時は、必ずマイナス(黒)ケーブルから取り外し、次にプラス(赤)ケーブルを外す。
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ケーブルを取り付ける時は、必ずプラス(赤)ケーブルから取り付け、それからマイナス(黒)ケーブルを取り付ける。
警告
バッテリーの端子に金属製品や車体の金属部分が触れるとショートを起こして火花が発生する。それによって水素ガスが爆発を起こし人身事故に至る恐れがある。
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バッテリーの取り外しや取り付けを行うときには、端子と金属部を接触させないように注意する。
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バッテリーの端子と金属部を接触させない。
バッテリーの取り外し
バッテリーを充電する
警告
充電中は爆発性のガスが発生する。
充電中は絶対禁煙を厳守。バッテリーに火気を近づけない。
Important: バッテリーはいつもフル充電状態にしておきましょう(液の比重が1.265になる)。特に氷点下で保管する場合にはこのことを守ってください。
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車体からバッテリーを取り外す;バッテリーの取り外しを参照。
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3-4 Aで 4-8 時間充電する(図 44)。充電しすぎないように注意すること。
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充電が終わったら、チャージャのプラグをコンセントから抜いてから、チャージャのリード線をバッテリー端子から外す()図 44。
バッテリーの清掃
Note: 端子や周囲が汚れていると自然放電しますので、バッテリーが汚れないようにしてください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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機体からバッテリーを外す:バッテリーの取り外し。
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重曹と水でケース全体を洗う。
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真水でケースを仕上げ洗いする。
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腐食防止のために両方の端子部にワセリン(Grafo 112X: P/N 505-47)を薄く塗る。
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バッテリーを取り付ける; バッテリーを取り付けるを参照。
バッテリーを取り付ける
後付けしたバッテリーの整備
本機にもともと搭載されているバッテリーはメンテナンスフリータイプです。別のバッテリーに交換した場合は、そのバッテリーのメーカーの指示に従って整備してください。
ヒューズの交換
走行系統の整備
クローラの整備
クローラの洗浄
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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クローラの状態を定期的に点検してください。摩耗が進んだクローラは交換してください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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圧力洗浄機または水道水(ホース)で左右のクローラ部分を洗浄する。
Important: 高圧洗浄器は、クローラ(キャタピラ)部分の清掃にのみ使用してください。他の部分の洗浄には高圧洗浄器を使用しないでください。圧力洗浄器を使うと、電気系統や油圧バルブに水が浸入し、トラブルの原因となります。
Important: 走行ホイールと駆動ホイールも完全に洗浄してください (図 46)。洗浄されているロードホイールは自由に回転します。
クローラの張りの点検と調整
整備間隔 | 整備手順 |
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使用開始後最初の 50 時間 |
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100運転時間ごと |
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クローラの長さ方向の中央部分(ロードホイールと駆動ホイールの中間部分)を 20.4 kg ほどの力で押してクローラのたわみを点検します。たわみが 6 mm-10 mm 程度であれば適正です。たわみが適正範囲にない場合には、以下の調整を行います。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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クローラのテンションボルトとテンションアームのクランプボルトのジャムナットをゆるめる(図 48)。
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テンションボルトを 32.5-40 N·m(3.3-4.2 kg.m = 24-30 ft-lb)にトルク締めする (図 48)。
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クローラのスパンの中央部を 20.4 kg 程度の力で押したときのたわみが 6 mm-10 mm 程度であることを確認する。必要に応じてテンションボルトのトルクを調整する。
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ジャムナットを締める。
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クランプボルトを 102 N·m(10.4 kg.m = 75 ft-lb)にトルク締めする。
クローラの交換
摩耗が進んだクローラは交換してください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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交換したい側を持ち上げてクローラを床から 7.6-10 cm 程度浮かせ、この状態で支持する。
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テンションボルトとジャムナットをゆるめる(図 48)。
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テンショニングホイールを機体後方に向けて押して一杯まで移動させる(図 49)。
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クローラを外す;テンショニングホイールの上から始めて、クローラを前進方向に回転させながら、皮をむく要領で取り外す。
