はじめに

リールマスタートランスポートフレームは、リール式のカッティングユニットを搭載した状態で牽引車両に接続して使用する芝刈り機でありそのような業務に従事するプロのオペレータが運転操作することを前提として製造されています。 この製品は、集約的で高度な管理を受けているスポーツフィールドや商用目的で使用される芝生に対してリール式の刈り込みを行うことを目的として製造されております。この機械は本来の目的から外れた使用をすると運転者本人や周囲の人間に危険な場合があります。

この説明書を読んで製品の運転方法や整備方法を十分に理解し、他人に迷惑の掛からない、適切で安全な方法でご使用ください。この製品を適切かつ安全に使用するのはお客様の責任です。

安全上の注意事項、取扱い説明書、アクセサリについての資料、代理店の検索、製品のご登録などについては www.Toro.com へ。

整備について、また純正部品についてなど、分からないことはお気軽に弊社代理店またはカスタマーサービスにおたずねください。お問い合わせの際には、必ず製品のモデル番号とシリアル番号をお知らせください。図 1にモデル番号とシリアル番号を刻印した銘板の取り付け位置を示します。いまのうちに番号をメモしておきましょう。

Important: シリアル番号プレートについている QR コード(無い場合もあります)をモバイル機器でスキャンすると、製品保証、パーツその他の製品情報にアクセスできます。

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この説明書では、危険についての注意を促すための警告記号(図 2)を使用しております。これらは死亡事故を含む重大な人身事故を防止するための注意ですから、必ずお守りください。

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この他に2つの言葉で注意を促しています。重要 は製品の構造などについての注意点を、はその他の注意点を表しています。

この製品は、関連するEU規制に適合しています。 詳細については、DOC シート(規格適合証明書)をご覧ください。

安全について

安全に関する一般的な注意

  • 本機をご使用になる前に必ずこのマニュアルと、牽引に使用する車両のマニュアルの両方をお読みになり、内容をよく理解してください。この製品を使用する人すべてがこの製品と牽引用の車両について良く知り、警告の内容を理解するようにしてください。

  • この機械を運転する時は常に十分な注意を払ってください。運転中は運転操作に集中してください;注意散漫は事故の大きな原因となります。

  • 機械の可動部の近くには絶対に手足を近づけないでください。

  • ガードなどの安全保護機器が正しく取り付けられていない時は、運転しないでください。

  • 作業場所に、子供や無用の大人、ペットなどを近づけないでください。子供に運転させないでください。

  • 各部の調整、修理、洗浄、格納などは、必ず牽引車両のエンジンを停止させ、キーがついている機種ではキーを抜き取り、各部が完全に停止してから行ってください。

間違った使い方や整備不良は人身事故などの原因となります。事故を防止するため、以下に示す安全上の注意や安全注意標識(Graphic)のついている遵守事項は必ずお守りください 「注意」、「警告」、および「危険」 の記号は、人身の安全に関わる注意事項を示しています。これらの注意を怠ると死亡事故などの重大な人身事故が発生する恐れがあります。

安全ラベルと指示ラベル

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危険な部分の近くには、見やすい位置に安全ラベルや指示ラベルを貼付しています。破損したりはがれたりした場合は新しいラベルを貼付してください。

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組み立て

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

牽引車両の準備を行う

  1. 使用する牽引車両が、仕様の表に挙げられた仕様を満たしていることを確認する。

  2. 牽引車両の油圧システムがオープン型かクローズ型かを調べる。

    Important: クローズ型の場合には、特別な操作手順が必要になってきます。運転操作の章を参照してください。

    Note: 牽引車両の正規ディーラに連絡して、リモート油圧システムを正しく取り付けてもらってください。取り付けを間違うと油圧システムを損傷する可能性があります。

  3. 牽引車両の油圧システムが、トランスポートフレームのコントロールバルブの油圧供給ラインと戻りラインに接続されることを確認する。牽引車両によっては、トランスポートフレームに付属しているクイックカップラとは異なるサイズのカップラが必要になるので注意する。

  4. トランスポートフレームの油圧系統は、高品質の油圧オイルを満たした状態で出荷しています。牽引車両のエンジンを始動する前に必ず油圧オイルの量を確認し、その後は毎回使用前に点検する。初めて使用する前に、トランスポートフレームの油圧オイルと牽引車両の油圧オイルに互換性があることを確認する。、推奨オイルの銘柄を以下に示します:

