はじめに

このカッティングユニットは、集約的で高度な管理を受けているゴルフ場や公園、スポーツフィールド、商用目的で使用される芝生に対する刈り込み管理を行うことを主たる目的として製造されております。この機械は本来の目的から外れた使用をすると運転者本人や周囲の人間に危険な場合があります。

この説明書を読んで製品の運転方法や整備方法を十分に理解し、他人に迷惑の掛からない、適切で安全な方法でご使用ください。この製品を適切かつ安全に使用するのはお客様の責任です。

製品の安全や取り扱い講習、アクセサリなどに関する情報、代理店についての情報の入手、お買い上げ製品の登録などをネットで行っていただくことができます:www.Toro.com

整備について、また純正部品についてなど、分からないことはお気軽に弊社代理店またはカスタマーサービスにおたずねください。お問い合わせの際には、必ず製品のモデル番号とシリアル番号をお知らせください。図 1にモデル番号とシリアル番号を刻印した銘板の取り付け位置を示します。いまのうちに番号をメモしておきましょう。

Important: シリアル番号プレートについている QR コード(無い場合もあります)をモバイル機器でスキャンすると、製品保証、パーツその他の製品情報にアクセスできます。

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この説明書では、危険についての注意を促すための警告記号(図 2)を使用しております。これらは死亡事故を含む重大な人身事故を防止するための注意ですから、必ずお守りください。

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この他に2つの言葉で注意を促しています。重要 は製品の構造などについての注意点を、はその他の注意点を表しています。

この製品は、関連する全ての欧州指令に適合しています。詳細についてはこの冊子の末尾にあるDOI(適合宣誓書)をご覧ください。

安全について

この機械は、EN ISO 5395: 規格およびANSI B71.4-2017 規格に適合しています。

安全に関する一般的な注意

この製品は手足を切断する能力がある。重大な人身事故を防ぐため、すべての注意事項を厳守してください。

  • 本機をご使用になる前に必ずこのオペレーターズマニュアルをお読みになり、内容をよく理解してください。

  • この機械を運転する時は常に十分な注意を払ってください。運転中は運転操作に集中してください;注意散漫は事故の大きな原因となります。

  • 機械の可動部の近くには絶対に手足を近づけないでください。

  • ガードなどの安全保護機器が正しく機能していない時は、運転しないでください。

  • 排出口の近くに手足などを近づけないでください。

  • 作業場所に、無用の大人、子供、ペットなどを近づけないでください。子供に運転させないでください。

  • 運転席を離れる前に:

    • 平らな場所に駐車する。

    • カッティングユニット下降

    • 駆動系統をOFFにする。

    • 駐車ブレーキを掛ける(装備車の場合)。

    • エンジンを止め、(キーのある機種では)キーを抜き取る。

    • 全ての動きが停止するのを待つ。

間違った使い方や整備不良は人身事故などの原因となります。事故を防止するため、以下に示す安全上の注意や安全注意標識 Graphic のついている遵守事項は必ずお守りください 「注意」、「警告」、および「危険」 の記号は、人身の安全に関わる注意事項を示しています。これらの注意を怠ると死亡事故などの重大な人身事故が発生する恐れがあります。

カッティングユニットの安全確保

  • トラクションユニットに取り付けたカッティングユニットは、機械の一部となります。ですから、トラクションユニットのオペレーターズマニュアルもお読みになって、機械全体を安全に取り扱う方法を良く学んでください。

  • 異物をはね飛ばしたときや機体に異常な振動を感じたときにはまずマシンを停止し、キー付きのマシンではキーを抜き取り、各部の動きが止まってからよく点検してください。異常を発見したら、作業を再開する前にすべて修理してください。

  • 各部品が良好な状態にあり、ボルトナット類が十分にしまっているか常に点検してください。読めなくなったステッカーは貼り替えてください。

  • アクセサリ、アタッチメント、交換部品は、必ずトロの純正品をお使いください。

刈り込みブレードについての安全事項

磨耗の進んだブレードや破損したブレードは、回転中にちぎれて飛び出す場合があり、これが起こるとオペレータや周囲の人間に多大の危険を及ぼし、最悪の場合には死亡事故となる。

