はじめに

このロータリーカッティングデッキは、乗用型の装置に取り付けて使用する専門業務用の製品であり、そのような業務に従事するプロのオペレータが運転操作することを前提として製造されています。この製品は、集約的で高度な管理を受けているスポーツフィールドや商用目的で使用される芝生に対する刈り込み管理を行うことを主たる目的として製造されております。本機は、雑草地や道路わきの草刈り、農業用地における刈り取りなどを目的とした機械ではありません。

この説明書を読んで製品の運転方法や整備方法を十分に理解し、他人に迷惑の掛からない、適切で安全な方法でご使用ください。この製品を適切かつ安全に使用するのはお客様の責任です。

弊社のウェブサイト www.Toro.com で製品やアクセサリ情報の閲覧、代理店についての情報閲覧、お買い上げ製品の登録などを行っていただくことができます。

弊社のウェブサイト www.Toro.com で安全講習や運転講習の狩猟、アクセサリ情報の閲覧、代理店についての情報閲覧、お買い上げ製品の登録などを行っていただくことができます。

整備について、また純正部品についてなど、分からないことはお気軽に弊社代理店またはカスタマーサービスにおたずねください。お問い合わせの際には、必ず製品のモデル番号とシリアル番号をお知らせください。モデル番号とシリアル番号はカッティングユニット後部のカバーの下に取り付けた銘板に表示されています。いまのうちに番号をメモしておきましょう。

この説明書では、危険についての注意を促すための警告記号図 1を使用しております。死亡事故を含む重大な人身事故を防止するための注意ですから必ずお守りください。

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この他に2つの言葉で注意を促しています。重要「重要」は製品の構造などについての注意点を、はその他の注意点を表しています。

この製品は、関連する全ての欧州指令に適合しています。詳細についてはこの冊子の末尾にあるDOI(適合宣誓書)をご覧ください。

安全について

この機械は、EN ISO 5395:2013 規格およびANSI B71.4-2012 規格に適合しています。

安全ラベルと指示ラベル

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危険な部分の近くには、見やすい位置に安全ラベルや指示ラベルを貼付しています。破損したりはがれたりした場合は新しいラベルを貼付してください。

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組み立て

キャリアフレームを調整する(グランドマスター 3500-D と 3500-Gのみ)

前カッティングデッキを調整する

前カッティングデッキと後カッティングデッキではアームへの取り付け位置が異なります。前カッティング・デッキには2ヶ所の取り付け位置があり、刈り高とデッキに必要な回転角度によって取り付け位置を選びます。

  1. 刈り高設定を 20~76 mm として使用する場合には、前側の低い取り付け穴にキャリア・フレームを取り付けます(図 2)。

    Note: カッティング・デッキをこの位置に取り付けておくと、急な上りマウンド状の地形に対してデッキがより高く移動することができます。ただし、マウンドの頂上部を乗り越えるときの、チェンバとキャリアとの間の隙間は小さくなります。

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  2. 刈り高設定を 63~100 mm として使用する場合には、前側の高い取り付け穴にキャリア・フレームを取り付けます(図 2)。

    Note: カッティング・デッキをこの位置に取り付けておくと、チェンバの位置が高くなる分だけキャリアとの間の隙間は小さくなりますが、上方への移動距離は小さくなります。

後ろのカッティングデッキの調整

前カッティングデッキと後カッティングデッキではアームへの取り付け位置が異なります。後カッティングデッキの取り付け位置は一箇所のみで、フレーム下のサイドワインダーに整列させて取り付けます。

後カッティングデッキは、刈り高に関係なく後側の取り付け穴を使って取り付けます(図 2)。

刈り高を調整する

Important: このカッティング・デッキをリール式の芝刈り機と同じ刈り高に設定した場合、実際の刈り高はリールモアよりも約 6 mm 低くなるのが普通です。従って、同じ場所を同じ刈り高で刈りたい場合には、このデッキの刈り高設定を 6 mm 高くすることを考慮してください。

Important: 後デッキに作業を行う場合には、トラクタから外して行う方がずっと簡単です。サイドワインダ(Sidewinder®)を装備している場合には、カッティングデッキを右側にスライドさせ、後カッティングデッキを外し、機体の右側に引き出すのが最も簡単です。