    交換用の推奨オイル:Toro プレミアム・トランスミッション/油圧機器用トラクタ作動液 (19 リットル缶または208 リットル缶)。

    使用可能な他のオイル:Toro プレミアム・トランスミッション/油圧機器用トラクタ作動液が入手できない場合は、以下に挙げる特性条件および産業規格を満たす石油系のユニバーサルトラクタ油圧オイル(UTHF)を使用することができます。合成オイルの使用はお奨めできません。オイルの専門業者と相談の上、適切なオイルを選択してください:

    Note: 不適切なオイルの使用による損害については弊社は責任を持ちかねますので、品質の確かな製品をお使い下さる様お願いいたします。

     物性:
      粘度, ASTM D445cSt @ 40°C 55 ~ 62
    cSt @ 100°C 9.1 ~ 9.8
      粘性インデックス ASTM D2270140-152
      流動点, ASTM D97-37°C - -43°C
     産業規格:
      API GL-4, AGCO Powerfluid 821 XL, Ford New Holland FNHA-2-C-201.00, Kubota UDT, John Deere J20C, Vickers 35VQ25, および Volvo WB-101/BM

    Note: 多くの油圧オイルはほとんど無色透明であり、そのためオイル洩れの発見が遅れがちです。油圧オイル用の着色剤(20 ml 瓶)をお使いいただくと便利です。1瓶で 15-30 リットルのオイルに使用できます。パーツ番号は P/N 44-2500; ご注文は Toro 代理店へ。

  5. 牽引車両の運転席を運転しやすい位置に調整する。

  6. 牽引バー(ヒッチ)の取り付け穴の位置が、牽引車両の後タイヤの外側面から 125 cm 以内となるように牽引バーを調整する(図 3)。これは旋回時に前のカッティングユニットの昇降アームが干渉しないようにするためである。牽引バーの調整手順については牽引車両のオペレーターズマニュアルを参照。

    Note: 牽引バーの位置を調整しても上記の条件を満足できない場合は、旋回時に十分注意するようにしてください。

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トランスポートフレームのヒッチを調整する

この作業に必要なパーツ

ヒッチピン2
ヘアピンコッター2
  1. 地表面から牽引車両のヒッチ上面までの高さを測る。

  2. 測定値を見てトランスポートフレームのヒッチの高さ上下させて合わせる。以下の表を見て図 4にあるように適切な取り付け穴を選択する。

    牽引車両のヒッチの高さフレーム取り付け穴
    280 mm 未満一番下の2組の穴
    280-381 mm 真ん中の2組の穴
    381 mm 超一番上の2組の穴
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  3. ヒッチピンとヘアピンで、フレームのヒッチを車両のヒッチに固定する。

  4. ジャッキを持ち上げてジャッキからボールピンを抜き取り、ジャッキを回転させて格納位置にする。ボールピンでジャッキを格納位置に固定する(図 16)。

コントロールタワーを取り付ける

この作業に必要なパーツ

下タワー1
上タワー1
キャップスクリュ(⅜ x 2¾")2
Uボルト2
フランジナット(⅜")6
  1. 中央のフレームチューブに下側コントロールタワーを仮止めする;U ボルト(2 本)、フランジナット(⅜")4 個を使用して図 5のように取り付ける。

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  2. 5のように、下側コントロールタワーに上側コントロールタワーを取り付ける;キャップスクリュ(⅜ x 2¾") 2本とフランジナット (⅜")2 個を使用する。

    Note: 上側コントロールタワーチューブの穴を利用して、タワーの高さを一番低い(が使いにくくはない)位置に調整する

  3. コントロールタワーを中央のフレームチューブ上で前後にスライドさせて位置を調整し、フランジナットとUボルトを締める。

    Important: タワーは運転席から手が届く範囲の使いやすい位置にセットしてください。溝やターフの低い場所を横切る時には、タワーが前後に縦揺れします。

  4. 油圧ホース(給液側と戻り側)をホースハンガーに通して配設する(図 6)。

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コントロールリンクとレバーを取り付ける

この作業に必要なパーツ

ノブ付きコントロールレバー3
六角ナット3
クレビスピン(5/16 x 1¼")3
コッターピン (5/32 x ¾")6
  1. コントロールタワーについているキャップスクリュ(4本)を外してコントロールパネルカバーを取り外す(図 8)。

  2. クレビスピンとコッターピンで、上側コントロールリンクチューブをピボットブロックに固定する(図 7)。

  3. クレビスピンに No. 2リチウムグリスを塗りつける。

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  4. コントロールパネルカバーを取り付ける。穴に対応しているキャップスクリュを使用すること(図 8

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  5. ピボットブロックにコントロールレバーを取り付ける(図 7と図 8)。