  • ブレードが磨耗や破損していないか定期的に点検すること。

  • ブレードを点検する時には安全に十分注意してください。ブレードをウェスでくるむか、安全手袋をはめ、十分に注意して取り扱ってください。ブレードは研磨または交換のみ行い、たたいて修復したり溶接したりしないでください。

  • 複数のブレードを持つ機械では、1つのブレードを回転させると他も回転する場合がありますから注意してください。

安全ラベルと指示ラベル

Graphic

危険な部分の近くには、見やすい位置に安全ラベルや指示ラベルを貼付しています。破損したりはがれたりした場合は新しいラベルを貼付してください。

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組み立て

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

カートンからカッティングユニットを取り外す

  1. カートンの 4 つの角に縦に切り込みを入れて四面の壁を床面まで平らに開く。

  2. ホイールハブについている出荷用キャップを取り外す。

    Note: 出荷用キャップは保管してください。リールを研磨する時には、研磨くずがベアリングに入らないように、出荷用キャップを取り付けてください。

車輪を取り付ける

この作業に必要なパーツ

車輪2
キャップスクリュ4
ロックワッシャ4
  1. ホイールハブについている出荷用キャップを取り外す。

  2. キャップスクリュとロックワッシャを使用して駆動ホイールを取り付ける(図 3)。

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製品の概要

重量11 枚刃7 枚刃5 枚刃(すべて 40.6 cm セミニューマチックタイヤを装着し、牽引バーを含めない重量)114 kg 112 kg 110 kg
1.054 m (鉄製ホイール装着時)、1.143 m(セミニューマチックタイヤ装着時)
高さ40.6 cm または 45.7 cm (タイヤによる)

運転操作

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

ベッドナイフとリールが軽く触れあうように調整する

Important: カッティングユニットをセットアップして牽引フレームに取り付けたら、ベッドナイフとリールが軽く触れあうように調整してください。この調整は実際に刈り込みを行う芝生の上で行ってください。刈り込み時には芝草がベッドナイフを下から押し上げてリールに押し付けるため、これを考慮した調整が必要です。鋭利な刃先を維持して刈り込みを行うためには、ベッドナイフとリールが軽く触れあっていることが必要です。

  1. カッティングユニットの後ろに立つ。

  2. スローアウトノブ(図 4)を解除する。注意深くリールを逆転させて、リールが自由に回転することを確認する。

  3. リールをゆっくりと逆転させながら、ベッドナイフとリールとの接触がなくなるところまで調整ノブ(図 4)を左に回す。

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  4. リールをゆっくりと逆転させながら、調整ノブ(図 4)を 1 クリックずつゆっくり右に回して、ベッドナイフとリールとを接触させる。ムチ打ちのようなシュッシュッという音が聞こえればよい。

    Note: 調整ノブが確実にクリック固定しないときは、スプリングアーム(クリッカー)を調整アームのリテーナに固定しているキャップスクリュをゆるめてクリッカーの位置の微調整を行ってください。調整後はキャップスクリュを締め付けてください。

  5. 刃合わせ(ベッドナイフとリールの接触)ができたら、手でリールを逆転させて「惰力」で何回転するか観察する。リールが 1-2 回、惰力で回転すれば問題ない。1 回転しない場合は、刃合わせがきつすぎる;ベッドナイフとリールとの接触をもっと軽くする;ステップ 1、3、4 を参照。

  6. 刈り込みを行う当日、リールがまだ使用前で冷たいときに、スローアウトノブを「入」にする(図 4)。カッティングユニットを 15-20 分間程度動作させてベッドナイフとリールが通常動作温度になったところで運転をやめる。次に、スローアウトノブを「切」にして、手でリールを逆転させてみる。ガリガリした音ではなく、サラサラした接触音が聞こえればよい。サラサラした軽い接触音が聞こえない場合は、刃合わせを行う;ステップ 3-5 を参照。使用直後などでリールの温度が高い場合には、ステップ 1-5 のみを行って、ベッドナイフとリールとの接触を調整する。