  1. カッティング・デッキを降下させ、エンジンを止め、スイッチからキーを抜き取る。

  2. 各刈り高ブラケットを刈り高プレート(前と右と左)に固定しているボルトをゆるめる(図 3)。

  3. まず前から調整を始めるので、ボルトを外す。

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  4. チェンバを支えておきながらスペーサを取り外す(図 3)。

  5. 希望の刈り高にチェンバを合わせ、その刈り高の穴とスロットにスペーサを通す(図 4)。

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  6. プレートとスペーサを整列させる。

  7. ボルトを仮止め(指締め)する。

  8. デッキの左右でも上記 4-7の調整を行う。

  9. 全部のボルトを 41 N·m (4.2 kg.m)にトルク締めする。必ず、前のボルトを先に締めること。

    Note: 刈り高の変更が38 mm 以上の場合(例えば 31 mm から 70 mmへ変更する場合)には、一度に変えるのでなく、中間の刈り高に一度セットして、それから目的の刈り高に変えるというように 2 段階で変更しないと、スペーサがうまく入らない場合があります。

ローラ・スクレーパ(オプション)の調整

オプションの後ローラ・スクレーパは、ローラと平行に、0.5~1.0 mm の隙間を開けてセットするのが最も良い設定です。

  1. グリス・ニップルと取り付けねじを外す(図 5)。

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  2. スクレーパを上下させて、ロッドとローラとの間のすき間を0.5~1.0 mm に調整する。

  3. グリス・ニップルとねじを交互に締め付けながら、最終的に41 N·m (4.2 kg.m)にトルク締めする。

マルチング・バッフル(オプション)の取り付け

  1. チェンバの後壁および左側面の壁についている取り付け穴を十分に清掃して異物を取り除く。

  2. 後部の取り付け穴にマルチングバッフルを取り付け、フランジヘッドボルト 5 本で固定する(図 6)。

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  3. どのマルチングバッフルもブレードに触れていないこと、また後チェンバ壁面の内側にはみ出ていないことを確認する。

    警告

    ハイリフトブレードでの刈り込みにマルチングバッフルを使用してはならない。ブレードが折れて人身事故にいたる危険がある。

製品の概要

Note: 仕様および設計は予告なく変更される場合があります。

寸法諸元(概算値)

長さ 86.4 cm
86.4 cm
高さ24.4 cm(キャリア・マウントまで)26.7cm(刈高 18mm のとき)34.9cm(刈高 102mm のとき)
重量88 kg

アタッチメントとアクセサリ

トロが認定した各種のアタッチメントやアクセサリがそろっており、マシンの機能をさらに広げることができます。 詳細は弊社の正規サービスディーラ、または代理店へお問い合わせください。www.Toro.comでもすべての認定アタッチメントとアクセサリをご覧になることができます。

運転操作

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

ブレードの選択

標準コンビネーションセイル

草の状態に関係なく、非常に効率よく草を立たせ、刈りかすをきれいに分散させます。立ち上げをより強く(あるいは弱く)、また排出速度をより強く(あるいは弱く)したい場合には、別種類のブレードの使用を考慮してください。

特徴: ほとんどの条件で効率よく草を立たせ、刈りかすをきれいに分散させる。

山形セール

このブレードは、一般的には低い刈り高(19 mm~64 mm)に向いています。

特徴:

  • 刈り高を低くしても、刈りかすが均一に散る。

  • 刈りかす左側へ片寄る傾向が抑えられるので、バンカーやフェアウェイの周りがきれいに見える。

  • 密集した芝で刈り高が低い方が小さなパワーで刈れる。

ハイリフト平行セイル

高い刈り高(70 mm~100 mm)に向いています。

特徴:

