保守
Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。
保守作業時の安全確保
注意
始動スイッチにキーをつけたままにしておくと、誰でもいつでもエンジンを始動させることができ、危険である。
整備作業の前には必ずキーを抜いておくこと。
-
平らな場所に駐車し、補助油圧装置を解除し、アタッチメントを降下させ、駐車ブレーキ(が付いている場合は)を掛け、エンジンを停止させてキーを抜き取ってください。また、必ず機械各部の動きが完全に停止し、機体の温度が十分に下がったのを確認してから、調整、洗浄、格納、修理などの作業に掛かってください。
-
オイルや燃料がこぼれた場合はふき取ってください。
-
適切な訓練を受けていない人には機械の整備をさせないでください。
-
必要に応じ、ジャッキなどを利用して機体や機器を確実に支えてください。
-
機器類を取り外すとき、スプリングなどの力が掛かっている場合があります。取り外しには十分注意してください;油圧の解放を参照。
-
修理作業に掛かる前には、バッテリーの接続を外してください;バッテリーの取り外しを参照。
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可動部に手足を近づけないよう注意してください。エンジンを駆動させたままで調整を行うのは可能な限り避けてください。
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各部品が良好な状態にあり、ボルトナット類が十分にしまっているか常に点検してください。擦り切れたり破損したりしたステッカーは貼り替えてください。
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絶対に安全装置にいたずらをしないでください。
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弊社が認可していないアタッチメントは使用しないでください。アタッチメントによって機体全体の安定性や運転特性が変わることがありますので注意してください。認められていないアタッチメントを御使用になると製品保証を受けられなくなる場合があります。
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交換部品は必ずトロの純正品をお使いください。
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整備・修理中にアームを上げておく必要がある場合は、必ず油圧シリンダにロックを掛けてアームを固定してください。
推奨される定期整備作業
整備間隔 | 整備手順 |
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使用開始後最初の 8 時間 |
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使用開始後最初の 50 時間 |
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使用するごとまたは毎日 |
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25運転時間ごと |
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100運転時間ごと |
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200運転時間ごと |
|
250運転時間ごと |
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400運転時間ごと |
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500運転時間ごと |
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1年ごと |
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1年ごとまたは長期保管前 |
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2年ごと |
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Important: エンジンの整備に関しての詳細は、付属のエンジンマニュアルを参照してください。
整備前に行う作業
シリンダロックの使い方
警告
ローダアームが下がって人に当たると非常に危険である。
ローダーアームを上げたままで作業する必要がある場合は、必ず作業を開始する前にロックを掛けておく。
シリンダロックのかけ方
シリンダロックの取り外しと収納
Important: マシンを使用する前に、シリンダロックをロッドから外して、確実に収納してください。
-
エンジンを掛ける。
-
アームを一番高い位置に上昇させる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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シリンダロックを固定しているリンチピンを取り外す。
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シリンダロックを上方に回転させてローダアームに被せ、リンチピンで固定する。
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アームを下降させる。
内部の機器へのアクセス
警告
エンジンを作動させたままでカバーやフードやスクリーンを開けると可動部に触れて大けがをする恐れがある。
カバーやフードやスクリーンを開く時は、必ず、エンジンを停止してキーを抜き取り、エンジンが冷えのを待つこと。
後アクセスカバーの閉じ方
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後アクセスカバーを上方に閉じる。タブとスロットを整列させること。
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後アクセスカバーを前方に押してハンドノブのねじ山部分を機体のねじ穴に合わせる。
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ハンドノブを締めて後アクセスカバーを固定する。
サイドスクリーンの外し方
-
フードを開ける。
-
サイドスクリーンを上にスライドさせて(図 27)前スクリーンとフレームのスロットから外す。
サイドスクリーンの取り付け方
前スクリーンとフレームにあるスロットにサイドスクリーンをスライドさせて入れる。
潤滑
エンジンの整備
エンジンの安全事項
-
エンジンオイルの点検や補充は、エンジンを止めて行ってください。
-
エンジンのガバナの設定を変えたり、エンジンの回転数を上げすぎたりしないでください。
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手足や顔や衣服を回転部やマフラなどの高温部に近づけないよう十分注意すること。