    Important: 絶対に、ベッドナイフとリールが冷たい状態で刃合わせを行わないでください。ベッドナイフもリールも刈り込み中に熱を帯びてきて膨張するので、当たりが強くなってしまいます。当たりが強くなると、ベッドナイフとリールとの接触が不均等になり、刈り上がりが悪くなります。軽い刃当たりが理想です。刃当たりが軽いければ摩耗が少なくなり、鋭利な刃先が長もちします。刈り上がりに問題がなくとも、少なくとも 4 時間ごとに刃合わせの調整を行ってください。まばらにしか生えていない場所を刈る時や気温の高い場所で刈る時は、刃合わせが変化しやすいので、点検間隔をさらに短くしてください。作業後にしばらく時間をおいて(1 時間以上)再び刈り込みを行うような場合には、刈り込みを再開してから 15-20 分後くらいをめどにして刃合わせの点検を行ってください;ステップ 1-6 を参照。

リールと下刃の調整を行う

  1. カッティングユニットを水平な作業台の上に置く。ベッドナイフとリールの刃先部分にグリスやペイントなどがついている場合はそれらをきれいに取り除く。

  2. スローアウトノブ(図 5)を「切」にセットし、ベッドナイフ調整ノブを左に回してベッドナイフとリールの接触をなくす。

  3. リールとベッドナイフとの間に短冊状に切った新聞紙を入れる。リールを逆転させながら、ベッドナイフ調整ノブ(図 5)を 1 クリックずつゆっくり右に回して、紙が軽く挟まれるようにする。この状態は紙を引っ張ると切れるか軽い抵抗を伴って紙が引き出される状態である。

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  4. 新聞紙を使って、カッティングユニットの端から端まで均一に軽い接触があることを確認する。端から端まで軽い接触が出ない場合は、ベッドナイフがリールに対して平行になっていない。

  5. 左側ベッドバーピボットボルトのナットをゆるめて偏芯ボルトが使えるようにする。

  6. ベッドナイフがリールに対して平行になるように、偏芯ボルトで調整する(図 6)。左側ピボットボルトは偏芯ねじとなっており、回転させるとちょうどカムのようにベッドバーを上下させる。左側ピボットボルトにはオフセットを示すドット(図 6)がついている。ドットが上位置にある時(図 6)ベッドバーの左端が高くなっている。ボルトを右に回してドットが下がってくると、ベッドバーの左端も下がってくる。調整は、後側の半円(180 度)範囲でドットを移動させて行う。

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  7. 左側ピボットボルトを回してベッドバー左端の上下位置を調整する。

  8. リールとベッドナイフとの間に短冊状に切った新聞紙を入れる。リールを逆転させながら、ベッドナイフ調整ノブを 1 クリックずつゆっくり右に回して、紙が軽く挟まれるようにする。この状態は紙を引っ張ると切れるか軽い抵抗を伴って紙が引き出される状態である。

  9. ベッドナイフの端から端まで軽い接触が出たことを確認できたら、ピボットボルトのナットを締め付け、その後にもういちど接触を確認して、締め付け時にピボットボルトがずれなかったことを確認する。必要に応じて再調整する。

    Important: 移動走行中や牽引フレームにカッティングユニットを取り付ける時には、ベッドナイフとリールが当たって損傷しないように、ベッドナイフ調整ノブを左に回して刃当たりをなくしておいてください。

刈り高の調整

刈高は後ローラの上げ下げで調整します。約 2.38 mm 間隔で調整することができます。

  1. ローラブラケット内部で調整ナットを固定しているキャップスクリュをゆるめる(図 7)。

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  2. ローラ調整ナットを希望位置のノッチにセットしてキャップスクリュを締め付ける。調整ナットの下のノッチの数が左右とも同じになるようにセットすること。

  3. 刈高を上げると、1 ノッチごとに刈高が 2.38 mm ずつ高くなる。

    Note: 上記の数値は作業台で設定した場合の刈高です。ターフの状態やカッティングユニットの重量のため、実際の刈高は必ずしもこの設定通りではありません。

  4. 刈高をさらに細かく調整したい場合には、調整ナットを 1/2 ノッチ(1.19 mm)動かす方法があります。これは以下の手順で行います:

