はじめに

この機械はリール式の回転刃を使用する歩行型の芝刈り機であり、そのような業務に従事するプロのオペレータが運転操作することを前提として製造されています。この製品は、適切な管理を受けている芝生の刈り込みに使用することを主たる目的とする機械です。この機械は本来の目的から外れた使用をすると運転者本人や周囲の人間に危険な場合があります。

この説明書を読んで製品の運転方法や整備方法を十分に理解し、他人に迷惑の掛からない、また適切な方法でご使用ください。この製品を適切かつ安全に使用するのはお客様の責任です。

製品の安全や取り扱い講習、アクセサリなどに関する情報、代理店についての情報の入手、お買い上げ製品の登録などをネットで行っていただくことができます:www.Toro.com

整備について、また純正部品についてなど、分からないことはお気軽に弊社代理店またはカスタマーサービスにおたずねください。お問い合わせの際には、必ず製品のモデル番号とシリアル番号をお知らせください。図 1にモデル番号とシリアル番号を刻印した銘板の取り付け位置を示します。いまのうちに番号をメモしておきましょう。

Important: シリアル番号デカルに QR コードがついている場合は、スマートフォンやタブレットでスキャンすると、製品保証、パーツその他の製品情報にアクセスできます。

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この説明書では、危険についての注意を促すための警告記号(図 2)を使用しております。これらは死亡事故を含む重大な人身事故を防止するための注意ですから、必ずお守りください。

g000502

この他に2つの言葉で注意を促しています。重要は製品の構造などについての注意点を、はその他の注意点を表しています。

この製品は、関連するEU規制に適合しています。詳細については、DOC シート(規格適合証明書)をご覧ください。

カリフォルニア州の森林地帯・潅木地帯・草地などでこの機械を使用する場合には、エンジンに同州公共資源法第4442章に規定される正常に機能するスパークアレスタが装着されていること、エンジンに対して森林等の火災防止措置をほどこされていることが義務づけられており、これを満たさない機械は、第4442章または4443章違犯となります。

エンジンの保守整備のため、および米国環境保護局(EPA)並びにカリフォルニア州排ガス規制に関連してエンジンマニュアル を同梱しております。エンジンマニュアルはエンジンのメーカーから入手することができます。

海抜 1,500 m 以上の高地でこの製品を使用する場合には、高地用ジェットが必要になります。付属のホンダエンジンのマニュアルを参照してください。

警告

カリフォルニア州

第65号決議による警告

カリフォルニア州では、この製品に使用されているエンジンの排気には発癌性や先天性異常などの原因となる物質が含まれているとされております。

米国カリフォルニア州では、この製品を使用した場合、ガンや先天性異常などを誘発する物質に触れる可能性があるとされております。

安全について

この機械は、EN ISO 5395 規格およびANSI B71.4-2017 規格に適合しています。

安全に関する一般的な注意

この機械は手足を切断したり物をはね飛ばしたりする能力があります。

  • 本機をご使用になる前に必ずこのオペレーターズマニュアルをお読みになり、内容をよく理解してください。

  • この機械を運転する時は常に十分な注意を払ってください。運転中は運転操作に集中してください;注意散漫は事故の大きな原因となります。

  • 機械の可動部の近くには絶対に手足を近づけないでください。

  • ガードなどの安全保護機器が正しく機能していない時は、運転しないでください。

  • 作業場所に、無用の大人、子供、ペットなどを近づけないでください。子供に運転させないでください。

  • エンジンを停止させ、(キー付きの機種では)キーを抜き取り、各部の動作が完全に停止したのを確認してから運転位置を離れる。調整、整備、洗浄、格納などは、機体が十分に冷えてから行う。

間違った使い方や整備不良は人身事故などの原因となります。事故を防止するため、以下に示す安全上の注意や安全注意標識 Graphic のついている遵守事項は必ずお守りください 「注意」、「警告」、および「危険」 の記号は、人身の安全に関わる注意事項を示しています。これらの注意を怠ると死亡事故などの重大な人身事故が発生する恐れがあります。

安全ラベルと指示ラベル

Graphic

以下のラベルや指示は危険な個所の見やすい部分に貼付してあります。破損したりはがれたりした場合は新しいラベルを貼付してください。

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decal130-8322
decal133-8062
decal138-1644
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組み立て

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

カッティングユニットを調整し取り付ける

この作業に必要なパーツ

カッティングユニット(別売;弊社代理店にご相談ください)1
カップラ1
スプリング(モデル 04830 と 04840 のみ)1
ソケットヘッドねじ4

カッティングユニットを調整し取り付ける

モデル 04820
  1. リール駆動アセンブリをサイドプレートに固定している部品を外す(図 3)。

    g333187
  2. サオドプレートから、リール駆動アセンブリ、平ワッシャ、スプリングワッシャ、スペーサを外す(図 3)。

  3. ソケットヘッドねじ(4 本)でカッティングユニットを機体に取り付ける(図 4)。

    g333153
  4. 予定しているおよその刈高に合わせて走行ドラムの設定を行う:走行ドラムの位置の選択を参照。

  5. カッティングユニットの設定を行う;カッティングユニットの オペレーターズマニュアルの調整の章を参照。

  6. トラクションユニットの駆動シャフトにカップラを取り付ける(図 5)。

    g333165
  7. 先ほど外した金具類を使用してリール駆動アセンブリをカッティングユニットに取り付ける(図 5)。

  8. トランスミッション駆動シャフトのカップラ(図 5)が前後に軽く動くことを確認する。

カッティングユニットを調整し取り付ける

モデル 04830, 04840
  1. ソケットヘッドねじ(4 本)でカッティングユニットを機体に取り付ける(図 6)。

    g333212
  2. 予定しているおよその刈高に合わせて走行ドラムの設定を行う:走行ドラムの位置の選択を参照。

  3. カッティングユニットの設定を行う;カッティングユニットの オペレーターズマニュアルの調整の章を参照。

  4. カッティングユニットのリール駆動アセンブリに、カップラとスプリングを取り付ける(図 7)。

    g333213
  5. トランスミッション駆動シャフトのカップラ(図 7)が前後に軽く動くことを確認する。

    カップラが滑らかに動かない場合には、リール駆動シャフトアセンブリの位置調整またはエンジンとトランスミッションの整列の点検と調整を行う;リール駆動シャフトの位置を調整するを参照。

移動走行用シャフトを取り付ける

Model 04840 のみ

この作業に必要なパーツ

左側ホイールシャフト1

Note: 右側ホイールシャフトは出荷時に取り付け済みです。

  1. ホイールシャフトのねじ山部分に中強度のねじ山ロッキングコンパウンドを塗りつける。

  2. 機体左側にあるドラム駆動アセンブリに、左側ホイールシャフトを取り付ける。

    Note: 左側ホイールシャフトは端部に L のマークが付いており、右ねじです。

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  3. シャフトを 54-68 N·m(9.0-10.1 kg.m = 40-50 ft-lb)にトルク締めする。