  6. バルブスプールのレバー(図 9)をバルブの方に軽く押し引きして、それぞれのレバーがニュートラル(真ん中)位置にあることを確認する。

  7. 全部のピボットピンに No. 2 リチウムグリスまたは 30 SAE オイルを塗る。

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  8. 下側コントロールロッドそれぞれに六角ナット(7/16")を取り付ける(図 10)。

  9. 下側コントロールロッドの先端から 10 cm までの部分に No. 2 リチウムグリスを塗る。

  10. 下側コントロールロッドを上側コントロールロッドに途中まで入れる(図 10)。

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  11. 下側コントロールロッドの端にある穴(図 10)にコントロールバルブレバーの取り付けピンを通す(図 9)。

    Note: コントロールロッドが正しく調整されていれば、コントロールタワーのレバーがスロットの中央(ニュートラル位置)に来ます(図 11)。

  12. 正しく調整されていない場合には、上側ロッドに下側ロッドをさらにねじ入れるか出すかして正しく調整する。各レバーを正しく調整できたら、全部のレバーが整列していることを確認する。必要に応じてレバーを再調整する。

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  13. コッターピンで、コントロールロッドをコントロールバルブレバーに固定する(図 10)。

  14. コントロールレバーを上昇位置と下降位置に動かしてレバーの動きに問題がないことを確認する。全部のレバーがスムースに動き、十分に潤滑されていることが必要。必要に応じてコントロールチューブのリンクを再調整する。

  15. レバーの調整ができたら、下側コントロールロッドの六角ナットを締め付ける(図 10)。

給液ホースと戻りホースを牽引車両に接続する

この作業に必要なパーツ

給液ホース1
戻り側ホース1
メスのダストキャップ1
オスのダストキャップ1
  1. クイックカップラ(付属部品)を、牽引車両のカップラに接続する。

  2. 給液ホースと戻りホースについているダストキャップを外す。

    Note: 外したダストキャップはそれぞれのホースにつるしておくと、ホースを外した時にすぐに使えて便利です。

  3. 牽引車両の油圧システムの高圧側に、給液ホースを接続する。

    Note: ホースの誤った接続を防止するために、オスとメスの組み合わせで接続を行うようになっている場合があります。

  4. 牽引システムの戻りポートまたはタンクに、戻りホースを接続する。

    Note: 戻りホースのカップラの近くに、インラインバルブが内蔵されています。

    Important: ホースのつなぎ方が正しくないと機器を破損する恐れがあります。接続方法については、牽引車両のオペレーターズマニュアルで確認してください。

リールマスターモアを取り付ける

この作業に必要なパーツ

キャップスクリュ(½ x 3½ インチ)10
スペーサ10
ロックナット(½")10
長いシャックル4
クレビスピン(⅜ x 1½")4
コッターピン (⅛ x ¾")4
キャップスクリュ(⅜ x 1½ インチ)1
ロックナット(⅜")1
スプリング5
S フック5
  1. 牽引バーの穴を、モアのクロスチューブのブラケットに合わせる。キャップスクリュ(½-13 x 3½")、スペーサチューブ、ロックナット(½-13)で、図 12のようにそれぞれの側を固定する。

    Note: キャップスクリュの頭を内側にしてください。

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    Note: スパルタンモアを取り付ける場合には、牽引バーをモアの前クロスチューブに取り付けるための牽引バー用クランプ(P/N 5-1090)と取り付け用金具が必要になります。必要に応じ最寄りのToro代理店にご相談ください。

  2. 昇降ブラケットを #1 昇降チェーン(後ろ中央)に固定する;長いシャックル、クレピスピン、コッターピンを使用する(図 13)。

    Note: チェーンをカッティングユニットに取り付ける時にひねったり折り曲げたりしないよう注意する。

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  3. 昇降ブラケットの下側取り付け穴を利用して、昇降ブラケットをモアの取り付けブラケットに固定する;キャップスクリュ(⅜ x 1½")とロックナット(⅜")で図 13のように固定する。

  4. 昇降ブラケットの上側取り付け穴にスプリングの一端を引っ掛け、他端は S フックを使って昇降ベイルに取り付ける(図 13)。

  5. 他のモアについては、昇降チェーンをモアの取り付けブラケットに固定する;;長いシャックル、クレピスピン、コッターピンを使用する(図 14)。

    Note: チェーンをカッティングユニットに取り付ける時にひねったり折り曲げたりしないよう注意する。

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  6. モアから数えて5番目のリンクに、スプリングの一端を引っ掛け、他端は S フックを使って昇降ベイルに取り付ける(図 14)。

タイヤ空気圧を点検する

  1. タイヤ空気圧は毎日点検する。

    165-193 kPa(1.68-1.97 kg/cm2 = 24-28 psi)あれば適切である。

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  2. 不足の場合はエアを入れ、過剰な場合は余分なエアを抜く。