  • 上昇気流も排出速度も大きい。

  • 密度の低い芝生や柔らかい芝生で刈り高を高くしたときに、芝草をしっかりと立たせる。

  • 濡れてくっつきやすくなった刈りかすを効率良く排出し、デッキが詰まりにくい。

  • 運転に大きなパワーを必要とする。

  • 刈りかすが左側へ片寄る傾向が強いので、刈り高が低いと刈りかすが畝状にたまりやすい。

警告

ハイリフトブレードでの刈り込みにマルチングバッフルを使用してはならない。ブレードが折れて人身事故にいたる危険がある。

アトミックブレード

落ち葉のマルチングに素晴らしい性能を発揮するブレードです。

特徴: 落ち葉のマルチングに最適

ヒント

刈り込みは芝が乾いている時に

刈り込みは、朝露を避けて遅めの午前中か、直射日光を避けて午後遅くに行いましょう。露があると草がかたまりになりやすく、また刈りたての草は強い直射日光に当たるとダメージを受けます。

条件に合った刈り高の設定を

一度に切り取る長さは25 mm以内に抑えましょう。草丈の1/3 以上は刈り取らないのが原則です。成長期の密生している芝生では刈り高設定をさらに一目盛り上げる必要があるかもしれません。

いつも鋭利なブレードを使うこと

刃先が鋭利であれば、芝草の切り口もきれいです。切れ味の悪い刃先は芝草を引きちぎるので、切り口が茶色に変色し、芝草の成長を悪くし、また病気にもかかりやすくなります。ブレードの状態が良いこと、また、セール部分にまったく欠落がないことが大切です。

デッキのコンディションを確認しましょう

デッキのチェンバ(ブレードのある空間)を良いコンディションに維持してください。チェンバの内部が曲がっていたりしたら、元通りに修正し、ブレードとチェンバの壁との間に十分なすきまを確保してください。

作業後の洗浄と点検

きれいな刈りあがりを維持するために、カッティング・デッキの裏側をきれいに洗浄してください。刈りカスがこびりつくと、刈り込みの性能が十分に発揮されなくなります。

アクセサリの選択

オプション機器の構成
 アングル・セール・ブレードハイリフトパラレルセイルブレード(マルチングバッフルと同時に使用しないこと)マルチングバッフルローラ・スクレーパ
刈高: 19~4.4 mm ほとんどの場合に推奨密度の低いまたはまば らな草地で使用可能寒地型の芝草を少なくとも週 3 回刈る (草丈の1/3 以上を切 り込まない)場合に刈りカスの分散をきれいにする。 ハイリ フト・ブレードと共用できないローラに刈りかすがこびりつく、刈りかすが広く平らにかたまって残るなどの場合にはいつでも使用 してよい。場合により、刈りかすの塊が 増える場合がある
刈高: 50~64 mm 密度の高いまたはよく 繁茂した草地に推奨密度の低いまたはま ばらな草地に推奨
刈高: 70~100 mm よく茂った草地で使用 可能ほとんどの場合に推奨
落ち葉のマルチングマルチングバッフルの使用を推奨使用禁止コンビネーションセイルまたはアングルセイルとのみ使用可能
長所低い刈高で刈りかすを均等に分散。バンカーやフェアウェイまわりでの仕上がりがきれい。パワー消費が少ない草をしっかり立たせ、排出力も強い密度の低いまばらなターフを高い刈高で刈り込むことができるぬれてべたつく刈りかすも効率よく排出する用途により刈りかすの分散をきれいにし刈り上がりを美しく見せることができる。落ち葉のマルチングに非常に効果がある。ローラへの刈りかすのこびりつきを減らす。
短所刈高が高いと十分に草を立たせられない 草がぬれているとデッ キ裏側にこびりついて刈り上がりが悪くなりパワー消費も増える用途によってはパワー消費が大きくなる 旺盛に成長した草を低く刈ると刈りかすがうね状にあつまる傾向が出るマルチングバッフルと一緒に使用しないこと一度に大量の草を処理しようとするとデッキ内部にたまりを作る。 

保守

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

推奨される定期整備作業

整備間隔整備手順
使用するごとまたは毎日
  • ブレードの停止に要する時間を確認します。
  • 50運転時間ごと
  • ベアリングのグリスアップ
  • 注意

    始動キーをつけたままにしておくと、誰でもいつでもエンジンを始動させることができ、危険である。

    整備・調整作業の前には必ずエンジンを停止し、キーを抜いておくこと。点火コードが点火プラグに触れないように十分離しておくこと。

    カッティングデッキ・サービスラッチの使用方法(グランドマスター 3500-D と 3500-G のみ)