    1. ローラブラケットをギアケースに固定しているキャップスクリュと調整ナットを外す。ローラブラケットは外さないこと。

    2. キャップスクリュと調整ナットを、ギアケースの上穴に付け替える。

    3. ローラブラケットを上または下に 1/2 ノッチずらして調整ナットが正しいノッチに入るようにしてキャップスクリュを締め付ける。

運転のヒント

  • 刈り込み速度—このカッティングユニットは、時速 1.6-9.66 km/h の範囲であれば良好な刈りを実現できますが、最も質の良い刈り上がりを実現するためには、時速 6.4-9.66 km/h の範囲で刈り込みを行うことをお奨めします。ただし、刈り込み中に旋回する場合は速度を落としてください。旋回時には外側のカッティングユニットの走行速度が上がってバウンド可能性があります。また、刈り込み速度が速すぎるとベッドナイフとリールの温度が高くなりすぎてこれらに悪影響を与えます。刈り込み中は芝草が潤滑剤として機能しますので、まばらな芝生、非常に乾燥した芝生、トリミング中などは刈り込み速度を落としてください。芝草による潤滑が非常にすくないと機器の温度が上がりすぎ、ベッドナイフとリールの接触が強くなりすぎて両者が不均一に摩耗し、刈り上がりが悪くなります。こうした事態を防止するため、刈り込みを行っていない時、すなわち刈り込み現場から次の現場への移動走行中は、必ずリールを解除しておいてください。

  • 刈高 — 実際の刈高を決定するために、刈り込みを行う芝草の草丈を測定してください。これに基づいて、草丈の 1/3 以上を一度に刈り取らない刈高を決定し、その刈高で適切な日数間隔で定期的に刈り込みを行うようにしてください。ニューマチックタイヤを装着したカッティングユニットでは、タイヤ空気圧を 2.413 bar(2.45 kg/cm2 = 35 psi)に維持してください。 タイヤ空気圧が低すぎるとベッドナイフが芝面に食い込んで芝を削る恐れがあります。また刈り上がりが不均一になることが考えられます。

  • 運転音 — 適切に調整されたカッティングユニットは、サラサラとした音を立てて作動します。ゴリゴリした音、カリッカリッとした音、金属音などがする時は、ベッドナイフとリールの接触が強すぎる可能性が高いです。異物が当たってリールやベッドナイフが損傷している可能性もあります。カッティングユニットの作動音が大きい場合は使用を中止し、修理、調整などを行わないと大きな損傷に発展する可能性があります。

  • 刈り込みのパターン — 芝草が一つの方向に倒れてしまわないように、また仕上がりがきれいに見えるように、可能であれば、刈り込みの方向を毎回変えるようにしてください。

刈り上がりが悪くなる原因

  1. ベッドナイフとリールの接触(図 8) – ベッドナイフとリールの接触は軽くなければなりません。これによって刃先が鋭利に保たれて美し良い刈り上がりになるのです。刃と刃を接触させずに使用すると、ベッドナイフとリールの間に砂粒や芝草を挟み込んでしまいます。これによって刃先が短時間で丸くなってしまい、刈り上がりが悪くなります。刃先が鈍くなってしまったベッドナイフとリールはラッピングが必要になります。摩耗の程度がひどい場合には、研磨をしてからラッピングを行うという手間が必要になります。切れが悪くなったからと言って、ベッドナイフとリールが強く接触するほどに締め付けてしまうと、偏摩耗が発生しますから、絶対に強く締めないでください。

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    Note: ベッドナイフとリールを強く接触させて使用すると、ベッドナイフとリールの両方が異常な摩耗(ライフリング)を起こします(図 9)。芝草が刈り込まれずに縞状に残って刈り上がり全体の印象が悪い場合はライフリングの疑いがあります。ライフリングを起こしたベッドナイフやリールは、研磨機に掛けて修正しなければなりません。

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  2. 異音 – 鋭利な刃先で軽い当たりに調整されたカッティングユニットは刈り込み音も軽快です。一方、刈り込み中にゴリゴリした音、カリッカリッとした音、金属音などがする時は、ベッドナイフとリールが強く当たっています。当たりが強いと、ベッドナイフとリールの両方に不規則な摩耗や波状の摩耗が発生します。このような摩耗は研磨する以外に修正の方法がありません。ベッドナイフとリールを適切に接触させて使用していても、接触面が徐々にすり減っていく結果として、ベッドナイフの両端部に角ができてきます。この部分にリール当たらないように、この角張った部分はヤスリで削り落としてください。

  3. リールベアリングのゆるみ – リールベアリングのゆるみが疑われた時は直ちに点検を行ってください。放置すると大きな損傷になります;リールベアリングの調整の項を参照。