製品の概要

トランスポートフレームの運転装置

コントロールレバー

フレーム前部のコントロールタワーの使いやすい位置にあります。

レバーを握って希望位置にセットし、動作が終了したらレバーをニュートラルに戻します。

  • モアを上昇させるには、コントロールレバーを上に、下降させるにはレバーを下に動かします。

  • 途中まで上昇(または下降)させたい場合には、レバー操作を途中で止めてください。

油圧システムのコントロール

トランスポートフレームはオープンセンター式の油圧装置を備えており、同じ方式の油圧装置を持つ牽引車両に接続して使用します。牽引車両の油圧装置がオープンセンター式でない場合には、特殊な注意が必要になります。牽引車両の油圧装置がどちらのタイプなのかを確認し、以下の作業を行ってください:

  1. 牽引車両の油圧装置がオープンセンター式で、トランスポートフレームの油圧装置もオープンセンター式

    • 給液ホースと戻りホースを牽引車両のバルブカップラに接続する。高圧(給液)ラインが、フレームのバルブの「入」ポートに接続されていることを確認する。

      Note: 戻りラインの端部にはチェックバルブが取り付けられています。

    • 牽引車両の油圧流れ方向コントロールバルブのレバーを操作して、トランスポートフレームのバルブに連続してフローが流れるようにする。

    • 牽引車両を始動してコントロールレバーでモアを昇降させてみる。

    Note: モアが正常に昇降しない場合は、給液と戻りが逆に接続されている可能性があります。その場合はカップラを取り付けなおして接続を逆にしてください。また、今後の間違いを防止するためにマーキングや、トランスポート側のホースにオスメスのカップラを取り付けておくなどすることをお奨めします。

    Important: 牽引車両から給油ホースと戻りホースを外した後は、必ず牽引車両の油圧流れ方向コントロールバルブのレバーをニュートラルに戻しておくようにしてください。これにより、「リモート」油圧機能がOFFになります。

  2. 牽引車両の油圧装置がクローズドセンター式で、トランスポートフレームの油圧装置もオープンセンター式

    • 給液ホースと戻りホースを牽引車両のバルブカップラに接続する。

    • 牽引車両を始動させる。

    • 牽引車両の油圧流れ方向コントロールバルブのレバーとトランスポートフレームのコントロールレバーは同時に操作することが必要。牽引車両のバルブレバーは拘束したままにしないこと。牽引車両のバルブレバーをシステムに損傷を与える可能性がある。

    • コントロールバルブでモアを昇降させてみる。

      Note: モアが正常に昇降しない場合は、給液と戻りが逆に接続されている可能性があります。その場合はカップラを取り付けなおして接続を逆にしてください。また、今後の間違いを防止するためにマーキングや、トランスポート側のホースにオスメスのカップラを取り付けておくなどすることをお奨めします。

牽引車両のコントロール装置

トランスポートフレームの運転操作を始める前に、以下の操作方法をよく知っておいてください:

  • PTO の入切

  • エンジン/PTO 速度

  • 後アタッチメントの制御方法(昇降)

  • 補助バルブの操作

  • クラッチ

  • スロットル

  • ギアの選択

  • 駐車ブレーキ

Important: 運転の詳細については、牽引車両のオペレーターズマニュアルを参照してください。

アウトクロス トラクションユニットのコントロール装置

アウトクロス トラクションユニットのコントロール装置、運転、モア用の設定などについての詳細は、アウトクロストラクションユニットのオペレーターズマニュアルを参照してください。

Note: 仕様および設計は予告なく変更される場合があります。

牽引車両に必要な仕様

最低重量1,360 kg (3,000 lb)
PTO の最低必要出力22.4 kW (30 hp)
最低必要油圧10,342 kPa (1,500 psi)
牽引システム牽引バーとピン:直径 25 mm

トランスポートフレームの仕様

長さ381 cm
移動走行時の幅241 cm(リールマスターモア搭載時)
刈り込み幅436 cm(リールマスターモア使用時)
高さ147 cm(コントロールタワーを縮めた状態で)
トレッド幅173 cm
移動走行時の地上高19 cm
純重量628 kg (1,384 lb)
最大移動速度32 km/h

アタッチメントとアクセサリ

トロが認定した各種のアタッチメントやアクセサリがそろっており、マシンの機能をさらに広げることができます。 詳細は弊社の正規サービスディーラ、または代理店へお問い合わせください。www.Toro.comでもすべての認定アタッチメントとアクセサリをご覧になることができます。