エアクリーナの整備
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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25運転時間ごと |
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エアクリーナのカバーとボディの整備
Important: エアクリーナのフィルタの交換は、インジケータが赤色になってから行ってください(図 30)。早めに整備を行っても意味がありません。むしろフィルタを外したときにエンジン内部に異物を入れてしまう危険が大きくなります。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載車では)を掛け、ローダーアームを下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
-
フードを開けて支持棒(が付いている場合はそれ)で支える。
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エアクリーナ本体にリーク原因となる傷がないか点検する。吸気部全体について、リーク、破損、ホースのゆるみなどを点検してください。
破損しているものは修理または交換してください。
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エアクリーナのラッチを外し、ボディーからカバーを抜き出す(図 30)。
Important: エアフィルタは外さない。
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ダストカップ側をひねって開き、内部にあるゴミを捨てる。
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エアフィルタカバーの内部を圧縮空気(2.05 bar (30 psi) 以下)できれいに清掃する。
Important: エアクリーナボディの清掃には、圧縮空気を使用しないでください。
-
整備時期インジケータを確認する。
フィルタの交換
Important: エンジンを保護するため、必ずエアフィルタを取り付け、カバーをつけて運転してください。
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エアクリーナのボディーから、フィルタをしずかに引き出す (図 30)。
Note: ボディの側面にフィルタをぶつけないように注意すること。
Important: フィルタは清掃しないでください。
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フィルタに破れや油汚れがないか、ゴムシールに傷がないか点検する。明るい電球などにフィルタをかざして、フィルタに傷がないか点検する;傷がある場合はその部分が明るく抜けて見える。
破損しているフィルタは使用しない。
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注意深くフィルタを取り付ける(図 30)。
Note: 取り付ける時、一次フィルタの外側リムをしっかり押さえて確実に装着してください。
Important: フィルタの真ん中(柔らかい部分)を持たないでください。
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ダストキャップを下に向けてエアクリーナカバーを正しく取り付け、ラッチを掛ける(図 30)。
-
フードを閉じる。
エンジンオイルについて
整備間隔 | 整備手順 |
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使用開始後最初の 50 時間 |
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使用するごとまたは毎日 |
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100運転時間ごと |
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200運転時間ごと |
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エンジンオイルの仕様
オイルの種類:洗浄性オイル(API 規格 CH-4 またはそれ以上)
クランクケースの容量:フィルタを含めて 3.7 リットル
粘度:下の表を参照してください。
エンジンオイルの量を点検する
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、ローダーアームを下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取り、エンジンが冷えるまで待つ。
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フードを開ける。
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ディップスティック取り付け部の周辺をきれいにぬぐう(図 32)。
-
ディップスティックを抜き、先端の金属部分(図 32) をウェスできれいに拭く。
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ディップスティックを補給管の中にしっかりと差し込む(図 32)。
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ディップスティックを抜き取り、オイルの量を見る。
-
油量が少なければ(下穴よりも下)、オイル補給口のキャップの周囲をきれいに拭いてキャップを外す(図 32)。
-
バルブカバーの補給口から、ディップスティックの上側の穴までオイルを補給する。
Important: 入れすぎないでください。入れすぎはエンジンを傷めます。
-
オイルキャップとディップスティックを取り付ける。
-
フードを閉じる。
エンジンオイルの交換
-
エンジンを始動し、5 分間程度運転する。
Note: オイルが温まって排出しやすくなります。
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オイルが完全に抜けるように、排出口側がやや低くなるように駐車する。
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アームを下降させ、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止し、キーを抜き取る。
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ドレンプラグを抜く(図 33)。
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オイルが完全に抜けたら、プラグを取り付ける。
Note: 廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分する。