  4. 異物に当たった場合石などの異物に当たってベッドナイフやリールが傷つくことがあります。ひどい損傷でなければ、その場で修正することが可能です。まずヤスリを使って刃の表面を滑らかに整形します(図 10)。リール刃が曲がっている場合は、丸頭ハンマーで真っ直ぐに修正します。ベッドナイフは弾性変形して位置ずれしているのが普通ですので、リールとの位置合わせをやり直してください;「ベッドナイフをリールに平行にする」を参照。

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保守

潤滑

カッティングユニットにグリスを注入する

各カッティングユニットの 4 ヶ所にグリスフィッティングがあります(図 11)。8 運転時間ごとにヘビーデューティタイプの No. 2 ホイールベアリング用グリスを注入してください。

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Note: シールやベアリングを使用している場所に高圧洗浄器の高圧水を当てないでください。異物がベアリングの内部に押し込まれてしまうおそれがあります。こうしたことが起こるとシールとベアリングが短時間で摩耗してしまいます。ユニットを水で洗浄した場合はすぐにグリスアップしてください。ベアリング内から水を追い出しておくことにより、ベアリングの寿命を延ばすことができます。

  1. グリスニップルの周囲をウェスできれいに拭く。

  2. グリスを注入する。グリスガンに圧力を感じたらベアリング内にグリスが十分に入っている。

    Important: それ以上無理にグリスを入れないこと。

  3. はみ出したグリスをふき取る。

ギアケースオイルの点検

  1. カッティングユニットを水平な作業台の上に置く。

  2. カッティングユニットの後部を持ち上げてローラの後方に延びているギアケースの底部と床面との距離が約 26 cm になるようにしてカッティングユニットを支える(図 12)。

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  3. 各ギアケースの内側にある補給プラグを外す(図 12)。ギアケース内部のオイル量を確かめる;補給口の高さまであれば適正。オイル量が適正であれば、補給プラグを元通りに取り付ける。

    Important: Oリング(ガスケット)が切れていないか、サイドプレートのボルトがゆるんでいないか点検してください。必要な修理を全部行ってから、オイルを適正量まで補給するようにしてください。

  4. 補給するオイルは、80W-90 ギア用潤滑油。補給口からあふれるところまで入れて補給プラグを取り付ける。

    Important: オイルを入れすぎないように注意してください。

ギアケースの潤滑油の交換

整備間隔整備手順
1年ごと
  • 左右のギアケースからオイルを抜き取ってケースを洗浄する。
  • ギアケースは適正量のオイルを入れて出荷しています。シーズンに一回、左右のギアケースからオイルを抜き取ってケースを洗浄してください。ギアケースをきれいにしたら 80W-90 ギアオイルを補給します;ギアケースオイルの点検を参照。

    ホイールハブの点検

    1. ホイールを外す。

    2. ホイールハブ(図 13)を手で回してベアリングの調整具合を点検する。ハブを回転させる時にわずかな抵抗が感じられればよい。まったく抵抗がない場合には、ホイールハブナット(図 13)を締めて抵抗を出す。

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      Important: ホイールハブナットを締め付けすぎないようにしてください。ベアリングの摩耗が早くなります。

    3. O リングが破損していないこと、また、ホイールハブの内側にきれいに嵌っていることを確認する(図 13)。

      Important: O リングの破損や不完全な取り付けは、ギアケースからのオイル漏れの原因となります。オイル漏れが進むとギアケースが損傷します。

    4. ニューマチックタイヤを装着している場合には、タイヤ空気圧を 2.413 bar(24.5 kg/cm2 = 35 psi)に調整する。.

    5. キャップスクリュとロックワッシャを使用して駆動ホイールを取り付ける(図 14)。

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    各部とリールベアリングの点検

    1. 中央の調整ノブを回してベッドナイフとリールの接触をなくす。リールを手で回転させてみる。リールが回転しない場合は、リールベアリングを調整する;整備の章のリールベアリングの調整の項を参照。リールが自由に回転する場合は、次のステップに進む。

    2. リールを前転・後転させてみる。リールを両方向に回転させられる場合には、ベアリングを調整する;リールベアリングの調整 を参照。

    3. 全部のボルト・ナット・ねじ類を点検し、各部にゆるみがないことを確認する。

    リールベアリングの調整

    リール端部に遊びが発見されたり、カッティングユニットを分解して再組立する場合には、リールベアリングの確認調整が必要になります。

    1. 左ホイールをハブに固定しているねじ 4 本を外してホイールを取り外す。ホイールをギアケースの下に置いて機体を支える。

    2. カッティングユニットの後部を持ち上げてローラの後方に延びているギアケースの底部と床面との距離が約 17.8-20.3 cm になるようにしてカッティングユニットを支える。