いつも最高の性能と安全性を維持するために、必ずToroの純正部品をご使用ください。他社の部品やアクセサリを御使用になると危険な場合があり、製品保証を受けられなくなる場合がありますのでおやめください。

運転操作

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

運転の前に

運転前の安全確認

安全に関する一般的な注意

  • 子供やトレーニングを受けていない大人には、絶対に運転や整備をさせないでください。地域によっては機械のオペレータに年齢制限を設けていることがありますのでご注意ください。オーナーは、オペレータ全員にトレーニングを受講させる責任があります。

  • 安全な運転操作、各部の操作方法や安全標識などに十分慣れておきましょう。

  • 各部の調整、修理、洗浄、格納などは、必ず牽引車両のエンジンを停止させ、キーを抜き取り、各部が完全に停止してから行ってください。牽引車両やそのエンジンの緊急停止方法に慣れておきましょう。

  • ガードなどの安全装置やステッカー類は必ず所定の場所に取り付けて使用してください。不具合のある安全装置は交換または修理してください。これらが正しく機能しない時には機械を使用しないでください。

  • 使用する牽引車両の能力を、車両メーカーや販売店などに確認してください: この重量のエアレータを確実に搭載操作できる能力があることが必要です。

  • この機械には、いかなる改造も加えないでください。

トレーニング期間

実際に芝刈りを行う前に、広くて平らで障害物のない場所で、牽引車両とトランスポートフレームの運転操作を練習してください。モアの始動、停止、昇降動作、そしてすべてのモアを降下させた状態での旋回などに習熟してください。特に一番外側のモアを障害物にぶつけないように運転できるようになってください。また、移動走行時に、モアを移動走行位置にセットして想定されるすべての場所を通常速度で移動できるようになってください。

牽引バージャッキの使い方

トランスポートフレームをジャッキで支えるには

Note: 作業開始前に、トランスポートフレームを牽引車両に接続するかジャッキスタンドで支えるかしてください。

  1. ジャッキと保管チューブからピンを抜き取る(図 16)。

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  2. ジャッキを縦にする(図 17)。

  3. 格納チューブの穴を、ジャッキの穴に合わせる(図 17)。

  4. 格納チューブの穴とジャッキの穴にピンを通す(図 17)。

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  5. ジャッキのハンドルを回して、トランスポートフレームを希望する高さまで持ち上げる。ハンドルを右に回すと上昇、左に回すと下降する。

ジャッキの収納

  1. トランスポートフレームがマシンに確実に接続されていることを確認する。

  2. ジャッキハンドルで、ジャッキパッドを完全に上まで上げる;図 17を参照。

  3. ピンを抜いて牽引バージャッキを水平にする。

  4. 格納チューブの穴を、ジャッキの穴に合わせる。

  5. 格納チューブの穴とジャッキの穴にピンを通す。

運転中に

運転中の安全確認

安全に関する一般的な注意

  • オーナーやオペレータは自分自身や他の安全に責任があり、オペレータやユーザーの注意によって物損事故や人身事故を防止することができます。

  • 作業にふさわしい服装をし、安全めがね、長ズボン、頑丈で滑りにくい安全な靴、および聴覚保護具を着用してください。長い髪は束ね、身体に密着しない装飾品は外し、服のだぶついている部分はまとめるなどしてください。

  • 疲れている時、病気の時、アルコールや薬物を摂取した時は運転しないでください。

  • この機械を運転する時は常に十分な注意を払ってください。運転中は運転操作に集中してください;注意散漫は事故の大きな原因となります。

  • 作業場所には誰も近づけないでください。

  • 人を乗せないでください。また、作業中は周囲から人やペットを十分に遠ざけてください。

  • 運転は、穴や障害物を確認できる十分な照明のもとで行ってください。

  • バックするときには、足元と後方の安全に十分な注意を払ってください。

  • 見通しの悪い曲がり角や、茂み、立ち木などの障害物の近くでは安全に十分注意してください。

  • このマシンを公道で搬送する場合には、各地域の法令などに従い、また、ヘッドライド、方向指示器、低速走行車両表示など、定められたアクセサリを必ず装備してください。

  • ラフ、凹凸のある場所、縁石の近く、穴の近くなど路面が一定でない場所では必ず減速してください。

  • 機体の転倒を防ぐために、危険な運転操作を避け、旋回は注意深く行ってください。

斜面での安全確保

  • 斜面はスリップや転倒などを起こしやすく、これらは重大な人身事故につながります。斜面での安全運転はオペレータの責任です。どんな斜面であっても、通常以上に十分な注意が必要です。

  • 牽引車両がどのていどの法面まで走行可能なのかを必ず確認しましょう。

  • 斜面については、実地の測定を含めてオペレータ自身が調査を行い、安全に作業ができるかどうかを判断してください。この調査においては、常識を十分に働かせてください。