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オイル補給口のキャップ(図 32)を取り、所要量の約 80% のオイルを、バルブカバーから入れる。
-
オイルの量を点検する。
-
ディップスティックの上の穴に達するまで補給口から残りのオイルをゆっくりと補給する。
-
キャップを取り付ける。
オイルフィルタの交換
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エンジンからオイルを抜く;エンジンオイルの交換を参照。
-
オイルが完全に抜けたら、プラグを取り付ける。
Note: 廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分する。
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フィルタの下に容器かウェスを置き、オイルを受けられるようにする。
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オイルフィルタ(図 34)を外し、フィルタのアダプタガスケットの表面をきれいに拭く。
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新しいフィルタ中央の穴から適切なタイプの新しいオイルを入れる。オイルがねじ山部分にきたら一旦停止する。
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フィルタがオイルを吸収するまで 1-2 分間まち、吸収されなかった余分なオイルを出す。
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新しいフィルタのガスケットにオイルを薄く塗る。
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アダプタに新しいフィルタを取り付ける。ガスケットがアダプタに当たるまで手でねじ込み、そこから更に ½ 回転増し締めする。
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オイル補給口のキャップ(図 32)を取り、所要量の約 80% のオイルを、バルブカバーから入れる。
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オイルの量を点検する。
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ディップスティックの上の穴に達するまで補給口から残りのオイルをゆっくりと補給する。
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キャップを取り付ける。
燃料系統の整備
危険
燃料は非常に引火・爆発しやすい物質である。発火したり爆発したりすると、やけどや火災などを引き起こす。
燃料に関する注意事項の説明は燃料についての安全事項 を参照してください。
燃料ラインと接続の点検
整備間隔 | 整備手順 |
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400運転時間ごと |
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燃料ラインやその接続部に劣化、破損、ゆるみなどが出ていないか点検してください。ゆるんでいる場合は締め付け、燃料ラインが破損している場合は代理店に連絡してください。
燃料フィルタ・水セパレータからの水抜き
整備間隔 | 整備手順 |
---|---|
使用するごとまたは毎日 |
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、ローダーアームを下げる。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
-
エンジン右側にある燃料フィルタ(図 35)を探し出し、その下に汚れていない容器をおく。
-
燃料フィルタ下部にあるドレンプラグをゆるめ、流れ出てくる水や異物を回収する。
-
水や異物が全部出たらドレンバルブを締める。
燃料フィルタキャニスタとインラインフィルタの交換
整備間隔 | 整備手順 |
---|---|
400運転時間ごと |
|
-
平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、ローダーアームを下げる。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
-
後アクセスカバーを開く;後アクセスカバーの開け方を参照。
-
エンジン右側にある燃料フィルタ(図 35)を探し出し、その下に汚れていない容器をおく。
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フィルタ容器(図 35)の周辺をウェスできれいにぬぐう。
-
フィルタ容器を外して取り付け部をきれいに拭く(図 35)。
-
新しいフィルタのガスケットに薄くオイルを塗る。
-
フィルタ容器に燃料を入れる。
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ガスケットが取り付け部に当るまで手でフィルタをねじ込み、そこからさらに ½ 回転締め付ける(図 35)。
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燃料フィルタ容器の左側にあるインラインフィルタ(図 35)を探し出し、フィルタの側面についている燃料の流れ方向を示す矢印の向きを確認する。
-
インラインフィルタの前後両方のクランプをゆるめて、フィルタをホースから外す(図 35)。 外したフィルタは廃棄する。
-
新しいフィルタにホースを接続する(図 35);フィルタについている矢印がエンジン(電気燃料ポンプ)の方を向くように取り付けること。
-
ホースクランプで、ホースをフィルタに固定する。
-
後アクセスカバーを閉じて固定する。
燃料系統からのエア抜き
以下の場合には、燃料システムからのエア抜きを実施する必要があります:
-
新しいエンジンを初めて始動する時
-
燃料切れでエンジンが停止した時
-
燃料系統の整備作業(例えばフィルタの交換)を行った後
-
平らな場所に駐車し、アームを降下させ、エンジンを停止させる。
-
燃料タンクに少なくとも半分程度の燃料があることを確認する。
-
フードを開ける。
-
燃料噴射ポンプについているエア抜きねじ(図 36)をゆるめる。
-
キースイッチのキーを ON 位置に回す。電動燃料ポンプが作動を開始し、エア抜きねじの周囲からエアが漏れ出てくるのが確認される。燃料が連続的に流れるのがねじ穴から確認できるまでキーを ON に保持しておく。
-
エア抜きねじを締めて始動キーを OFF にする。
Note: 以上の手順を実行すればエンジンが始動するはずですが、もしこれでも始動できない場合、射出ポンプとインジェクタとの間にエアが入っている可能性があります。代理店に連絡してください。
燃料タンクの内部清掃
整備間隔 | 整備手順 |
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2年ごと |