移動走行用車輪を取り付ける

オプション

この作業に必要なパーツ

移動走行ホイールキット(別売;弊社代理店にご相談ください)1

移動走行ホイールを取り付けるには、移動走行ホイールキット(Model 04123)の購入が必要です。キットは弊社代理店でお求めになれます。

  1. 移動走行用タイヤを取り付ける;移動走行用車輪を取り付けるを参照。

  2. タイヤ空気を 0.83-1.03 bar(0.8-1.0 kg/cm2 = 12-15 psi)に調整する。

集草バスケットを取り付ける

この作業に必要なパーツ

集草バスケット1

集草バスケットの上縁を持ってバスケット取り付け棒に差し込む(図 9)。

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エンジン速度の調整

CE 規制に適合させる必要のある国や地域のみ

この作業に必要なパーツ

CE 用デカル1

CE 規制に適合させる必要がある場合には、以下の方法でエンジンのハイアイドル速度を調整し、CE デカルを貼ってください:

  • エンジンのハイアイドル速度を以下の数値に調整する:

    • 1018 マシン:3,000 rpm

    • 1021 と 1026 マシン:3,150 rpm

    エンジン速度(高速)の調整を参照。

  • シリアルプレートの下に CE デカルを貼りつける(図 10)。

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製品の概要

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クラッチベイル

クラッチベイル(図 12)は、走行クラッチとして機能します。

  • 走行を開始する:ベイルを上げてハンドル側に握り込む。

  • 走行を停止する:ベイルから手を離す。

スロットルコントロール

スロットルコントロール(図 12)はエンジンの回転速度を制御します。

  • エンジン速度を上げる:レバーを下げる

  • エンジン速度を下げる:レバーを上げる

ON/OFF スイッチ

このスイッチ(図 12)でエンジンの始動と停止を行います。

  • エンジンを始動する:スイッチの上側を押す。

  • エンジンを停止する:スイッチの下側を押す。

常用ブレーキレバー

常用ブレーキ(図 12)で減速や停止を行います。レバーをハンドル側に引くとブレーキがかかります。

駐車ブレーキ用ラッチ

マシンから離れる場合には、駐車ブレーキ用ラッチ(図 12)で駐車ブレーキを掛けてください。

  • 駐車ブレーキを掛ける:常用ブレーキを掛け、レバーを保持したまま、駐車ブレーキラッチを手前に引く。

  • 駐車ブレーキを解除する:駐車ブレーキラッチをマシン側に押す。

カッティングユニット駆動レバー

クラッチベイルを握り込んだ状態で、カッティングユニット駆動レバー(図 12)でカッティングユニットの ON/OFF を行います。

  • カッティングユニットを駆動する:レバーを下げる

  • カッティングユニットを停止する:レバーを上げる

アワーメータ

アワーメータ(図 12)はマシンの稼働時間を積算します。ここに表示される稼働時間に基づいて定期整備を行ってください。

引き上げハンドル

引き上げハンドル(図 12)は、ハンドル長さの調整時やキックスタンドの操作に使用します。

ハンドル高さアジャスタ

ハンドル高さアジャスタ(図 13)を使って、使いやすい高さに調整します。アジャスタを引き、引き上げハンドルでハンドルを上下させて調整します。

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チョークレバー

チョークレバー(図 14)は、エンジンの左前側にあります。気温の低い時にエンジンの始動をしやすくします;チョークレバーの使用方法を参照。

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燃料バルブ

燃料バルブはエンジンの側面、チョークコントロールの下にあります(図 14)。

Note: マシンを数日間使用しない時、現場への行き帰りの搬送中、室内で駐車している時は、燃料バルブを閉じておいてください;燃料バルブの開閉方法を参照。

リコイルスタータハンドル

スタータのハンドル(図 14)を引くとエンジンが始動します。

キックスタンド

キックスタンド(図 15)はマシンの後部にあります。車輪やカッティングユニットの付け外しを行う時に、キックスタンドを使用します。

  • 移動走行ホイール整備位置:

    キックスタンドを足で押さえつけながら、引き上げハンドルで機体を手前に引き上げます(図 15)。

    注意

    機体は重いので、正しく持ち上げないと背中を傷める恐れがあります。

    キックスタンドに載せた足をしっかりと踏ん張り、機体中央下部についている引き上げハンドルだけで機体を引き上げてください。この方法以外のやり方で機体を持ち上げようとするとけがをする恐れがあります。

  • カッティングユニット整備位置:

    カッティングユニットを取り外す時は、マシン本体が後方に倒れないように、キックスタンドを立てたら、マシンのシャーシについている穴にピンまたはボルトを差し込んでおいてください図 16)。

  • キックスタンドを格納位置に戻す;

    1. キックスタンドを踏みつけた状態で走行ドラムを接地させる。

    2. キックスタンドから足を離してスタンドが格納位置に戻れるようにする。

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Model 04820Model 04830Model 04840
84 cm91 cm104 cm
乾燥重量*95 kg100 kg107 kg
刈幅46 cm53 cm66 cm
刈高走行ドラムの位置 [走行ドラムの位置の選択を参照] および高刈りキットの使用の有無による。
クリップリール速とおよびリール駆動プーリの設定による;クリップレートの調整方法を参照。
エンジン速度ローアイドル: 1,900 ±100 rpm; ハイアイドル:3,450 ±100 rpm
刈り込み速度3.2 km/h-5.6 km/h
移動走行速度8.5 km/h
*トラクションユニットのみ各カッティングユニットの重量についてはそれぞれのカッティングユニットのオペレーターズマニュアルを参照。

アタッチメントとアクセサリ

トロが認定した各種のアタッチメントやアクセサリがそろっており、マシンの機能をさらに広げることができます。 詳細は弊社の正規サービスディーラ、または代理店へお問い合わせください;弊社のウェブサイト www.Toro.com でもすべての認定アタッチメントとアクセサリをご覧になることができます。

いつも最高の性能と安全性を維持するために、必ずToroの純正部品をご使用ください。他社の部品やアクセサリを御使用になると危険な場合があり、製品保証を受けられなくなる場合がありますのでおやめください。

運転操作

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

運転の前に

運転前の安全確認

安全に関する一般的な注意

  • 子供やトレーニングを受けていない大人には、絶対に運転や整備をさせないでください。地域によっては機械のオペレータに年齢制限を設けていることがありますのでご注意ください。オペレーターや整備士全員に適切なトレーニングを実施するのはオーナーの責任です。

  • 各部の操作方法や本機の正しい使用方法、警告表示などに十分慣れ、安全に運転できるようになりましょう。

  • マシンを停止させ、(キー付きの機種では)キーを抜き取り、各部の動作が完全に停止したのを確認してから運転位置を離れる。調整、整備、洗浄、格納などは、機体が十分に冷えてから行う。

  • 緊急停止方法に慣れておきましょう。

  • オペレータコントロールやインタロックスイッチなどの安全装置が正しく機能しているか、またガードなどの安全保護具が外れたり壊れたりしていないか点検してください。これらが正しく機能しない時には機械を使用しないでください。

  • これから機械で作業する場所をよく確認し、機械に巻き込まれそうなものはすべて取り除きましょう。

燃料についての安全事項

  • 燃料の取り扱いに際しては安全に特にご注意ください。燃料は引火性が高く、気化すると爆発する可能性があります。.