  • 以下に挙げる、斜面で運転する場合の安全上の注意を必ず読んで内容をしっかり理解してください。実際に運転する前に、現場の状態をよく観察し、その日その場所でこのマシンで安全に作業ができるかどうかを判断してください。同じ斜面上であっても、地表面の条件が変われば運転条件が変わります。

    • 斜面での発進・停止・旋回は避けてください。急に方向を変えたり急な加速やブレーキ操作をしないでください。旋回は速度を落としてゆっくりと行ってください。

    • 走行、ステアリング、安定性などに疑問がある場合には運転しないでください。

    • 隠れた穴、わだち、盛り上がり、石などの見えない障害は、取り除く、目印を付けるなどして警戒してください。深い芝生に隠れて障害物が見えないことがあります。不整地では機体が転倒する可能性があります。

    • ぬれ芝、急斜面など滑りやすい場所で運転すると滑って制御できなくなる危険があります。

    • 段差、溝、盛り土、水などの近では安全に十二分の注意を払ってください。万一車輪が段差や溝に落ちたり、地面が崩れたりすると、機体が瞬時に転倒し、非常に危険です。必ず安全距離を確保してください。

刈り込み操作

  1. 全部のモアが適切に調整されていることを確認する;刈高、刃合わせ、動作モアの調整手順については、モアのオペレーターズマニュアルを参照のこと。

  2. 刈り込み現場に到着したら、安全ストラップとロックアップピンを外し、移動走行モードのまま刈り込み場所に接近を開始する。

  3. 牽引車両の駆動輪が空転して芝を損傷させないよう、モアを下降させる時は、走行している状態でコントロールレバーを下げる。コントロールパネル上部にカッティングユニットの配置図があるので参考にする(図 18)。

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    Important: モアの昇降を行う時には、必ずモアの周囲に人が誰もいないことを確認してください。

  4. 一般的にはエリアの外周部分から刈り込みを始めて徐々に真ん中へ向かうとうまく刈れる。急な斜面の途中でトラクタをシフトダウンすると、トラクタのタイヤが空転して芝を傷つける可能性が高いので、シフトダウンは斜面に入る前に行うようにする。急な斜面の途中でモアを上昇させないこと。トラクタやフレームが不安定になる。ターフ上で旋回中は、加速しない。加速するとタイヤでターフを傷つける。

  5. 刈り込み場所の条件に応じて刈り込み速度を調整すること。アップダウンの激しい場所では、モアがバウンドしないように十分に減速する。絶対に時速 9.7 km を超えないこと。走行速度が速すぎるとモアを損傷する。また、速度を上げて刈り込んでも全体の能率が上がるものではない。刈り込み速度を 6.4-9.7 km/h の範囲に維持すると仕上がりが最も良くなる。

  6. 刈り込みは、毎回、前回とは反対の方向から刈るようにする。これにより、芝草の成長方向が同じ方向に揃いにくくなるので、芝目が発生しにくくなる。時々、いつも刈り込む方向からみて90度の角度で刈るようにすると、なお良い。

  7. また、外周刈りの際、時々、一番外側の一台または二台のモアを使用しないで(移動走行位置にして)刈り込みを行うと外周部分の土壌の固結を低減することができる。このようにすると、トラクタのわだちとモアのわだちの位置が変わる(同じ場所を通らない)ので、固結が起こりにくい。ゴルフ場の場合には、フェアウェイのティー側とグリーン側の部分をクロスカットするようにすると固結を減らすことができる。ティーから出たところとグリーンに入るところはカートやゴルファーが繰り返し踏みつけるので固結しやすい。刈り込みによる通行を減らせば、それだけターフへの負担が軽減する。

  8. 樹木などの障害物の周囲を刈り込む際に刈幅を小さくしたい場合には、一台または複数のモアを上昇させる。

運転終了後に

運転終了後の安全確認

安全に関する一般的な注意

  • 各部の調整、修理、洗浄、格納などは、牽引車両およびモアをしっかりした平らな場所に駐車し、エンジンを停止させ、キーを抜き取り、各部が完全に停止してから行ってください。