    3. 点検カバーをギアケースカバーに固定しているキャップスクリュ(3 本)を外す。

    4. リールシャフトについている調整ナットを少しずつ右に回して、リールの遊びを完全になくす。

      Note: リールの回転を止める。

    5. 端部の遊びがなくなった点から、さらに 1/4 回転ナットを回してベアリングに予負荷を掛ける。

    6. 点検カバーとホイールを元通りに取り付ける。

    カッティングユニットの研磨

    Note: 研磨についてのさらに詳しい説明は、 Toro リール/ロータリー・モアのための研磨マニュアル( Form No. 09168SL)を参照してください。

    未使用のベッドナイフや使用して摩耗したベッドナイフは研磨を行う必要があります。真っ直ぐな刃先を作るために、ベッドバーに取り付けた状態で研磨してください。図 15 を参照して、できるだけ正確な角度に研磨してください。研磨に際しては砥石を強く当てないように注意してください。あまり強く当てると発熱してベッドナイフの品質が変わったり、寿命が短くなったりします。

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    16にランド部とリリーフ(二番)角を示してあります。 ランド部とは、リール刃のうち、実際にベッドナイフと接触する部分(ハサミの動作をして草を切り取る時に接触する部分)を言います。リリーフ(二番)角は、リール刃の裏側を削って付ける角度で、ベッドナイフに当たるリール刃の面積を減らすためのものです。 リリーフ(二番)の推奨角度は 15 度です。

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    Note: 手入れをせずにリールを使い続けると、リール刃とベッドナイフとの接触面積が大きくなってきて、最終的にはリール刃の厚みすべてがランド部になってしまいます。このこと自体は自然なことで、リールを再研磨しないと効率が悪くなるということはありません。リール刃の端から端まで全体が鋭利な刃先を維持しているように頻繁に調整を行えば、このような状態になっても効率的に刈り込みを続けることができます。リールとベッドナイフの研磨が終了したら、以下の調整を行ってください。

    1. 刈り高を調整する。

    2. リールと下刃の調整を行う。

      Note: ベッドナイフとリール刃は継続的に接触しているので、使用期間が長くなるとベッドナイフの全長にわたり、切先部に小さなバリが出来てきます。時々ヤスリでこのバリを取り除いてやると切れ味が向上します。

      ベッドナイフとリールの刃先が少し丸くなってきた程度で、特に大きな傷がなければ、ラッピングコンパウンドを使用したラッピングだけで、鋭利で当たりの良い刃先を取り戻すことができます。リールベアリングやベッドナイフの調整やラッッピングで十分な刃先を作れるのに、研磨が必要であると判断されることが多くあります。

    カッティングユニットのラッピング

    カッティングユニットのラッピング準備は以下のように行います:

    1. 右車輪を取り外す。

    2. ホイールをギアケースの下に置いて機体を支える。

    3. リールのピニオンカバーを外す(図 17)。

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    4. リール回転停止。

    5. ラッピングマシンのカップラをリールシャフトのナットに接続する。

      市販の適切な粒径のラッピングコンパウンドを使用してラッピングを行ってください。最初は中目のコンパウンドを使い、仕上げには細めを使用してください。液体洗剤液 1 に対してラッピングコンパウンド 2 を混合すると良いでしょう。液体洗剤液を使うと終了後の洗浄が大変楽になります。水洗い可能なオイルを使用しても同じ効果が得られます。

      Note: ラッピングコンパウンドがこびりついた状態でなく、自由に流れてベッドナイフとリールの刃面を均等に覆うようにしてください。

      ラッピング手順は以下の通りです:

    1. ベッドナイフとリールが軽く接触する状態に調整する。

    2. ラッピングマシンを始動してリールを逆転させる。ラッピングコンパウンドを常時塗りつけるようにしてベッドナイフとリールを常時接触させる。

    3. 時々ラッピングマシンを止めて刃先が鋭利になったかどうか確かめる。鋭利な刃先が回復するまで続ける。

      Note: ベッドナイフとリールの刃先がひどく丸まってしまっている場合には、研磨とラッピングの両方が必要になります。

    4. ラッピングコンパウンドを完全に洗い落とす。紙を使って各カッティングユニットの切れ味をテストする。ユニットの端から端まで全体にわたって紙をきれいに切ることができない場合には、もう一度ラッピングする。