  • 燃料取り扱い前に、引火の原因になり得るタバコ、パイプなど、すべての火気を始末してください。

  • 燃料の保管は必ず認可された容器で行ってください。

  • エンジン回転中などエンジンが高温の時に燃料タンクのふたを開けたり給油したりしな。

  • 締め切った場所では燃料の補給や抜き取りをしないでください。

  • ガス湯沸かし器のパイロット火やストーブなど裸火や火花を発するものがある近くでは、機械や燃料容器を保管・格納しないでください。

  • 燃料がこぼれたら、エンジンを始動せずにマシンを別の場所に動かし、気化した燃料ガスが十分に拡散するまで引火の原因となるものを近づけないでください。

  • トラックの荷台に敷いたカーペットやプラスチックマットなど絶縁体の上で燃料の給油をしないでください。燃料容器は車から十分に離し、地面に直接置いて給油してください。

  • 給油は、機械をトラックやトレーラから地面に降ろし、機体を接地させた状態で行ってください。機械を車両に搭載したままで給油を行わなければいけない場合には、大型タンクのノズルからでなく、小型の容器から給油してください。

  • 給油は、給油ノズルを燃料タンクの口に接触させた状態を維持して行ってください。

毎日の整備作業を実施する

日常整備を行う;始業点検表を参照。

エンジンオイルの量を点検する

使用ごと或いは8運転時間ごとにエンジンオイルの量を点検してください;エンジンオイルの量を点検するを参照。

燃料についての仕様

燃料タンク容量:2.0 リットル

推奨燃料:オクタン価 87 以上の無鉛ガソリンを使ってください(オクタン価評価法は(R+M)/2 を採用)。

エタノール: エタノールを添加(10% まで)したガソリン、MTBE(メチル第3ブチルエーテル)添加ガソリン(15% まで)を使用することが可能です。エタノールとMTBEとは別々の物質です。エタノール添加ガソリン(15% 添加=E15)は使用できません。

  • エタノール含有率が 10% を超えるガソリンは絶対に使用してはなりません:たとえば E15(含有率 15%)、E20(含有率 20%)、E85(含有率 85%がこれにあたります。

  • メタノールを含有するガソリンは使用できません

  • 燃料タンクや保管容器でガソリンを冬越しさせないでください。 冬越しさせる場合には必ずスタビライザ(品質安定剤)を添加してください。

  • ガソリンにオイルを混合しないでください

  • 機械の性能を十分発揮させるために、きれいで新しい(購入後30日以内)燃料を使ってください。

  • これらの燃料を使用した場合には性能が十分に発揮されず、エンジンに損傷が発生する恐れがあり、仮にそのようなトラブルが発生しても製品保証の対象とはなりません。

燃料を補給する

  1. 燃料キャップ(図 17)の周囲をきれいに拭いてからキャップを外す。給油は、タンクの首の根元までとしてください;エンジンのオペレーターズマニュアルを参照。

    Important: 燃料を入れすぎないでください。

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  2. タンクにキャップをはめ、こぼれた燃料は必ず拭き取る。

クリップレートの調整方法

クリップレートは以下の設定によって決まります。

  • リール速度:リール速度は高または低から選択ができます;リール速度の調整を参照。

  • リール駆動プーリの位置:プーリの位置は2つから選択可能です;カッティングユニットのオペレーターズマニュアルを参照。

適切なクリップを設定するためのリール速度とプーリ位置の剪定については、以下の表を参照してください:

クリップレート

リール速度ベルト位置カッティングユニット
8 枚刃11 枚刃14 枚刃
7.3 mm5.3 mm4.2 mm
6.1 mm4.4 mm3.5 mm
5.9 mm4.3 mm3.4 mm
5.0 mm3.6 mm2.8 mm

リール速度の調整

リール速度はリール速度コントロールノブ(図 18)で行います。

  • リール高速回転: ノブについている H の文字がマシン前方を向くようにノブをセットする。

  • リール低速回転: ノブについている L の文字がマシン前方を向くようにノブをセットする。

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走行ドラムの位置の選択

走行ドラムの位置は2つから選択可能です:

  • 位置:低い刈高で刈る場合(グリーン刈り)の位置

  • 位置:高い刈高で刈る場合(ティー刈り)の位置

  1. キックスタンドをカッティングユニット整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

  2. ドラム駆動ハウジングをシャーシの左右に固定しているショルダボルト(図 19)を外す。

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  3. シャーシについている穴と、ハウジングの穴を整列させる。

  4. 先ほど外したショルダボルトを使って、駆動ハウジングをシャーシに固定する(図 19)。

  5. キックスタンドを格納位置にセットする;キックスタンドを参照。

ハンドルを調整する

ハンドル高さアジャスタで、ハンドルを使いやすい高さに調整します;ハンドル高さアジャスタを参照。

作業現場へ移動する。

移動走行用タイヤを使っての移動

短距離を移動する場合には移動走行タイヤを使用してください。

  1. 移動走行用タイヤを取り付ける;移動走行用車輪を取り付けるを参照。

  2. 走行コントロールとリール回転コントロールがニュートラル位置にあることを確認する。

  3. エンジンを始動する;エンジンの始動手順を参照。

  4. スロットルをSLOWとし、機体前部を浮かせた状態で徐々に走行位置につなぎ、ゆっくりとエンジン速度を上げる。

  5. スロットルで適当な走行速度に調整し、目的地に移動する。

トレーラを使っての移動

長距離を移動する場合にはトレーラを使用してください。トレーラへの積み降ろしは十分に注意して行ってください。

  1. 機体を注意深くトレーラに搭載する。

  2. エンジンを止め、駐車ブレーキを掛け、燃料バルブを OFF 位置にセットする。

  3. 積み込みには、機体と同じ幅のある歩み板を使用してください。

  4. 機体をトレーラに確実に固定する。

Note: マシンの搬送にはトロのトランスプロをご利用することができます。トランスプロへの積み下ろしについては、トランスプロのオペレーターズマニュアルを参照してください。。