  • マシンと牽引車両との切り離しは、必ず平らな場所で行ってください。

  • 切り離しを行う時には、必ず車輪に輪止めをかけておいてください。

  • マシン各部が良好な状態にあり、ボルトナット類が十分にしまっているか常に点検してください。

  • 摩耗、破損したり読めなくなったステッカーは交換してください。

牽引時の安全事項

  • まず最初に、国の法令およびご自身の地域における牽引に関する法令などを確認してください。

  • この機械の牽引は、必ず牽引装置(ヒッチ)を装備した車両で行ってください。牽引される側の機械は、ヒッチポイントでのみ連結してください。

  • ヒッチおよびカップリングが磨耗していないか必ず点検してください。ヒッチやカップリングが破損したりしている車両では牽引しないでください。

  • 急停止や急発進をしない。急停止や急発進をすると、横滑りや中折れの危険があります。発進・停止は徐々に、そして滑らかに行うのが良い牽引のコツです。

  • 横転防止のため、急旋回は避けてください。

  • 駐車中は、マシンが不意に動き出さないように輪止めを掛けてください。

モアを移動走行位置まで上昇させる時

Note: 刈り込み終了後に次の現場まで移動する時は、必ず全部のモアを移動走行位置まで完全に上昇させてください。

  1. 移動走行用ストラップを中央フレームのチャネル部材に固定しているヘアピンを抜き取ってストラップを外す(図 19)。

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  2. 移動走行用ストラップを昇降アームにあるピンに取り付け、ヘアピンで固定する(図 20)。

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  3. ロックアップピンを中央のシリンダレストに固定しているヘアピンを抜き取る(図 21)。

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  4. ロックアップブラケットの穴にロックアップピンを通し、ヘアピンで固定する(図 22)。

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    Note: 国や地方によっては、移動走行中に「低速走行車両」表示が義務付けられている場合があります。標識取り付け用のブラケット(図 23)は、トランスポートフレームの後クロスチャネル部材にあります。標準的な低速走行車両標識を取り付けることができます。

    注意

    移動走行速度は 32 km/h 未満を厳守のこと。

    急勾配や長い下り坂では、その手前で速度を落とし、低速ギアにシフトすること。

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  5. 刈り込み現場に到着したら、昇降アームから移動走行用ストラップを外し、中央フレームのチェネル部材に、ヘアピンコッターで元通りに固定する(図 19)。ロックアップブラケットを固定していたロックアップピンを外してシリンダレストに戻し、ヘアピンコッターで固定する(図 21)。

刈り込み後の洗浄と点検

一日の刈り込み作業を終え、エンジン温度が下がったら、洗車してください。洗車には普通のホースを使用します。ノズルや圧力洗浄器は、シール部分やベアリングに浸水させる恐れがありますので使用しないでください。洗浄後、オイル漏れ、損傷、磨耗などがないか、またカッティングユニットの切れ具合を点検すると良いでしょう。

保守

推奨される定期整備作業

整備間隔整備手順
50運転時間ごと
  • トランスポートフレームをグリスアップする。
  • 磨耗部や摩擦部にはオイルを軽くぬる。
  • 保守作業時の安全確保

    • 清掃、整備、調整等を行う前に以下を行ってください:

      • 牽引車両とモアを平らな場所に駐車する。

      • 牽引車両のエンジンを止め、キーを抜き取り、可動部が完全に停止したのを確認する。

      • タイヤに輪止めを掛ける。

      • 機体と牽引車両との連結を解除する。

    • このマニュアルに記載されている以外の保守整備作業は行わないでください。大がかりな修理が必要になった時や補助が必要な時は、Toro 正規代理店にご相談ください。

    • 機体の下で作業をするときには、機体をブロックやジャッキスタンドで確実に支えてください。

    • 整備作業終了後は、必ずすべてのガード類を確実に取り付けてください。

    • 適切な訓練を受けていない人には機械の整備をさせないでください。

    • 各部品が良好な状態にあり、ボルトナット類が十分にしまっているか常に点検してください。破損するなどして読めなくなったステッカーは交換してください。

    • 安全装置の作動を妨げるようなことや、安全装置による保護を弱めるようなことはしないでください。安全装置が適切に作動するかを定期的に点検してください。

    • 機体の改造を行うと、機械の挙動や性能、耐久性などが変化し、そのために事故が起きる可能性があります。このような使い方をすると Toro® Company の製品保証が適用されなくなります。

    潤滑

    整備間隔整備手順
    50運転時間ごと
  • トランスポートフレームをグリスアップする。
  • 磨耗部や摩擦部にはオイルを軽くぬる。
  • グリスの仕様

    グリスの種類用途
    No. 2 リチウム系グリス油圧フレームフィッティング
    SAE 30 エンジンオイル磨耗部・摩擦部

    油圧フレームのフィッティングのグリスアップ

    トランスポートフレームには 27 ヶ所のグリスポイントがあります。ベアリングやブッシュに異物を入れてしまわないよう、まず、グリスフィッティングをウェスできれいに拭いてください。ブッシュに注入中は、グリスが確実にブッシュの中に入って行っていることを確認してください。ブッシュの側面からグリスがはみ出してくるまでグリスの注入を続けてください。