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テンショニングホイールから外れたら、機体から取り出す(図 49)。
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駆動ホイールからスタートして、新しいクローラをホイールに巻きつけるようにして取り付ける;クローラについている爪がホイールの溝にはまるように取り付けること(図 46)。
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後ロードホイールと中央ロードホイールの下と間にクローラを押し込むようにして取り付ける(図 46)。
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テンショニングホイールの下側からスタートして、クローラを後退方向に回転させながらテンショニングホイールに取り付ける。
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テンションボルトとナットを取り付ける。
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テンションボルトを 32.5-40 N·m(3.3-4.2 kg.m = 24-30 ft-lb)にトルク締めしてクローラを締める。
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クローラのスパンの中央部を 20.4 kg 程度の力で押したときのたわみが 6 mm-10 mm 程度であることを確認する。必要に応じてテンションボルトのトルクを調整する。
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ジャムナットを締める。
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機体を床面に降ろす。
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もう一方のクローラも同じ要領で取り付ける。
ロードホイールの点検とグリスアップ
整備間隔 | 整備手順 |
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250運転時間ごと |
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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クローラを外す; クローラの交換を参照。
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各下クローラガイド(ロードホイールを囲っている)を固定しているボルト(各4)を外してガイドを取り外す(図 50)。
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ロードホイールについているスナップリングとキャップを外す(図 51)。
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キャップ外した部分とガスケット周囲のグリスの状態を見る (図 51)。グリスが劣化しているようであれば、完全にふき取り、ガスケットを交換して新しいグリスを入れる。
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ロードホイールのベアリングにガタがなく、ホイールが滑らかに回転することを確認する。万一ベアリングが固着している場合は、弊社の正規サービスディーラに依頼してロードホイールを交換する。
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グリスを入れたキャップをボルトの頭に取り付ける (図 51)。
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キャップをスナップリングで固定する (図 51)。
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すべてのホイールに対して、ステップ5-9の作業を行う。
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先ほど取り外したボルト類を使って、各クローラガイドを機体に取り付ける。ボルトを91-112N·m(3.7-4.6kg.m = 67~83 ft-lb)にトルク締めする。
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クローラを取り付ける; クローラの交換を参照。
冷却系統の整備
エンジンスクリーンの清掃
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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毎回、運転前に、エンジンスクリーンやその付近に刈りかすやごみがたまっていたら取り除いてください。これにより、十分な冷却効果と適正なエンジン回転数が確保でき、エンジンのオーバーヒートや損傷の発生を抑えることができます。
ベルトの整備
ポンプ駆動ベルトの交換
ベルトから音が出る、ベルトが割れている、ひどく磨耗しているなどの場合は交換してください。交換用のベルトは弊社代理店でお求めください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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機体の後部を持ち上げてジャッキスタンドで支える。
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下部シールドを取り外す; 下部シールドの取り外しを参照。
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ポンプ駆動カップラについている固定ねじをゆるめる (図 53)。
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カップラを下げてプーリから遠ざける。
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スプリングプラー (特殊工具;代理店でお求めください) または頑丈な金属製のフックを使って、アイドラプーリのスプリングをボルトから引き離し、ベルトのテンションをゆるめる。
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ベルトを取り外す。
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プーリに新しいベルトを取り付ける。
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アイドラプーリスプリングをボルトに取り付ける。
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カップラを上に移動させてプーリにつなぐ。