Important: トレーラで搬送中は、芝刈り機のエンジンを停止してください。芝刈り機を傷つける恐れがあります。

移動用タイヤを取り外す。

  1. クラッチベイルから手を離し、スロットルコントロールでエンジン速度を下げてからエンジンを止める。

  2. キックスタンドを移動走行ホイール整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

  3. ホイールロッククリップを外して移動走行用タイヤをアクスルから外す(図 20)。

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  4. キックスタンドから、注意深く機体を床に下ろす(機体を前方へ押すか、機体下部についているハンドルを持ち上げてスタンドを収納位置に跳ね上げるかする);キックスタンドを参照。

チョークレバーの使用方法

冷えているエンジンを始動を補助する装置です。エンジンが冷えた状態で始動する時はCHOKE位置に、始動後はRUN位置とします。

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燃料バルブの開閉方法

燃料バルブは以下のように使用してください:

  • バルブを開く場合:バルブのレバーをリコイルスタータハンドルの方へ回す(図 22)。

  • バルブを閉じる場合:レバーをリコイルスタータハンドルと反対の方へ回す(図 22)。

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運転中に

運転中の安全確認

安全に関する一般的な注意

  • オーナーやオペレータは自分自身や他の安全に責任があり、オペレータやユーザーの注意によって物損事故や人身事故を防止することができます。

  • 作業にふさわしい服装をし、安全めがね、長ズボン、頑丈で滑りにくい安全な靴、および聴覚保護具を着用してください。長い髪は束ねてください。ゆるい装飾品やだぶついた服は身に着けないでください。

  • 疲れている時、病気の時、アルコールや薬物を摂取した時は運転しないでください。

  • この機械を運転する時は常に十分な注意を払ってください。運転中は運転操作に集中してください;注意散漫は事故の大きな原因となります。

  • エンジンを掛ける前に、全部の駆動装置がニュートラルであること、駐車ブレーキが掛かっていることを確認し、正しい運転位置に立ってください。

  • 作業場所に、無用の大人、子供、ペットなどを近づけないでください。周囲が無人でない場合は、集草バスケットを取り付けた上で、安全に十分注意してください。

  • 運転は、穴や障害物を確認できる十分な照明のもとで行ってください。

  • 落雷の危険がある時には運転しないでください。

  • ぬれた芝草を刈り込む時は安全に十分注意して行ってください。足元が不十分な場所ではスリップや転倒を起こしやすくなります。

  • カッティングユニットに手足を近づけないでください。

  • バックするときには、足元と後方の安全に十分な注意を払ってください。

  • 見通しの悪い曲がり角や、茂み、立ち木などの障害物の近くでは安全に十分注意してください。

  • 刈り込み中以外は必ずカッティングユニットを止めておいてください。

  • 刈高を変更する場合には必ずカッティングユニットを止め、マシンのスイッチを切ってください。

  • 排気ガスが充満するような締め切った場所では絶対にエンジンを運転しないでください。

  • マシンを作動させたままで絶対に機体から離れないでください。

  • 運転席を離れる前に以下を行ってください:

    • 平らな場所に駐車する。

    • カッティングユニットを停止させる。

    • 駐車ブレーキを掛ける。

    • 車両を止め、(キーのある機種では)キーを抜き取る。

    • 全ての動きが停止するのを待つ。

  • また、溜まった刈りかすを捨てる時は必ずマシンを停止させてください。

  • エンジン回転中や停止直後は、エンジン本体、マフラー、排気管などに触れると火傷の危険がありますから手を触れないでください。

  • 以下の場合は、カッティングユニットの駆動を止め、エンジンを止めてください:

    • 燃料を補給するとき;

    • 詰まりを取り除くとき

    • 集草バスケットを取り外す時

    • カッティングユニットの点検・清掃・整備作業などを行うとき;

    • 異物をはね飛ばしたときや機体に異常な振動を感じたときカッティングユニットに損傷がないか点検し、必要があれば修理を行ってください。点検修理が終わるまでは機械を使用しないでください。

    • 運転位置を離れる前に

  • 弊社(Toro® カンパニー)が認めた以外のアクセサリやアタッチメントを使用しないでください。

斜面での安全確保

  • 斜面はスリップや転倒などを起こしやすく、これらは重大な人身事故につながります。斜面での安全運転はオペレータの責任です。どんな斜面であっても、通常以上に十分な注意が必要です。斜面で運転する前に、必ず以下を行ってください:

    • マニュアルや機体に描かれている斜面に関する注意事項を読んで内容をよく理解する。

    • 作業当日に現場の実地調査を行い、安全に作業ができるか判断する。以上の調査においては、常識を十分に働かせてください。同じ斜面上であっても、水分など地表面の条件が変われば運転条件が大きく変わります。

  • 斜面の刈り込みは、上り下り方向でなく、横断方向に行ってください。急斜面や濡れた斜面での運転はしないでください。足元が不十分な場所ではスリップや転倒を起こしやすくなります。

  • 斜面に入る前に、安全の判断をしてください。段差、溝、盛り土、水などの近くに乗り入れないでください。万一車輪が段差や溝に落ちたり、足元の地面が崩れたりすると、機体が瞬時に転倒し、非常に危険です。危険な場所から十分に離れて運転してください。危険な場所での刈り込みには手刈りで対応してください。

  • 斜面での発進・停止・旋回は避けてください。急旋回したり不意に速度や方向を変えたりしないでください;旋回はゆっくり行ってください。

  • 走行、ステアリング、安定性などに疑問がある場合には運転しないでください。ぬれ芝、急斜面など滑りやすい場所で運転すると滑って制御できなくなる危険があります。駆動力を失うと、スリップを起こしたりブレーキや舵取りができなくなる恐れがあります。駆動を停止させてもスリップを起こす場合があります。

  • 隠れた穴、わだち、盛り上がり、石などの見えない障害は、取り除く、目印を付けるなどして警戒してください。深い芝生に隠れて障害物が見えないことがあります。不整地では機体が転倒する可能性があります。

  • マシンをコントロールすることができなくなったら、マシンの走行方向と反対側に飛び降りてください。

  • 下り坂では必ずマシンをギアに入れておいてください。下り坂をニュートラルで走行しないでください(ギア駆動式のマシン)。

エンジンの始動手順

Note: 操作に必要な各部の名称や位置については各部の名称と操作を参照してください。

Note: 点火プラグに高圧ケーブルが取り付けられているのを確認してください。

  1. 走行レバーがニュートラル位置にセットされていることを確認してください。

  2. 燃料バルブが開いていることを確認してください;燃料バルブの開閉方法を参照。

  3. ON/OFFスイッチをONにセットする。

  4. スロットルコントロールでエンジンの回転速度を制御する。

  5. エンジンが冷えた状態で始動する時はチョークを CHOKEとRUN位置の中間にセットする;チョークレバーの使用方法を参照。

    Note: エンジンが暖まっているときはこの操作は不要。

  6. スタータのハンドルをゆっくり引く。抵抗を感じたらそこから力強く引っ張る。

    Important: 引き出しきったスタータロープを無理に引っ張ったり、引き終わったロープの握りを放さないでください。どちらもロープやスタータ内部の破損の原因となります。