    ベッドナイフの交換

    1. ベッドナイフをベッドバーに固定しているねじ(11 本)を外す。

    2. ベッドバーの表面についている錆や汚れをきれいに落とし、ベッドバーの表面に薄くオイルを塗る。

    3. ねじ穴をきれいに掃除する

    4. ベッドナイフ固定ボルトに固着防止パウンドを塗ってベッドナイフをベッドバーに固定する(図 18)。

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      1. 外側の 2 本のねじを 1 N·m(1.15 kg.m=10 in-lb)にトルク締めする;図 19を参照。

      2. ベッドナイフの中央から交互に左右に、各ねじを 23-28 N·m(2.3-2.9 1 kg.m = 200-250 in-lb)にトルク締めする;図 19を参照。

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    5. ベッドバーに取り付けたベッドナイフを研磨して直線と平面を出す。Toro リール/ロータリー・モアのための研磨マニュアル( Form No. 09168SL)を参照。

    6. ベッドナイフの正しい線と面が出たら、リール、ローラ、ホイールベアリングを調整する;リール、ローラ、ホイールベアリングの調整を参照。

    リール、ローラ、ホイールベアリングの調整

    使用開始後、最初の 30 運転時間で、リールベアリング、ローラベアリング、ホイールベアリングの点検を行ってください。その後は、200-250 運転時間ごとに同様の点検を行ってください。必要に応じてリールベアリングを調整する。必要に応じてローラベアリングを調整する。必要に応じてホイールベアリングを調整する。

    ローラの整備

    ローラの分解

    1. ローラの左右端部からブラケットとワッシャを取り外してブッシュを点検する。

    2. 弾性ストップナットを外す。

      Note: 弾性ストップナットを外したら、ローラシャフトからスリーブを抜き取り、容器の上でローラの端部を下に向けながらローラシャフトを抜き取ると、ローラ内部に入っている潤滑油を容器に回収してください。

    3. ローラシャフトを交換する場合には、ダブルジャムナットも外す。

    4. 残っているスリーブとシールを、ローラの左右端部から外す。

    5. ローラの両端部からベアリングコーンを外す。

    6. 注意深く、ベアリングカップを外す。

    7. シールリムーバを使って内側シールを外す。

    ローラの組み立て

    1. 内側シールのリップ部分に薄くオイルを塗る。ローラの左右端部に内側シールを取り付ける。ガータースプリングを内側に向けて取り付けること。

    2. ベアリングカップを取り付けて、ベアリングコーンをローラに入れる。

    3. 外側シールのリップ部分に薄くオイルを塗る。ローラの左右端部に外側シールを取り付ける。ガータースプリングを内側に向けて取り付けること。

    4. スリーブ 1 枚をローラシャフトに取り付けて、ダブルジャムナットに当てる。

    5. ローラシャフトのねじ山部分が傷つかないようにセロハンテープでまき、シャフトをローラの右側から入れる。ローラシャフトが右側の一番奥のシールを貫通するまで、ローラに通す。

    6. 約 500 ml の SAE 90 または 140 ギアオイルをローラハウジングに入れる。

    7. オイルを入れたら、ローラシャフトを注意深くローラアセンブリに通す。セロハンテープを外す。

    8. スリーブをローラシャフトに取り付け、ベアリングコーンに被せる。

    9. 弾性ストップナットを取り付け、ダブルジャムナットで固定する。弾性ストップナットを締め付ける。

      Note: 弾性ストップナットは、ローラシャフトおよびベアリングの軸方向および径方向のあそびがなくなるまで締め付けてください。締め付け後、ローラが自由に回転できることを確認してください。

    10. ベアリングに、ヘビーデューティ使用の No. 2 ホイールベアリング用グリスを注入する。

    11. ワッシャを取り付け、左右のブラケットとブッシュアセンブリを取り付ける。

      Important: カッティングユニットの組み立てが完了したら、以下の重要な調整を行ってください:

      1. リールベアリングと固定具を点検する。

      2. 刈り高を調整する。

      3. リールと下刃の調整を行う。