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燃料タンクの内部清掃は弊社代理店に依頼して行ってください。
電気系統の整備
電気系統に関する安全確保
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マシンの整備や修理を行う前に、バッテリーの接続を外してください。バッテリーの接続を外すときにはマイナスケーブルを先に外し、次にプラスケーブルを外してください。接続するときにはプラスを先に接続し、次にマイナスを接続してください。
-
バッテリーの充電は、火花や火気のない換気の良い場所で行ってください。バッテリーと充電器の接続や切り離しを行うときは、充電器をコンセントから抜いておいてください。また、安全な服装を心がけ、工具は確実に絶縁されたものを使ってください。
-
バッテリー液は毒性があり、皮膚に付くとやけどを引き起こします。皮膚、目、衣服に付着させないよう注意してください。バッテリーに関わる作業を行うときには、顔や目や衣服をきちんと保護してください。
-
バッテリーからは爆発性のガスが発生します。バッテリーにタバコの火、火花などの火気を近づけないでください。
バッテリーの整備
バッテリーの表面はいつもきれいに、常にフル充電状態にしておきましょう。バッテリーやバッテリーボックスの清掃にはペーパータオルが便利です。端子部に腐食が発生した場合には、重曹水(水4:重曹1)で清掃します。きれいになった端子には、錆びないようにグリスを塗っておきます。
仕様: 12 V, 585 A(CCA)
バッテリーの取り外し
警告
バッテリーの端子に金属製品や車体の金属部分が触れるとショートを起こして火花が発生する。それによって水素ガスが爆発を起こし人身事故に至る恐れがある。
-
バッテリーの取り外しや取り付けを行うときには、端子と金属を接触させないように注意する。
-
バッテリーの端子と金属を接触させない。
-
平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載車では)を掛け、ローダーアームを下げる。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
-
後アクセスカバーを開く;後アクセスカバーの開け方を参照。
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バッテリーアクセスパネルを取り外す
-
バッテリー固定用のボルト、ワッシャ、押さえ棒を外す(図 38)。
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バッテリー端子から、マイナス(黒;アース側)ケーブルを外す(図 38)。締結具はすべて保管しておく。
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プラス(赤)ケーブルのゴムカバーを外す。
-
バッテリー端子から、プラス(赤)ケーブルを外す(図 38)。締結具はすべて保管しておく。
-
ラジエターを吊り上げてシャーシから外す。
バッテリーの充電
Important: バッテリーはいつもフル充電状態にしておきましょう(液の比重が1.265になる)。特に氷点下で保管する場合にはこのことを守ってください。
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車体からバッテリーを取り外す;バッテリーの取り外しを参照。
-
25-30アンペアで10-15分、または4-6 アンペアで30分、バッテリーを充電する(図 39)。充電しすぎないように注意すること。
-
充電が終わったら、チャージャのプラグをコンセントから抜いてから、チャージャのリード線をバッテリー端子から外す()図 39。
バッテリーの清掃
Note: バッテリーの寿命を延ばすために、端子や周囲が汚れないように維持してください。
-
平らな場所に駐車し、駐車ブレーキ(搭載車では)を掛け、ローダーアームを下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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機体からバッテリーを外す:バッテリーの取り外し。
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重曹と水でケース全体を洗う。
-
真水でケースを仕上げ洗いする。
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腐食防止のために両方の端子部にワセリン(Grafo 112X: P/N 505-47)を薄く塗る。
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バッテリーを取り付ける; バッテリーを取り付けるを参照。
バッテリーを取り付ける
-
先ほど取り外したねじ類を再使用して、プラスケーブル(赤いケーブル)をバッテリーのプラス(+)端子に取り付ける(図 38)。
-
プラス(+)端子に赤いゴムカバーを取り付ける。
-
先ほど取り外したねじ類を再使用して、マイナスケーブル(黒いケーブル)をバッテリーのマイナス(-)端子に取り付ける(図 38)。
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押さえ棒、ボルト、ワッシャでバッテリーを固定する(図 38)。
Important: 鋭利な端部などにバッテリーのケーブルを当てないよう、またケーブル同士を接触させないよう、注意してください。
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バッテリーアクセスパネルを取り付ける(図 37)。
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後アクセスカバーを閉じる;後アクセスカバーの閉じ方を参照。
後付けしたバッテリーの整備
本機にもともと搭載されているバッテリーはメンテナンスフリータイプです。別のバッテリーに交換した場合は、そのバッテリーのメーカーの指示に従って整備してください。
ヒューズの整備
機械の電気回路を保護するためにヒューズを使用しています。ヒューズに関する整備は何も必要ありません。但し、万一ヒューズが飛んだ場合には、配線がショートしていないか点検してください。図 40は、ヒューズブロック内の各ヒューズの位置を示します。
Note: 本機を始動できない場合、主回路またはコントロールパネル・リレーのヒューズが破損している可能性があります。
ヒューズにアクセスするには、以下の要領でヒューズパネルを外してください:
走行系統の整備
クローラの整備
整備間隔 | 整備手順 |
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使用開始後最初の 50 時間 |
|
使用するごとまたは毎日 |
|
100運転時間ごと |
|
250運転時間ごと |
|
クローラの洗浄
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平らな場所に停車して駐車ブレーキを掛ける。