  7. エンジンが始動したらウォームアップが進むにつれてチョークレバーを RUN 側に移動する。

運転操作のヒント

Important: 芝刈り運転中、刈りカスは潤滑剤の役割を果たします。刈りかすが出ない場所で長時間カッティングユニットを回転させるとカッティングユニットを損傷します。

  • グリーンは直線往復刈りで刈ります。

  • 円状や渦巻き状に刈ると芝を傷つけますから避けてください。

  • ターンをする時はグリーンの外で、リールを浮かせて(ハンドルを押し下げて)、雨だれ形を描くように行います(図 23)。

    g271799
  • 芝刈りの速度は普通に歩く速さが適当です。早く歩いても時間の節約にはなりません。むしろ仕事が粗くなります。

  • 真っ直ぐに刈るコツの一つは、集草バスケットについている線(図 24)を目安にして、となりの刈り跡と平行に、常に一定の距離をおいて歩くことです。

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薄暗い時の運転について

夜明け前や日没後に運転する場合には LED ライトキットをご使用ください。キットは弊社代理店でお求めになれます。

Important: エンジンのAC出力系のトラブルを防止するため、これ以外のヘッドライトをご使用にならないでください。

芝刈り時のコントロール操作

  1. エンジンを始動、スロットルを下げ、カッティングユニットを上げる(ハンドルを下げる)。走行レバーを走行に入れ、グリーンのカラー(縁)に入る。

  2. カラー部分で停止する。

  3. カッティングユニットレバーを入れてカッティングユニットの駆動を開始、スロットルを適当な走行速度に調整し、走行ドライブを入れてグリーンに入ってカッティングユニットを降ろして刈り込みを開始する。

エンジンの停止手順

  1. Kラッチベイルから手を離す。

  2. スロットルコントロールを低速位置にする。

  3. ON/OFFスイッチをOFFにセットする。

  4. 格納保管時やトレーラで運搬する時には燃料バルブを閉じておいてください。

運転終了後に

運転終了後の安全確保

安全に関する一般的な注意

  • マシンを停止させたら、(キー付きの機種では)キーを抜き取り、各部の動作が完全に停止したのを確認してから運転位置を離れるようにしてください。調整、整備、洗浄、格納などは、機体が十分に冷えてから行う。

  • 火災防止のため、機械に刈りかすなどが溜まらないように注意する。オイルや燃料がこぼれた場合はふき取る。

  • 閉めきった場所に本機を格納する場合は、機械が十分冷えていることを確認してください。

  • ガス湯沸かし器のパイロット火やストーブなど裸火や火花を発するものがある近くでは、機械や燃料容器を保管・格納しない。

  • スロットルでエンジン速度を落としてからエンジンスイッチを切り、燃料バルブ(が付いている場合)を閉じる。

芝刈り後のコントロール操作

  1. グリーンを出てハンドルを押し下げてカッティングユニットを浮かし、クラッチベイルから手を離してカッティングユニットを停止させ、エンジンを止める。

  2. 集草バスケットを外し、たまっている刈りかすを捨てる。

  3. 集草バスケットを元通りに取り付けて整備場へ帰る。

移動走行を行うとき

刈り込みが終了したら現場から引き上げる;移動走行用タイヤを使っての移動またはトレーラを使っての移動を参照。

移動走行用車輪を取り付ける

  1. キックスタンドを移動走行ホイール整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

  2. アクスルに車輪を取り付ける(図 25)。

    g273510
  3. ロッキングクリップ(図 25)を開き、タイヤを奥に押し込む。

  4. 車輪を前後に回転させながら車軸の奥まで押し込み、ロッククリップを溝に嵌めて固定する。

  5. 機体の反対側のタイヤについても同じ作業を行う。

  6. キックスタンドから、機体を慎重に降ろす。

トランスミッションの入切操作

走行うドラムをトランスミッションから切り離してマシンを手で押して移動させることができます。エンジンを使わずにマシンを移動させたい時に便利です(整備場内など屋内で機械の整備をするときなど)。

エンジンで走行するときにはトランスミッションを接続してください。

  1. トランスミッションギアボックスにある接続レバーを探し出す(図 23)。

    g272196
  2. トランスミッションの接続と解除操作の手順:

    • トランスミッションの接続を解除するには:レバーを解除に回す。

    • トランスミッションを接続するには:レバーを接続に回す。

保守

警告

適切な保守整備を行わないと車両が故障・破損したり、搭乗者や周囲の人間まで巻き込む人身事故を起こす恐れがある。

マニュアルに記載された作業を行って、マシンをいつも適切な状態に維持することが重要である。

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

Important: 機体を 25° 以上傾けないでください。機体を 25° 以上傾けると オイルが燃焼室内に入り込んだり、燃料タンクから燃料が漏れたりします。

Important: エンジンの整備に関しての詳細は、付属のエンジンマニュアルを参照してください。

保守作業時の安全確保

  • 運転席を離れる前に:

    • 平らな場所に駐車する。

    • スロットルスイッチを低速アイドル位置にセットする。

    • カッティングユニットを停止させる。

    • 走行ペダルがニュートラルになっていることを確認する。

    • 駐車ブレーキを掛ける。

    • 車両を止め、(キーのある機種では)キーを抜き取る。

    • 全ての動きが停止するのを待つ。

  • 保守作業は、各部が十分冷えてから行ってください。

  • 可能な限り、マシンを作動させながらの整備はしない。可動部に近づかない。

  • エンジンを回転させながら調整を行わなければならない時は、手足や頭や衣服をカッティングユニットや可動部に近づけないように十分注意してください。人を近づけないでください。

  • 火災防止のため、カッティングユニットや駆動部、マフラー、冷却スクリーンの周囲に、草や木の葉、ほこりなどが溜まらないようご注意ください。オイルや燃料がこぼれた場合はふき取ってください。

  • すべてのパーツを良好な作動状態に維持しましょう。摩耗、破損したり読めなくなったパーツやステッカーは交換してください。常に機械全体の安全を心掛け、ボルト類が十分に締まっているのを確認してください。

  • 集草装置は頻繁に点検し、必要に応じてパーツなどを交換してください。

  • 機械の性能を完全に引き出し、かつ安全にお使いいただくために、交換部品は純正品をお使いください。他社の部品を御使用になると危険な場合があり、製品保証を受けられなくなる場合がありますのでおやめください。