    刈り込みデッキの整備を行う際には、事故防止のために整備用ラッチを使用してください。

    1. サイドワインダーを使ってデッキを中央にセットする。

    2. カッティングデッキを移動走行位置に上昇させる。

    3. 駐車ブレーキをセットし、エンジンを止める。

    4. 前のキャリア・フレーム・リテーナからラッチのロッド(図 7)を外す。

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    5. 前カッティング・デッキの外側を持ち上げ、運転台前部のフレームについているピンにラッチを掛ける(図 7)。

    6. 運転席に座りし、エンジンを始動させる。

    7. カッティングデッキを刈り込み位置に下降させる。

    8. エンジンを止め、キーを抜き取る。

    9. カッティング・デッキを外す時は上記と逆の手順で行う。

    ベアリングのグリスアップ

    整備間隔整備手順
    50運転時間ごと
  • ベアリングのグリスアップ
  • 各カッティング・デッキについているスピンドルに2ヶ所のグリス・ニップルがあります。どちらのニップルからグリスを注入してもかまいません。通常の使用では 50 運転時間ごとに、リチウム系汎用2号グリスまたはモリブデン系グリスを使って、ブレード・スピンドル・ベアリング(図 8)の潤滑を行います。スピンドル・ハウジングの底(デッキの下にあります)から少量のグリスがはみ出てくるまでポンプでグリスを注入してください。

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    各カッティング・デッキについている後ローラごとに2ヶ所のグリス・ニップルがあります。通常の使用では 50 運転時間ごとに、リチウム系汎用2号グリスまたはモリブデン系グリスを使って、後ローラ・ベアリング(図 9)の潤滑を行います。

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    Important: ローラマウントのグリス注入用溝と、ローラシャフト端部のグリス注入穴をそろえて注入してください。ローラシャフトの片方の端部に合わせマークがついていますので、これを利用するとよいでしょう。

    カッティングデッキの取り外し

    1. 平らな場所に駐車し、カッティングデッキを降下させ、エンジンを停止して駐車ブレーキを掛ける。

    2. デッキから油圧モータを外す(図 10)。異物がつかないように、スピンドル上部にはカバーを掛けておく。

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    3. デッキのキャリア・フレームを昇降アームのピボット・ピンに固定しているリンチ・ピン(GM4700の場合はリテーナ・ナット)を外す(図 11)。

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    4. トラクションユニットからカッティングデッキを引き出す。

    トラクションユニットへのカッティングデッキの取り付け

    1. 平らな場所に駐車し、エンジンを停止する。

    2. カッティングデッキをトラクションユニットの前に置く。

    3. デッキのキャリアフレームを昇降アームのピボットピンにセットする。リンチ・ピンまたはリテーナ・ナット(GM 4700の場合)で固定する(図 11)。

    4. デッキに油圧モータを取り付ける(図 10)。Oリングを忘れずに、また、損傷させないよう注意して取り付ける。

    5. スピンドルにグリスを注入する。

    ブレード回転面の管理

    カッティング・デッキは出荷時に、刈り高 50 mm、ブレード・レーキ 7.9 mm に調整されています。また、左右の高さの差も、互いの ±0.76 mm以内に調整されています。

    カッティング・デッキは、ブレードが当たってもチェンバに変形が発生しない強度を持っています。しかし、硬いものがぶつかった後には、ブレードに破損が発生していないか、また、ブレードの回転面に狂いが発生していないか、必ず点検してください。

    ブレード回転面の検査

    1. デッキから油圧モータを外し、カッティング・デッキをトラクタから外す。

    2. ホイストを使うか(少なくとも2人がかりで)カッティング・デッキを平らな作業台の上に載せる。

    3. ブレードの片方の端にマジックなどで印をつける。以後、高さの点検はすべてこの印のついた側で行う。

    4. ブレードの印の付いているほうの端部を12時の位置(車両進行方向)に向け(図 12)、作業台の表面からブレードの切っ先までの高さを測定する。

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    5. 印の付いている端部を3時の位置と9時の位置に向けて(図 12)それぞれ高さを測定する。