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バケットを取り付けて下向きにした状態からバケットを地表面に押しつけてトラクションユニット前端を地表面から数 cm 浮かす。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
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圧力洗浄機または水道水(ホース)で左右のクローラ部分を洗浄する。
Important: 高圧洗浄器は、クローラ(キャタピラ)部分の清掃にのみ使用してください。他の部分の洗浄には高圧洗浄器を使用しないでください。駆動スプロケットと機体の間に高圧洗浄機を使用しないでください。モータのシールを破損させる可能性があります。圧力洗浄器を使うと、電気系統や油圧バルブに水が浸入し、トラブルの原因となります。
Important: ロードホイール、テンションホイール、駆動スプロケットも完全に洗浄してください (図 43)。洗浄されているロードホイールは自由に回転します。
クローラの張りの調整
テンションナットとテンションチューブの背面との間には 7 cm のすき間があるのが適正です(図 44)。距離が適切でない場合は、以下の調整を行ってください:
クローラの交換
細幅クローラの交換
摩耗が進んだクローラは交換してください。
Note: 細幅クローラの場合は、前側テンションホイールが、テンションチューブの端部のフォークの内側に取り付けられています(図 46)。
-
平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、ローダーアームを下げる。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
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交換したい側を持ち上げてクローラを床から 8-10 cm 程度浮かせ、この状態で支持する。
-
ロッキングボルトとナットを外す(図 45)。
-
½" のドライブレンチを使用して、テンショニングねじを左にまわしてドライブテンションを解放する(図 45と図 46)。
-
テンションホイールをユニットの後方に向かって押してテンションチューブをフレームに当てる(図 46)
フレームに当たらない場合は、テンショニングねじを更に回す。
-
クローラを外す;テンションホイールの上から始めて、クローラを前進方向に回転させながら、皮をむく要領で取り外す。
-
テンションホイールからクローラがが外れたら、駆動スプロケットとロードホイールからもクローラを外す(図 46)。
-
駆動スプロケットからスタートして、新しいクローラをスプロケットに巻きつけるようにして取り付ける;クローラについている爪がスプロケットのコグにはまるように取り付けること(図 46)。
-
ロードホイールとロードホイールの間にクローラを押し込む(図 46)。
-
テンションホイールの下側からスタートして、クローラを後退方向に回転させながらテンショニングホイールに取り付ける。
-
テンショニングねじを左に回してテンションナットとテンションチューブの背面との間に 7 cm のすき間(図 44)を作る。
-
テンションねじのノッチのうち、ロッキングボルトの穴に一番近いノッチを穴に合わせ、ねじを溝をローラを適切な穴に合わせてセットし、シャフトを通してボルトとナットで固定する。
-
トラクションユニットを床面まで降ろす。
-
機体のもう一方の側にも、ステップ3~14の作業を行う。
太幅クローラの交換
摩耗が進んだクローラは交換してください。
Note: 広幅クローラの場合は、前側テンションホイールが、テンションチューブの端部の側部に取り付けられています(図 47)。
-
平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、ローダーアームを下げる。
-
エンジンを止め、キーを抜き取る。
-
交換したい側を持ち上げてクローラを床から 8-10 cm 程度浮かせ、この状態で支持する。
-
ロッキングボルトとナットを外す(図 45)。
-
½" のドライブレンチを使用して、テンショニングねじを左にまわしてドライブテンションを解放する(図 45と図 47)。
-
テンションホイールをユニットの後方に向かって押してテンションチューブをフレームに当てる(図 47)
フレームに当たらない場合は、テンショニングねじを更に回す。
-
外側のテンションホイールを固定しているナット外して右ホイールを取り外す(図 47)。
-
クローラを取り外す(図 47)。
-
内側のテンションホイールを固定しているナット外して右ホイールを取り外す(図 47)。
-
2本のホイールの左右それぞれの側から大きなワッシャ(各側1枚、合計4枚)を外す。
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ワッシャがついていた部分やホイールの内側にあるベアリングに残っている古いグリスや汚れをふき取り、これらの部分にグリスを詰める。
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グリスの上から、大きいワッシャを取り付ける。
-
先ほど取り外したナットで、内側テンションホイールを元通りに取り付ける(図 47)。
-
ナットを 407 N·m (1.09 kg.m = 300 ft-lb)にトルク締めする。
-
新しいクローラのラグが、駆動スプロケットの真ん中にある2つのスペーサの間に嵌るように取り付けする(図 47)。
-
先ほど取り外したナットで、外側テンションホイールを元通りに取り付ける(図 47)。
-
ナットを 407 N·m (1.09 kg.m = 300 ft-lb)にトルク締めする。
-
テンショニングねじを左に回してテンションナットとテンションチューブの背面との間に 7 cm のすき間(図 44)を作る。
-
テンションねじのノッチのうち、ロッキングボルトの穴に一番近いノッチを穴に合わせ、ねじを溝をローラを適切な穴に合わせてセットし、シャフトを通してボルトとナットで固定する。
-
トラクションユニットを床面まで降ろす。
-
機体のもう一方の側にも、ステップ3~20の作業を行う。
ロードホイールの保守
-
クローラを外す; クローラの交換を参照。
-
各下クローラガイド(ロードホイールを囲っている)を固定しているボルト(各4)を外してガイドを取り外す(図 48)。
-
ロードホイールについているスナップリングとキャップを外す(図 49)。
-
キャップ外した部分とガスケット周囲のグリスの状態を見る (図 49)。グリスが劣化しているようであれば、完全にふき取り、ガスケットを交換して新しいグリスを入れる。
-
ロードホイールのベアリングにガタがなく、ホイールが滑らかに回転することを確認する。ホイールが凍り付いている場合には、ロードホイールキット取り付け要領書に従ってロードホイールを交換するか、代理店にご連絡ください。
-
グリスを入れたキャップをボルトの頭に取り付ける (図 46)。
-
キャップをスナップリングで固定する (図 46)。
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もう一方のロードホイールにも、ステップ3-7の作業を行う。