  • 大がかりな修理が必要になった時、補助が必要な時Toro 正規代理店にご相談ください。

推奨される定期整備作業

整備間隔整備手順
使用開始後最初の 20 時間
  • エンジンオイルを交換する。
  • ハンドルアイソレーション部の締め付けを行う。
  • 使用するごとまたは毎日
  • エンジンオイルの量を点検する。
  • エアフィルタのエレメントを点検する。
  • 50運転時間ごと
  • エアフィルタのエレメントを洗浄する。
  • 100運転時間ごと
  • エンジンオイルを交換する。
  • 点火プラグの点検と調整を行い、必要に応じて交換する。
  • 300運転時間ごと
  • ペーパーエレメントを交換する(ほこりの多い環境で使用しているときには整備間隔を短くする)。
  • 点火プラグを交換する。
  • 始業点検表

    Important: このページをコピーして使ってください。

    点検項目第 週
    ブレーキロックレバーの動作を確認する。       
    燃料残量       
    エンジンオイルの量を点検する。       
    エアフィルタを点検する。       
    冷却フィンを清掃する。       
    エンジンからの異常音       
    運転操作時の異常音       
    リールとベッドナイフの摺り合わせ       
    刈高       
    塗装傷のタッチアップ修理を行う。       
    機体の清掃       

    要注意個所の記録

    点検担当者名:
    内容日付記事
       
       
       
       
       
       
       
       

    整備前に行う作業

    整備作業のための準備

    警告

    整備中や調整中に誰かが不用意にエンジンを作動させることがあり得る。エンジンが突然始動すると、大きな人身事故になる危険が高い。

    整備作業の前には必クラッチベイルを解放し、駐車ブレーキを掛け、念のために点火プラグのコードを外しておくこと。また、点火コードは、点火プラグと触れることのないよう、確実に隔離すること。

    マシンの整備、洗浄、調整などを行う前には必ず以下を行う。

    1. 平らな場所に駐車する。

    2. エンジンを停止する。

    3. 駐車ブレーキを掛ける。

    4. 機械各部の動きが完全に停止し、機体の温度が十分に下がったのを確認してから、調整、洗浄、格納、修理などの作業に掛かる。

    5. 点火コードを外す(図 27)。

      g265998

    エンジンの整備

    エンジンの安全事項

    • エンジンのガバナの設定を変えたり、エンジンの回転数を上げすぎたりしないでください。

    • 燃料を口で吸い出さないでください。ポンプで抜きとるかタンクが空になるまで運転してください。燃料タンクからの燃料の抜き取り作業は屋外で行う。

    エンジンオイルについて

    エンジンを始動する前に、適切な粘度のエンジンオイルを 560 cc ほどクランクケースに入れてください。オイルは、API(米国石油協会)の SJ またはそれ以上のグレードの高品質オイルを使用します。外気温度に合った適切なタイプのオイルを選んでください。図 28図に、外気温と粘度の関係を示します。

    g013375

    Note: マルチグレードオイル(5W-20, 10W-30, 10W-40)を使用する場合は、消耗が早くなります。これらのオイルを使用する場合は、ご注意ください。

    エンジンオイルの量を点検する

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • エンジンオイルの量を点検する。
  • エンジンオイルの点検は、毎日始動前のエンジンの冷えている時に行うのがベストです。運転後に行う場合は、オイルがオイル溜めに戻るまで最低10分間待って点検するようにしてください。

    1. エンジンを止め、各部が完全に停止するのを待つ;エンジンの停止手順を参照。

    2. エンジンが水平になるように駐車し、オイル補給口の周囲をきれいに拭く(図 29)。

      g266053
    3. ディップスティックを左に回して抜きとる。

    4. ディップスティックを抜き取ってウェスでオイルを拭き取る。

    5. ディップスティックを補給管に完全に差し込む が、ねじ込まない

    6. ディップスティックを抜いてエンジンオイルの量を点検する(図 30)。

      g019686
    7. エンジンオイルの量が不適切な場合には、適量まで補給または減らす;エンジンオイルの量を点検するを参照。

    エンジンオイルの交換

    整備間隔整備手順
    使用開始後最初の 20 時間
  • エンジンオイルを交換する。
  • 100運転時間ごと
  • エンジンオイルを交換する。
  • 警告

    エンジン運転直後にはオイルが非常に高温になっている可能性がある。高温のオイルに触れると大変危険である。

    オイルを抜き取るときに、高温のエンジンに触れないように注意すること。

    1. エンジンを止め、各部が完全に停止するのを待つ;エンジンの停止手順を参照。

    2. ドレンプラグの下に廃油受け容器を置く。

    3. ドレンプラグ、ワッシャ、ディップスティックを外す(図 29)。

    4. オイルが抜けやすいようにエンジンを傾ける。

    5. オイルが完全に抜けたら、エンジンを水平位置に戻し、ドレンプラグと新しいワッシャを取り付ける。

      Note: 廃油はリサイクルセンターに持ち込むなど適切な方法で処分してください。

    6. オイル補給口から、オイルをゆっくりと所定レベルまで入れる。

    7. オイルの量が適切であることをディップスティックで確認する;エンジンオイルの量を点検するを参照。

    8. ディップスティックを根元までねじ込む。

    9. こぼれたオイルはふき取る。

    10. 点火コードを接続する。

    エアクリーナの整備

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • エアフィルタのエレメントを点検する。
  • 50運転時間ごと
  • エアフィルタのエレメントを洗浄する。
  • 300運転時間ごと
  • ペーパーエレメントを交換する(ほこりの多い環境で使用しているときには整備間隔を短くする)。
  • Important: エアフィルタアセンブリを外したままでエンジンを運転しないでください。エンジンに大きな損傷が起きる恐れがあります。

    1. エンジンを止め、各部が完全に停止するのを待つ;エンジンの停止手順を参照。

    2. エアクリーナカバーを固定している蝶ナットを外す(図 31)。

    3. エアクリーナカバーを外す。

      Note: エアクリーナカバーからベースにごみやほこりが落ちていないか点検する。

    4. ベースからスポンジエレメントとペーパーエレメントを外す。

    5. ペーパフィルタからスポンジエレメントを外す。

    6. スポンジエレメントとペーパーエレメントを点検する;汚れがひどかったり破損している場合は交換する。

      g265999
    7. ペーパーエレメントを軽くたたいて、たまっているごみを落とす。

      Note: ペーパーエレメントの汚れ落としにはブラシを使わないでください。繊維の中に汚れを押しこんでしまいます。ペーパーエレメントを軽くたたいて、たまっているごみを落とす。