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カップラの固定ねじにロッキングコンパウンドを塗り、10-12.6 Nm (1.0-1.3 kg.m = 90-110 in-lb) にトルク締めする。
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下部シールドを取り付ける。
制御系統の整備
走行コントロールの整列調整
コントロール類は工場で調整済みですが、長期間にわたって使用しているうちにレバー類の整列、ニュートラル位置、全速前進時の直進状態などの調整が必要になることが考えられます。
Important: これらの調整を適切に行うには、以下の順序を守ってそれぞれを調整してください。
走行コントロールの後退位置の調整
全速後退位置にセットした走行コントロールバーが基準バーに対して適切に整列しなくなっていることを発見した場合には、直ちに以下の調整を行ってください。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載機種では)を掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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走行コントロールを手前一杯に引いてコントロールの前部を基準バーに接触させる(図 54)。
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全速後退位置にセットした走行コントロールバーが基準バーに対して適切に整列していない場合は、走行コントロールのステム部にあるナットとボルトをゆるめる (図 55)。
-
全速後退位置にセットした走行コントロールバーが基準バーに対して面一になるように調整する (図 55 と 図 56)。
-
走行コントロールステムのフランジナットとボルトを締め付ける。
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エンジンを掛ける。
-
走行コントロールを後退位置にセットし、基準バーにしっかり押し付けるようにして走行させる。マシンがまっすぐに後退しない場合は、以下の調整を行う:
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エンジンを停止する
-
左右両方のクローラが自由に回転できるように機体を床から浮かせる。
-
走行コントロールのステムのフランジナットとボルトをゆるめる (図 55)。
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走行ロッド (コントロールパネル下) のジャムナットをゆるめる (図 57)。
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エンジンを始動し、スロットルレバーを高速側へ 1/3 程度の位置にセットする。
警告
エンジン回転中は、機械各部が動いており、これらに巻き込まれるとけがや火傷などを負う危険がある。
調整作業中に機械各部への巻き込まれ、挟まれ、高温部への接触などを起こさないように十分注意すること。
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一人の人間が、走行コントロールを後退位置にセットして基準バーにしっかり押し付けて保持する。
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左右のクローラが同じ速さで回転するように走行ロッドの長さを調整する。
Note: この調整は、後退時の最高速度の設定でもあります。
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ジャムナットを締めつける。
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走行コントロールステムのフランジナットとボルトを締め付ける。
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エンジンを止めて、機体を床に降ろす。
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走行コントロールを全速後退位置にセットし、後退走行動作を確認する。直進しない場合には、どちら側にずれるかを確認する。まっすぐに後退できるようになるまで上記の調整を行う。
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走行コントロールの整列調整
エンジンのウォームアップが終了していて走行コントロールがニュートラル位置にあるのにマシンがクリーピングする場合には、ポンプのニュートラル復帰機構の調整を行う必要があります;弊社代理店に連絡してください。
走行コントロールの前進位置調整
走行コントロールバーを全速前進位置にセットした時にマシンが直進しなくなっていることを発見した場合には、以下の調整を行ってください:
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走行コントロールバーを全速前進位置にセットして実際にマシンを走行させ、どちら側にずれるかを確認する。
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走行コントロールから手を離す。
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マシンが 左にずれていく場合には、走行コントロール前部にある走行固定ねじを固定している 右側の ジャムナットをゆるめて固定ねじの調整を行う (図 58)。
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マシンが右にずれていく場合には、走行コントロール前部にある走行固定ねじを固定している左側のジャムナットをゆるめて固定ねじの調整を行う (図 58)。
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マシンが正しく直進するまで、調整を繰り返す。
Important: 全速前進位置で、走行固定ねじがストップに当たっている(油圧ポンプを保護するため)ことを確認してください。
油圧系統の整備
警告
高圧で噴出する作動油は皮膚を貫通し、身体に重大な損傷を引き起こす。万一、油圧オイルが体内に入った場合には、この種の労働災害に経験のある施設で数時間以内に外科手術を受けないと壊疽(えそ)を起こす。
-
油圧のピンホールリークやノズルからは作動油が高圧で噴出しているので、絶対に手などを近づけない。
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リークの点検には新聞紙やボール紙を使い、決して手で直接確かめない。
油圧作動液の仕様
整備間隔 | 整備手順 |
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100運転時間ごと |
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1500運転時間ごと |
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油圧オイルタンクの容量:38 リットル
オールシーズン用トロ・プレミアム油圧オイルをお使いください(製品の詳細についは弊社代理店におたずねください)。