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先ほど取り外したボルト類を使って、各クローラガイドを機体に取り付ける。ボルトを91-112N·m(3.7-4.6kg.m = 67~83 ft-lb)にトルク締めする。
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クローラを取り付ける; クローラの交換を参照。
冷却系統の整備
冷却系統に関する安全確保
-
冷却液を飲み込むと中毒を起こす;冷却液は子供やペットが触れない場所に保管すること。
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高温高圧の冷却液を浴びたり、高温のラジエター部分に触れたりすると大火傷をする恐れがある。
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エンジン停止後、少なくとも15分間程度待って、エンジンが冷えてからキャップを開けること。
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キャップを開けるときはウェスなどを使い、高温の水蒸気を逃がしながらゆっくりと開けること。
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冷却系統の整備
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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100運転時間ごと |
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危険
回転中のシャフトやファンは人身事故の原因となる。
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マシンは、必ず安全カバー類を取り付けた状態で運転すること。
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手、指、衣服などを、回転中のファンやシャフトに近づけないこと。
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整備を行う前に、必ず平らな場所に駐車し、ローダーアームを降下させ、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止させてキーを抜き取る。
ラジエタースクリーンの清掃
整備間隔 | 整備手順 |
---|---|
使用するごとまたは毎日 |
|
圧縮空気を使って、スクリーンにたまった汚れを取り除いてください。
エンジン冷却液の点検、補充、抜き取り
冷却液は水とエチレングリコール不凍液の 50/50 混合液です。
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平らな場所に駐車し、ローダーアームを降下させ、駐車ブレーキを掛け、エンジンを停止する。
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エンジンのキーを抜き取ってエンジンが冷えるまで待つ。
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冷却水の量は補助タンクで点検する(図 50)。
液量がタンクについているマーク以上であれば適正。
-
冷却水が不足している場合は、以下の作業を行う:
-
冷却水補給キャップを外す(図 51)。
-
上部と前部の冷却液抜き取りバルブを開く(図 51)。
-
冷却水補給管から冷却水を補充する。前部の冷却液抜き取りバルブから液があふれてくるまで補充する(図 51)。
-
前部の冷却液抜き取りバルブを閉じる(図 51)。
-
冷却水補給管から冷却水を補充する。上部の冷却液抜き取りバルブから液があふれてくるまで補充する(図 51)。
-
上部の冷却液抜き取りバルブを閉じる(図 51)。
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冷却水の水位が冷却水補給管の内部に上昇するまで、冷却水を追加する(図 51)。
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冷却水補給キャップを取り付ける(図 51)。
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冷却水補助タンクの Full マークまで、補助タンクに冷却水を追加する(図 50)。
-
-
補助タンクのキャップを取り付けて終了。
エンジンの冷却液の交換
ブレーキの整備
駐車ブレーキのテストを行う
整備間隔 | 整備手順 |
---|---|
使用するごとまたは毎日 |
|
-
駐車ブレーキを掛ける;駐車ブレーキレバーを参照。
-
エンジンを掛ける。
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マシンをゆっくりと前進または後退させる操作を行う。
Note: ブレーキが駆動スプロケットに掛かるまでの間、機体がわずかに動く場合があります。
-
わずかに動いた後にブレーキで機体を静止できない場合には、代理店にご連絡ください。
ベルトの整備
油圧ポンプのベルトの点検
制御系統の整備
コントロール装置の調整
コントロール類は工場で調整済みですが、長期間にわたって使用しているうちにレバー類の整列、ニュートラル位置、全速前進時の直進状態などの調整が必要になることが考えられます。
Important: これらの調整を適切に行うには、以下の順序を守ってそれぞれを調整してください。
走行コントロールの整列調整
全速後退位置にセットした走行コントロールバーが基準バーに対して適切に整列しなくなっていることを発見した場合には、直ちに以下の調整を行ってください。
走行コントロールの整列調整
マシンの暖機運転が終了していて、走行コントロールがニュートラル位置にあるのにマシンが前進や後退をする場合には、直ちに以下の作業を行ってください:
-
機体をもちゃいげて、左右両方のクローラを床から浮かせる。
-
後アクセスカバーを開く。
-
走行ロッド (コントロールパネル下) のジャムナットをゆるめる (図 56)。
-
エンジンを始動し、スロットルレバーを高速側へ ⅓ 程度の位置にセットする。
警告
エンジン回転中は、機械各部が動いており、これらに巻き込まれるとけがや火傷などを負う危険がある。
調整作業中に機械各部への巻き込まれ、挟まれ、高温部への接触などを起こさないように十分注意すること。
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左側のクローラが動く場合には、動かなくなるまで右側の走行ロッドを長く(または短く)する。
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右側のクローラが動く場合には、動かなくなるまで左側の走行ロッドを長く(または短く)する。
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ジャムナットを締めつける。
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後アクセスカバーを閉じる。