    8. スポンジはぬるま湯と石鹸で洗うか、非引火性の溶剤で洗浄する。

      Note: スポンジエレメントの洗浄にはガソリンを使わないでください。爆発炎上する危険があります。

    9. スポンジエレメントを十分にすすいで完全に乾燥させる。

    10. ベースとカバーについている汚れをぬらしたウェスでふき取る。

      Note: ごみやほこりがダクトから侵入してキャブレターに入らないことを確認する。

    11. エアクリーナに各エレメントを確実に取り付ける。下側の蝶ナットを取り付ける。

    12. カバーを取り付け、上側の蝶ナットを取り付けて固定する。

    点火プラグの整備

    整備間隔整備手順
    100運転時間ごと
  • 点火プラグの点検と調整を行い、必要に応じて交換する。
  • 300運転時間ごと
  • 点火プラグを交換する。
  • 点火プラグはNGK BPR 6ES又は同等品を使用します。

    1. エンジンを止め、各部が完全に停止するのを待つ;エンジンの停止手順を参照。

    2. 点火プラグの周囲をきれいにする。

    3. シリンダヘッドから点火プラグを外す。

      Important: 汚れその他の不具合のある点火プラグは交換してください。点火プラグにサンドブラストをかけたり、ナイフ状のもので削ったり、ワイヤブラシで清掃したりしないでください。破片がシリンダ内に落ちてエンジンを損傷します。

    4. プラグのすきまを 0.7-0.8 mm に調整する

      g000533
    5. 点火プラグを注意深く(ねじ山をナメらないように)、手で出来るだけ固く取り付ける。

    6. 新しい点火プラグの場合はそこから ½ 回転だけ増し締めする;使用中のプラグの場合は ⅛-¼ 回転だけ増し締めする。

      Important: 点火プラグの締め付けがゆるいと非常に高温となりエンジンを損傷します;締め付けすぎはエンジンのねじ溝を損傷します。

    7. 点火コードを接続する。

    制御系統の整備

    走行ケーブルの調整

    走行ケーブルは、フリクションディスクとプレッシャプレートとの間のすきまが 1.1 mm になるように調整してください。

    1. クラッチカバーを外して、フリクションディスクとプレッシャプレートへのアクセスを確保する(図 33)。

      g274480
    2. ジャムナットをゆるめ、走行ケーブルを調整してフリクションディスクとプレッシャプレートとの間のすきまを 1.1 mm にする(図 34と図 35)。

      g274532
      g274479

    常用/駐車ブレーキの調整

    運転中にブレーキ(常用・駐車)がスリップするようになったら調整してください。

    1. 駐車ブレーキを解除する。

    2. 駐車ブレーキハンドルの端部で遊びの長さを測定する(図 36)。

      ハンドルの遊びが 12.7 - 25.4 mm であればの適正。遊びがこの範囲にない場合には、ステップ3に進んでブレーキケーブルを調整する。

      g373542
    3. 以下の要領でブレーキケーブルの張りの調整を行う:

      • ケーブルの張りを強くするには、ケーブルの前ジャムナットをゆるめて後ジャムナットを締める(図 37)。必要に応じて上記ステップ2を繰り返して再調整する。

      • ケーブルの張りをゆるくするには、ケーブルの後ジャムナットをゆるめて前ジャムナットを締める(図 37)。必要に応じて上記ステップ2を繰り返して再調整する。

    g304662

    リール制御ケーブルの調整

    リール制御ケーブルのたるみは、以下の手順でを取り除きます:

    1. リール速度コントロールノブを高速位置にセットする;リール速度の調整を参照。

    2. 後側のジャムナットをゆるめ、前側のジャムナットを締める(図 38)。

    g311125

    スロットルケーブルを調整する

    エンジン速度(低速および高速)の調整は、ケーブルコンジットとスロットル制御ストップの調整によって行います;エンジン速度(低速)の調整エンジン速度(高速)の調整を参照。

    エンジン速度(低速)の調整

    Note: エンジン速度の測定用にタコメータを用意してください。

    1. 平らな場所に停車して駐車ブレーキを掛ける。

      Note: エンジンが通常の運転温度に達したことを確認してから調整を行うようにしてください。

    2. エンジンを始動し、スロットルコントロールでローアイドルに設定する。

    3. タコメータでローアイドルの速度を測定する。

      ローアイドルの理想範囲:1,800 - 2,000 rpm

    4. ケーブルコンジットのクランプのねじをゆるめる(図 39)。

      g315295
    5. ケーブルコンジットの位置を調整して、エンジン速度が 1,900 rpm となるようにする。

    6. ケーブルコンジットのクランプのねじを締め付ける。

    エンジン速度(高速)の調整

    Note: エンジン速度の測定用にタコメータを用意してください。

    1. 平らな場所に停車して駐車ブレーキを掛ける。

      Note: エンジンが通常の運転温度に達したことを確認してから調整を行うようにしてください。

    2. エンジンを始動し、スロットルコントロールでハイアイドルに設定する。

    3. タコメータでハイアイドルの速度を測定する。

      ハイアイドル(CE 諸国を除く)の理想範囲:3,350-3,550 rpm。ハイアイドルが 3,350 rpm 未満または 3,550 rpm 超の場合には、手順4-7を行って 3,350-3,550 rpm の範囲に調整する。

      CE 規制に適合させる必要がある場合には、エンジンのハイアイドル速度を以下の数値に調整してください:

      • 1018 マシン:3,000 rpm

      • 1021 と 1026 マシン:3,150 rpm

    4. エンジンを停止する。

    5. 各マシンで、以下の手順でコントロールカバーを取り外す:

      • 1018: シリアル番号が 405619513 以下のマシン

      • 1021: シリアル番号が 405674843 以下のマシン

      • 1026: シリアル番号が 405583584 以下のマシン

      1. アワーメータに接続されているワイヤハーネスを外す(図 40)。

        g280735
      2. コントロールカバーを後パネルに固定しているねじを外してコントロールカバーを外す(図 41)。

        g280734
    6. タコメータでハイアイドル速度を確認しながらスロットルのストップを調整する。

      • ハイアイドル速度を高くするには、ストップを上げる

      • ハイアイドル速度を低くするには、ストップを下げる

      Note: ストップの調整はラチェットで行えます。古いマシン(5に挙げたシリアルよりも若いマシン)では、レンチを使ってコンソール下のナットを押さえておく必要があります。新しいマシンではモールドナットを使用しているのでレンチは不要です。

      g315331
    7. エンジンを始動させ、ハイアイドルの設定を確認する。

      3に示すハイアイドル速度になっていれば、調整は終了。

    8. コントロールカバーを外した場合には、以下の方法で取り付ける:

      1. 先ほど外したボルトを使って、カバーを後パネルに固定する。

      2. アワーメータにワイヤハーネスを接続する。

    ハンドルアイソレーション部の締め付け

    整備間隔整備手順
    使用開始後最初の 20 時間
  • ハンドルアイソレーション部の締め付けを行う。
    1. 平らな場所に駐車する。

    2. 43に示すボルトとナットをゆるめる。

      g289358
    3. ハンドルを前方向へ押せるところまで一杯に押す。

    4. その状態のままで、ステップ 2 でゆるめたボルトとナットを 50-75 N·m(6.9-7.6 kg.m = 37-55 ft-lb)にトルク締めする。

      Note: ハンドルを支えながらトルク締めする作業は二人で行ってください。

    5. ハンドルから手を離す。

    カッティングユニットの保守

    刃物を取扱う上での安全確保

    カッティングユニットのリールを点検する時には安全に十分注意してください。リールに触れる時は必ず手袋を着用してください。

    磨耗したり破損したりしたリール刃や下刃は使用中に割れて破片が飛び出す場合があり、これが起こるとオペレータや周囲の人間に多大の危険を及ぼし、最悪の場合には死亡事故となる。

    • リール刃や下刃が磨耗や破損していないか定期的に点検すること。

    • ブレードの点検を行うときには安全に十分注意してください。必ず手袋を着用してください。リールと下刃は研磨するか交換するかのみ行い、たたいて修復したり溶接したりしないでください。

    カッティングユニットの取り付け手順

    カッティングユニットを取り付ける(モデル 04820)

    1. キックスタンドをカッティングユニット整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

    2. リール駆動アセンブリをサイドプレートに固定している部品を外す(図 44)。

      g333187
    3. サオドプレートから、リール駆動アセンブリ、平ワッシャ、スプリングワッシャ、スペーサを外す(図 44)。

    4. カッティングユニットをフレームに合わせる。

    5. ソケットヘッドねじ(4 本)でカッティングユニットをフレームに固定する(図 45)。

      g333153
    6. 先ほど外したソケットヘッドねじ、ワッシャ、スペーサを使ってリール駆動アセンブリをサイドプレートに元通りに取り付ける(図 46)。

      リール駆動アセンブリの駆動シャフトをトランスミッションの駆動シャフトのカップラに忘れずに取り付ける(図 46)。

      g333165

    カッティングユニットを取り付ける(モデル 04830 と 04840)

    1. キックスタンドをカッティングユニット整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

    2. カッティングユニットをフレームに合わせる。

    3. ソケットヘッドねじ(4 本)でカッティングユニットをフレームに固定する(図 47)。

      g333188
    4. カッティングユニット駆動カップラをトランスミッションの駆動シャフトに接続する(図 47)。

      カップラがシャフトにスムーズに納まればよい。スムーズに入らない場合、リール駆動シャフトとトランスミッションの駆動シャフトが整列していない;リール駆動シャフトの位置を調整するを参照。

    5. 集草バスケットを取り付ける

    リール駆動シャフトの位置を調整する

    その場合は、リール駆動シャフトを調整(リール駆動アセンブリの位置を調整)する:

    1. 48に示すボルトをゆるめる。

      g304660
    2. リール駆動アセンブリの位置を調整してリール駆動をトランスミッションの駆動シャフトに整列させる。

    3. 先ほどゆるめたボルトを締め付ける。

    以上の調整でまだスムーズに入らない場合には、エンジンとトランスミッションとの整列状態を調整する;サービスマニュアルを参照。

    カッティングユニットの取り外し

    カッティングユニットを取り外す(モデル 04820)

    1. キックスタンドをカッティングユニット整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

    2. 集草バスケットがついている場合には取り外す。

    3. カッティングユニットからリール駆動アセンブリを外す(図 49)金具類は捨てないこと。

      g333165
    4. カッティングユニットをフレームに固定しているソケットヘッドねじ(4 本)を外す(図 50)。

      g333153
    5. カッティングユニットを取り外す。

    カッティングユニットを取り外す(モデル 04830 と 04840)

    1. キックスタンドをカッティングユニット整備位置にセットする;キックスタンドを参照。

    2. 集草バスケットがついている場合には取り外す。

    3. カッティングユニット駆動カップラをトランスミッションの駆動シャフトから外す(図 51)。

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    4. カッティングユニットをフレームに固定しているソケットヘッドねじ(4 本)を外す(図 51)。

    5. カッティングユニットを取り外す。

    カッティングユニットのバックラップ

    以下の表から、トラクションユニットに合うバックラップキットを探し出す:

    キットの名称/モデル番号対応するトラクションユニット
    アクセスバックラップキット(モデル 139-4342)モデル 04820, 04830, 04840
    バックラップキット(モデル 04800)モデル 04830, 04840

    各キットの 取り付け要領書にある操作手順を参照のこと。 これらのキットは弊社代理店でお求めになれます。

    保管

    格納保管時の安全確保

    • エンジンを停止させ、(キー付きの機種では)キーを抜き取り、各部の動作が完全に停止したのを確認してから運転位置を離れる。調整、整備、洗浄、格納などは、機体が十分に冷えてから行う。

    • ガス湯沸かし器のパイロット火やストーブなど裸火や火花を発するものがある近くでは、機械や燃料容器を保管・格納しないでください。

    マシンの保管

    1. 機体各部に付着している泥や刈りかすをきれいに落とす。特にエンジンのシリンダヘッドや冷却フィン部分やブロアハウジングを丁寧に清掃する。

      Important: 機体は中性洗剤と水で洗うことができます。ただし高圧洗浄器は使用しないでください。また、シフトレバーのプレートやエンジン部に大量の水を掛けないように注意してください。

    2. 長期間(30日間以上)にわたって保管する場合には燃料タンクのガソリンにスタビライザ/コンディショナを添加する。

      1. エンジンをかけ、5 分間ほどかけてコンディショナ入りの燃料を各部に循環させる。

      2. エンジンを停止してガソリンを抜き取る。または燃料切れで停止するまで運転する。

      3. エンジンを再度始動して自然に停止するまで運転する。チョークを引いて再始動する。まったく始動できなくなるまでこれを続ける。

      4. 点火プラグのコードを外す。

      5. 抜き取った燃料は地域の法律などに従って適切に処分する。廃油などはそれぞれの地域の法律などに従って適正に処分する。

        Note: スタビライザ(品質安定剤)を添加した燃料であっても、スタビライザメーカーが推奨する保管期間を越えて保管しないでください。

    3. 機体各部のゆるみを点検し、必要な締め付けや交換、修理を行う。摩耗した部品や破損した部品はすべて修理または交換する。

    4. 機体の塗装がはげていればタッチアップ修理をする。ペイントはトロの正規代理店から入手することができる。

    5. 汚れていない乾燥した場所で保管する。機体にはカバーを掛けておく。