    6. 12時位置での測定値を、刈り高の設定値と比較する。2つの値の差が 0.76 mm 以内であれば合格とする。3 時の位置と 9 時の位置での測定値は、12時の値よりも 3.8 ± 2.286 mm 高く、左右の値の差が 2.3mm 以内であれば合格とする。

    上記の範囲から外れている場合には、13ページの「ブレード回転面の調整」を行ってください。

    ブレード回転面の調整

    まず前を調整する(1度に1つのブラケットを調整する)。

    1. 刈り高ブラケット(前、左、右のうち1つ)をデッキのフレームから外す(図 13)。

    2. デッキのフレームとブラケットとの間に 1.5 mm または 0.7 mm のシムを入れて調整する(図 13)。

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    3. 余ったシムを刈り高ブラケットの下に入れ、刈り高ブラケットをデッキのフレームに取り付ける。

    4. ソケットヘッドボルト/スペーサとフランジナットを固定する。

      Note: ソケットヘッドボルトとスペーサとは、デッキフレームの内側に落ちないようにロクタイトで接着しています。

    5. 12時位置での高さを測定し、必要に応じて調整を行う。

    6. 左右の刈り高ブラケットの両方ともに調整が必要か、片方のみの調整でよいか判断する。3時または9時での測定値が、新たに計測した12時での値よりも 3.8 mm ± 2.2 mm 高い場合には、その側の調整は不要である。反対側を調整して、適正側の測定値との差を ±2.2 mm 以内にする。

    7. 上記1~3を繰り返して左右の刈り高ブラケットに必要な調整を行う。

    8. キャリッジ・ボルトとフランジ・ナットを固定する。

    9. もう一度、12時、3時、9時位置で高さの測定を行って確認する。

    ブレードの取り外し

    ブレードが堅いものに当たった、バランスが取れていない、磨耗した、曲がったなどの場合には新しいものと交換してください。安全を確保し、適切な刈りを行うために、ブレードは必ず Toro 社の純正品をお使いください。他社のブレードを使用すると危険な場合がありますから絶対にやめてください。

    1. カッティング・デッキを一番高い位置まで上昇させ、エンジンを停止し、駐車ブレーキを掛ける。カッティング・デッキが落下しないように支持ブロックでサポートする。

    2. ぼろきれや厚いパッドの入った手袋を使ってブレードの端部をしっかり握る。スピンドルのシャフトからブレードボルト、芝削り防止カップ、ブレードを取り外す(図 14)。

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    3. ブレードを取り付ける時は、セール(立ち上がっている部分)がカッティング・デッキの天井を向くように取り付け、芝削り防止カップをつけてブレード・ボルトで固定する(図 14)。各ブレード・ボルトを 85~110 ft.-lb(115~150 N·m = 11.8~15.2 kg.m)にトルク締めする。

    危険

    磨耗の進んだブレードや破損したブレードは、回転中にちぎれて飛び出す場合があり、これが起こるとオペレータや周囲の人間に多大の危険を及ぼし、最悪の場合には死亡事故となる。

    • ブレードが磨耗や破損していないか定期的に点検すること。

    • 破損したり割れたりしたブレードは絶対に溶接で修理しないこと。

    • 磨耗したり破損したりしたブレードは必ず交換する。

    ブレードの点検と研磨

    1. カッティング・デッキを一番高い位置まで上昇させ、エンジンを停止し、駐車ブレーキを掛ける。カッティング・デッキが落下しないように支持ブロックでサポートする。グランドマスター 3500-D と 3500-Gでは、サービスラッチを使用してデッキを固定する。

    2. ブレードの切っ先を注意深く観察、特に、直線部と曲線部が交わる部分をよく観察する(図 15)。この、直線部と曲線部の交差域は、砂などによる磨耗が進みやすい部分なので、機械を使用するまえによく点検することが必要。磨耗が大きい場合には(図 15)危険であるから交換する;「ブレードの取り外し」を参照。

      危険

      ブレードの磨耗を放置すると、ブレードのセール部と平坦部との間に割れ目が発生する(図 15)。この割れ目が拡大すると、最終的にはブレードがちぎれてハウジングの下から飛び出し、これがオペレータや周囲の人に重大な人身事故となる。