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エンジンを止めて、機体を床に降ろす。
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走行コントロールを全速後退位置にセットし、後退走行動作を確認する。直進しない場合には、どちら側にずれるかを確認する。まっすぐに後退できるようになるまで上記の調整を行う。
走行コントロールの直進調整(全速前進位置)
走行コントロールバーを全速前進位置にセットした時にマシンが直進しなくなっていることを発見した場合には、以下の調整を行ってください:
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走行コントロールバーを全速前進位置にセットして実際にマシンを走行させ、どちら側にずれるかを確認する。
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走行コントロールから手を離す。
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マシンが 左にずれていく場合には、走行コントロール前部にある走行固定ねじを固定している 右側の ジャムナットをゆるめて固定ねじの調整を行う (図 57)。
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マシンが 右にずれていく場合には、走行コントロール前部にある走行固定ねじを固定している 左側の ジャムナットをゆるめて固定ねじの調整を行う (図 57)。
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マシンが正しく直進するまで、ステップ 1~4 の調整を繰り返す。
Important: 全速前進位置で、走行固定ねじがストップに当たっている(油圧ポンプを保護するため)ことを確認してください。
油圧系統の整備
油圧系統に関する安全確保
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万一、油圧オイルが体内に入ったら、直ちに専門医の治療を受ける。万一、油圧オイルが体内に入った場合には、数時間以内に手術を受ける必要がある。
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油圧装置を作動させる前に、全部のラインコネクタが適切に接続されていること、およびラインやホースの状態が良好であることを確認すること。
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油圧のピンホールリークやノズルからは作動油が高圧で噴出しているので、絶対に手などを近づけない。
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リークの点検には新聞紙やボール紙を使う。
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油圧関係の整備を行う時は、内部の圧力を確実に解放する。
油圧の解放
エンジンが ON の状態で油圧を解放するには、補助油圧装置を OFF にしてローダアームを床面まで降ろしてください。
エンジンが OFF の状態で油圧を解放するには、補助油圧装置を前進フローと後退フローの中間位置にセットし、ローダアーム/アタッチメント傾斜レバーを前後に動かし、ローダアームを前方向に何度か動かしてアームを床面まで降ろしてください(図 58)。
油圧作動液の仕様
整備間隔 | 整備手順 |
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100運転時間ごと |
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油圧オイルタンクの容量:45 リットル
油圧オイルは以下の作動液のうちから選択してください:
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トランスミッション/油圧装置用トロ・プレミアム・トラクタオイル(製品の詳細についは弊社代理店におたずねください)
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オールシーズン用トロ PX 長寿命油圧オイル(製品の詳細についは弊社代理店におたずねください)
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上記製品のどちらも入手不可能な場合には、トラクタ用汎用油圧オイル(UTHF)に区分される製品をお使いいただけますが、必ず通常の石油系オイルをお選びください。以下に挙げる特性および産業規格をすべて満たしている必要があります。油圧オイルの性能や規格については専門業者にご相談ください。
Note: 不適切なオイルの使用による損害については弊社は責任を持ちかねますので、品質の確かな製品をお使い下さる様お願いいたします。
物性 粘度, ASTM D445 cSt at 40° C: 55-62 cSt at 100° C: 9.1-9.8 粘性インデックス: ASTM D2270 140–152 流動点, ASTM D97 -37 to -43°C 産業規格 API GL-4, AGCO Powerfluid 821 XL, Ford New Holland FNHA-2-C-201.00, Kubota UDT, John Deere J20C, Vickers 35VQ25, および Volvo WB-101/BM Note: 多くの油圧オイルはほとんど無色透明であり、そのためオイル洩れの発見が遅れがちです。油圧オイル用の着色剤(20ml 瓶)をお使いいただくと便利です。1瓶で 15-22 リットルのオイルに使用できます。ご注文は弊社代理店へ(パーツ番号は P/N 44-2500 です)。
油圧オイルの量を点検する
整備間隔 | 整備手順 |
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25運転時間ごと |
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Important: 必ず所定の油圧オイルを使用してください。規格外のオイルは油圧系統を破損させる恐れがあります。油圧作動液の仕様を参照。
油圧フィルタの交換
整備間隔 | 整備手順 |
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使用開始後最初の 8 時間 |
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200運転時間ごと |
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Important: 自動車用オイルフィルタを使用しないでください; 油圧系統に重大な損傷を起こすおそれがあります。
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平らな場所に駐車し、駐車ブレーキを掛け、ローダーアームを下げる。