他に使用可能なオイル:トロのオイルが入手できない場合は、以下に挙げる特性、条件および産業規格をすべて満たす通常の石油系オイルを使用することができます。オイルの性能や規格がマシンに適合しているかどうかについては専門業者にご相談ください。注: 不適切なオイルの使用による損害については弊社は責任を持ちかねますので、品質の確かな製品をお使い下さる様お願いいたします。
高粘度インデックス/低流動点アンチウェア油圧作動液, ISO VG 46 | |||
物性: | |||
粘度, ASTM D445 | cSt @ 40°C 44-48cSt @ 100°C 7.9-9.1 | ||
粘性インデックス ASTM D2270 | 140 以上 | ||
流動点, ASTM D97 | -37°C--45°C | ||
FZG, フェールステージ | 11 以上 | ||
水分含有量(新しい液) | 500ppm (最大) | ||
産業規格: | |||
Vickers I-286-S, Vickers M-2950-S, Denison HF-0, Vickers 35 VQ 25 (Eaton ATS373-C) |
車両用に製造されている適切な油圧オイル(産業プラント用の油圧オイルではありません)。マルチウェイト・タイプの ZnDTP または ZDDP アンチウェア(磨耗防止剤)入りの製品(アッシュレスではありません)を使用してください。
Important: 多くの油圧オイルはほとんど無色透明であり、そのためオイル洩れの発見が遅れがちです。油圧オイル用の着色剤(20 ml 瓶)をお使いいただくと便利です。1瓶で 15-22 リットルのオイルに使用できます。ご注文は弊社代理店へ(パーツ番号は P/N 44-2500です)。
油圧オイルの量を点検する
整備間隔 | 整備手順 |
---|---|
25運転時間ごと |
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油圧オイルの種類については油圧作動液の仕様を参照のこと。
-
平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載機種では)を掛け、油圧昇降装置を下げる。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
-
機体の右側にある点検窓で確認する。窓からオイルが見えないようであればオイルを補給する。
-
カバープレートを取り外す; 前カバーの取り外しを参照。
-
油圧オイルタンクの注油口周辺とキャップをきれいに拭き、ソケットレンチで補給口からキャップとフィルタを外す (図 60)。
-
油量が少なければ点検窓から確認できるようになるまで補給する。
-
キャップとフィルタを取り付け、上部ボルトを21-25 N·m(2.3-2.8 kg.m = 200-240 in-lb)にトルク締めする。
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カバープレートを取り付ける; 前カバーの取り外しを参照。
油圧フィルタの交換
油圧オイルの交換
整備間隔 | 整備手順 |
---|---|
400運転時間ごと |
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、油圧昇降装置を下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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機体が十分に冷えていることを確認する。
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上部カバーを取り外す。
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油圧オイルタンクのフィルタとキャップ(図 61)を取る。
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油圧オイルタンクの下にオイルを受ける容器(38リットル以上)を置く。
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ドレンプラグを外して排出されるオイルを容器に回収する(図 62)。
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オイルが完全に抜けたらドレンプラグを取り付けて締め付ける。
Note: 廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分する。
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油圧オイルタンクに油圧オイルを入れる;油圧作動液の仕様 を参照。
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フィルタを取り付け、キャップをして上部ボルトを21-25 N·m(2.3-2.8 kg.m = 200-240 in-lb)にトルク締めする (図 61)。
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エンジンを始動し、数分間程度運転する。
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エンジンを停止する。
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油圧オイルの量を点検し、必要に応じて補給する; 油圧オイルの量を点検するを参照。
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こぼれたオイルを拭き取る。
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上部カバーを取り付ける。
グラインダの保守
刃の交換
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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刃は非常に早く摩耗しますから定期的に点検してください(図 63)。
刃は 3 か所に印がついており、120度ずつ回転させて全部で 3 回使用することができます。刃を固定しているナットをゆるめると刃を回転させることができます (図 64)。刃を前に押し出して 1/3 回転させ、未使用の刃先を外に向けてください。ナットは 37-45 N·m (3.7-4.6 kg.m = 27-33 ft-lb) にトルク締めしてください。
刃を交換するには、ナットを外して刃を取り出し、新しい刃を取り付け、スペーサとナットで固定してください (図 64)。ナットは 37-45 N·m (3.7-4.6 kg.m = 27-33 ft-lb) にトルク締めしてください。
洗浄
マシンの外側の清掃
整備間隔 | 整備手順 |
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使用後毎回 |
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Important: スクリーンや冷却フィン詰まった状態、あるいは冷却シュラウドを外して運転するとオーバーヒートしてエンジンが損傷します。