      • ブレードが磨耗や破損していないか定期的に点検すること。

      • 磨耗したり破損したりしたブレードは必ず交換する。

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    3. 全部のブレードの切っ先を丁寧に点検する。切っ先が鈍くなっていたり欠けていたりした場合には研磨する。研磨は刃先の上面だけに行い、刃の元々の角度を変えないように十分注意する(図 16)。ブレードの左右を均等に削れば、バランスを狂わすことなく研磨を行うことができる。

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    4. ブレードが真っ直ぐか曲がっているかを点検するには、平らな面において端部を観察する。ブレードの両端部が中心部よりもわずかに下がっており、刃部がブレードのヒール部(かかと、後部)よりも下がっているのが正しい形状である。このような形状であれば、刈りあがりがきれいで、しかもエンジンのパワーを浪費しない。逆に、両端部が中央部よりも高くなっていたり、刃部がヒール部よりも高くなっている場合、そのブレードは変形しているので交換すること。

    5. ブレードを取り付ける時は、セール(立ち上がっている部分)がカッティング・デッキの天井を向くように取り付け、芝削り防止カップをつけてブレード・ボルトで固定する。各ブレード・ボルトを 85~110 ft.-lb(115~150 N·m = 11.8~15.2 kg.m)にトルク締めする。

    ブレードの停止に要する時間を確認する

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • ブレードの停止に要する時間を確認します。
  • ブレード回転スイッチを OFF にしてからおよそ 5 秒以内にカッティング・デッキのブレードが完全に停止する必要があります。

    Note: ブレードが物を跳ね飛ばしたりホコリを巻き上げたりしないよう、この点検は、きれいに刈り込んだターフの上または平らな床の上で行ってください。

    停止時間を確認する時は、一人の人間がデッキの後方に、少なくとも 6m 離れて立ち、カッティング・デッキを見てブレードが停止するタイミングを見極めます。もう一人の人が運転席に座り、カッティング・デッキのスイッチを切ってからブレードが完全に停止するまでに掛かった時間を計ります。停止に要する時間が 7 秒以上の場合は、ブレーキバルブの調整が必要です。この調整は、弊社代理店に依頼してください。

    前ローラの整備

    前ローラに磨耗や過剰なガタ、固着などが発生していないか点検してください。これらの症状が見られたら、ローラの整備を行うか、必要部材の交換を行ってください。

    前ローラの分解

    1. ローラ取り付けボルトを外す(図 17)。

    2. ローラハウジングの端部からポンチを差し込み、ベアリングのインナーレースを均等に叩き込んで、ベアリングを反対側にたたき出す。インナー・レースのリップが、1.5 mm 露出しているのが適切である。

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    3. 2 つ目のベアリングはプレスを使って抜く。

    4. ローラハウジング、ベアリング、ベアリングスペーサに破損がないか点検する(図 17)。破損している部品を交換し、組み立てを行う。

    前ローラの組み立て

    1. 第一のベアリングをローラハウジングに押し込む(図 17)。アウターレースのみを押すか、インナーレースとアウターレースを均等に押すかする。

    2. スペーサを入れる(図 17)。

    3. 第二のベアリングをローラハウジングに入れる(図 17);このときは、インナーレースがスペーサに接触するまで、インナーレースとアウターレースを均等に押す。

    4. ローラ・アセンブリをデッキ・フレームに組み付ける。

      Important: ローラ・アセンブリを組み付けるとき、1.5 mm 以上の隙間をつくるとベアリングの側面に負荷がかかり、ベアリングが早期に損傷する恐れがありますから注意してください。

    5. デッキ・フレームのローラ取り付けブラケットとローラ・アセンブリとの間のすきまが 1.5 mm 以下であることを確認する。隙間が15 mm 以上ある場合は、直径 5/8インチ(15.8 mm)のワッシャを必要なだけ入れて隙間を埋める。

    6. 全部のボルトを 108 N・m(11 kg.m)にトルク締めする。

    保管

    カッティング・デッキをトラクションユニットから外した場合は、必ずスピンドルの上部にスピンドル・プラグを取り付けてホコリや水の浸入を防止してください。