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エンジンを止め、キーを抜き取る。
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後アクセスカバーを開く。
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フィルタの下にオイルを受ける容器をおく(図 61)。
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古いフィルタ(図 61)を外し、フィルタのアダプタガスケットの表面をきれいに拭く。
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新しいフィルタのゴム製ガスケットにきれいな油圧オイルを薄く塗る。
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アダプタに新しいフィルタを取り付ける(図 61)。ゴム製ガスケットがアダプタに当たるまで手でねじ込み、そこから更に ¾ 回転増し締めする。
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こぼれたオイルを拭き取る。
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エンジンを始動して2分間運転し、システム内のエアをパージする。
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エンジンを止めてキーを抜き、オイル漏れがないか点検する。
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油圧オイルタンク内のオイル量を点検し、不足している場合には、ディップスティックのマークまで油圧オイルを補給する;油圧オイルの量を点検するを参照。
Important: 入れすぎないこと。
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後アクセスカバーを閉じる。
油圧オイルの交換
整備間隔 | 整備手順 |
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400運転時間ごと |
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平らな場所に駐車する。
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ローダーアームを上昇させ、シリンダロックを取り付ける。
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エンジンを止め、キーを抜き取り、エンジンが冷えるまで待つ。
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フードを開ける。
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油圧オイルタンクのキャップとディップスティックを外す(図 62)。
Note: 補給キャップは前スクリーンの裏側にあります。作業しにくい場合には、スクリーンを外してください。
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機体前部の下に、オイルを受ける大きな容器(57リットル以上)を置く(図 63)。
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ドレンプラグを抜き取り、排出されるオイルを容器に回収する(図 63)。
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オイルが完全に抜けたらドレンプラグを取り付けて締め付ける。
Note: 廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分する。
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油圧オイルタンクに油圧作動液の仕様に指定されている油圧オイルを入れる。
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エンジンを始動し、数分間程度運転する。
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エンジンを停止する。
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油圧オイルの量を点検し、必要に応じてタンクに補給する; 油圧オイルの量を点検するを参照。
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フードを閉じる。
洗浄
よごれを落とす。
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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Important: 冷却シュラウドを外して運転するとオーバーヒートしてエンジンが損傷します。
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平らな場所に駐車し、ローダーアームを降下させる。
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エンジンを止め、キーを抜き取り、エンジンが冷えるまで待つ。
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フードを上げ、支持棒で支える。
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前と両脇のスクリーンを清掃する。
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エアクリーナについた汚れはふき取る。
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エンジンやオイルクーラのフィンについている汚れをブラシやブロアで落とす。
Important: 冷却シュラウドを外して運転するとオーバーヒートしてエンジンが損傷します。
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フード、マフラー、防熱シールド、ラジエタースクリーン(など)を清掃する。
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フードを閉じる。
シャーシの清掃
整備間隔 | 整備手順 |
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100運転時間ごと |
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フードを開け、懐中電灯を使ってエンジンルームの下部を点検する。ごみの厚さが2.5-5 cm の場合は、代理店に依頼してマシンの後部、燃料タンク、バッテリーを外してもらい、シャーシをきれいに清掃する。