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    磨耗部・摩擦部へのオイル塗布

    グリスアップ作業に合わせて、磨耗部や摩擦部にオイル塗布を行ってください。

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    油圧オイルの交換

    トランスポートフレームの油圧オイルが牽引車両の油圧オイルと互換性がない、油圧オイルが汚染されたなどの理由で牽引車両の油圧オイルを交換したときには、トランスポートフレームのオイルも同時に交換してください。

    1. 牽引車両を始動し、全部のカッティングユニットを外し、昇降アームのシリンダを完全に引きこんだ状態にして牽引車両を停止させる。

    2. 牽引車両から、給液ホースと戻りホースのカップラを外す。

    3. トランスポートフレームのコントロールバルブから牽引車両から、給液ホースと戻りホースのカップラを外してホースをドレンパンの中に入れる。

    4. コントロールバルブの前列(A 列)に接続されている油圧ホースを外す(図 34)。各ホースをドレンパンに入れ、その後に元通りにバルブに接続する。

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    5. コントロールバルブの後列(B 列)に接続されている油圧ホースを外す(図 34)。各昇降アームを注意深く手で引き下げると、シリンダ内部に入っている油圧オイルが押し出されてくるので、これをドレンパンに受ける。 各ホースを制御バルブに接続する。

      Note: #1 シリンダは昇降アームに接続されていないのでアームの動作でオイルを排出できません。ウインチなどでシリンダを引っ張ってオイルの排出を促してください。

    6. 給液ホースと戻りホースをトランスポートフレームのコントロールバルブに接続する。

    7. 牽引車両の油圧オイルタンクに適正量の油圧オイルを入れる;それぞれの牽引車両のオペレーターズマニュアルを参照。

    8. 給液ホースと戻りホースのカップラを牽引車両のバルブカップラに接続する。

    9. 牽引車両を始動し、昇降アームのシリンダを完全に引きこんだ状態にして牽引車両を停止させる。

      Note: 昇降アームのシリンダを手で縮めないでください。シリンダを損傷する可能性があります。

    10. 牽引車両の油圧オイルの量を確認する。油圧オイルを 7.6 リットルほど追加すると、油圧オイルタンク内の油糧が適正レバルブになる;それぞれの牽引車両のオペレーターズマニュアルを参照。

    11. 牽引車両を始動し、昇降アームの上げ下げ動作を少なくとも2回行う。昇降アームを上昇させた状態でオイル量を調べ、必要に応じて追加する。

    12. カッティングユニットを取り付ける。

    ホイールベアリングの交換

    1. 交換したりホイールベアリングをジャッキアップする。落下事故防止のために、ジャッキスタンドで機体をサポートする。

    2. ハブキャップ、コッターキー、スロット付きナット、ワッシャを外す(図 35)。

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    3. ホイールとベアリングの外側コーンを引き抜いて外す。ハブに付いている内側コーンとシールを外す。ハブにはスロットが付いているので、コーンとシールをベアリングカップと一緒に外せる。ベアリングカップと逆方向に回す

    4. ハブを溶剤で洗浄する。

    5. 新しいカップをハブに嵌める。確実に嵌めること。

    6. 新しいコーンにホイールベアリング用のグリスを詰める。ベアリングのジャーナルと隣りのベアリングにグリスを塗る。

    7. 新しいシールのリップにグリスを塗り、ベアリングの内側コーンのレースに取り付ける。

    8. 分解時と逆の手順で全体を組み立てる。

    9. スロット付きナットを締め付ける。ホイールを手で回すとわずかに抵抗が出る程度まで締め付け、その位置から一番近いコッターピンの穴まで、スロット付きナットを戻す。

    10. ハブキャップを元通りに取り付ける

    昇降アームのブッシュの交換

    1. 昇降アームを下げた状態にする。

    2. カッティングユニットを取り外します。

    3. ピンの端からナットを外す(図 36)。

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    4. ピンアセンブリからキャップスクリュを取り外す。

    5. 油圧シリンダと昇降アームの間のリンクを外す。

    6. ピンアセンブリを取り外す。

    7. 昇降アームについているブッシュを外す。

    8. 新しいブッシュを取り付け、ピンを元通りに入れる。

    9. キャップスクリュとナットを元通りに取り付ける。

    10. リンクを元通りに取り付ける。

    11. グリス(Mobilux #2 または同等品)を注入する。

      Important: 昇降アームからピンが抜けにくい場合には叩いて出してください。ねじ山を傷つけないように注意してください。

    図面

    油圧回路図

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