保守
Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。
推奨される定期整備作業
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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50運転時間ごと |
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注意
始動キーをつけたままにしておくと、誰でもいつでもエンジンを始動させることができ、危険である。
整備・調整作業の前には必ずエンジンを停止し、キーを抜いておくこと。点火コードが点火プラグに触れないように十分離しておくこと。
カッティングデッキ・サービスラッチの使用方法(グランドマスター 3500-D と 3500-G のみ)
ベアリングのグリスアップ
整備間隔 | 整備手順 |
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50運転時間ごと |
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各カッティング・デッキについているスピンドルに2ヶ所のグリス・ニップルがあります。どちらのニップルからグリスを注入してもかまいません。通常の使用では 50 運転時間ごとに、リチウム系汎用2号グリスまたはモリブデン系グリスを使って、ブレード・スピンドル・ベアリング(図 8)の潤滑を行います。スピンドル・ハウジングの底(デッキの下にあります)から少量のグリスがはみ出てくるまでポンプでグリスを注入してください。

各カッティング・デッキについている後ローラごとに2ヶ所のグリス・ニップルがあります。通常の使用では 50 運転時間ごとに、リチウム系汎用2号グリスまたはモリブデン系グリスを使って、後ローラ・ベアリング(図 9)の潤滑を行います。

Important: ローラマウントのグリス注入用溝と、ローラシャフト端部のグリス注入穴をそろえて注入してください。ローラシャフトの片方の端部に合わせマークがついていますので、これを利用するとよいでしょう。
カッティングデッキの取り外し
トラクションユニットへのカッティングデッキの取り付け
ブレード回転面の管理
カッティング・デッキは出荷時に、刈り高 50 mm、ブレード・レーキ 7.9 mm に調整されています。また、左右の高さの差も、互いの ±0.76 mm以内に調整されています。
カッティング・デッキは、ブレードが当たってもチェンバに変形が発生しない強度を持っています。しかし、硬いものがぶつかった後には、ブレードに破損が発生していないか、また、ブレードの回転面に狂いが発生していないか、必ず点検してください。
ブレード回転面の検査
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デッキから油圧モータを外し、カッティング・デッキをトラクタから外す。
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ホイストを使うか(少なくとも2人がかりで)カッティング・デッキを平らな作業台の上に載せる。
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ブレードの片方の端にマジックなどで印をつける。以後、高さの点検はすべてこの印のついた側で行う。
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ブレードの印の付いているほうの端部を12時の位置(車両進行方向)に向け(図 12)、作業台の表面からブレードの切っ先までの高さを測定する。
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印の付いている端部を3時の位置と9時の位置に向けて(図 12)それぞれ高さを測定する。
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12時位置での測定値を、刈り高の設定値と比較する。2つの値の差が 0.76 mm 以内であれば合格とする。3 時の位置と 9 時の位置での測定値は、12時の値よりも 3.8 ± 2.286 mm 高く、左右の値の差が 2.3mm 以内であれば合格とする。
上記の範囲から外れている場合には、13ページの「ブレード回転面の調整」を行ってください。
ブレード回転面の調整
まず前を調整する(1度に1つのブラケットを調整する)。
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刈り高ブラケット(前、左、右のうち1つ)をデッキのフレームから外す(図 13)。
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デッキのフレームとブラケットとの間に 1.5 mm または 0.7 mm のシムを入れて調整する(図 13)。
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余ったシムを刈り高ブラケットの下に入れ、刈り高ブラケットをデッキのフレームに取り付ける。
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ソケットヘッドボルト/スペーサとフランジナットを固定する。
Note: ソケットヘッドボルトとスペーサとは、デッキフレームの内側に落ちないようにロクタイトで接着しています。
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12時位置での高さを測定し、必要に応じて調整を行う。
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左右の刈り高ブラケットの両方ともに調整が必要か、片方のみの調整でよいか判断する。3時または9時での測定値が、新たに計測した12時での値よりも 3.8 mm ± 2.2 mm 高い場合には、その側の調整は不要である。反対側を調整して、適正側の測定値との差を ±2.2 mm 以内にする。
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上記1~3を繰り返して左右の刈り高ブラケットに必要な調整を行う。
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キャリッジ・ボルトとフランジ・ナットを固定する。
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もう一度、12時、3時、9時位置で高さの測定を行って確認する。
ブレードの取り外し
ブレードが堅いものに当たった、バランスが取れていない、磨耗した、曲がったなどの場合には新しいものと交換してください。安全を確保し、適切な刈りを行うために、ブレードは必ず Toro 社の純正品をお使いください。他社のブレードを使用すると危険な場合がありますから絶対にやめてください。
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カッティング・デッキを一番高い位置まで上昇させ、エンジンを停止し、駐車ブレーキを掛ける。カッティング・デッキが落下しないように支持ブロックでサポートする。
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ぼろきれや厚いパッドの入った手袋を使ってブレードの端部をしっかり握る。スピンドルのシャフトからブレードボルト、芝削り防止カップ、ブレードを取り外す(図 14)。
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ブレードを取り付ける時は、セール(立ち上がっている部分)がカッティング・デッキの天井を向くように取り付け、芝削り防止カップをつけてブレード・ボルトで固定する(図 14)。各ブレード・ボルトを 85~110 ft.-lb(115~150 N·m = 11.8~15.2 kg.m)にトルク締めする。
危険
磨耗の進んだブレードや破損したブレードは、回転中にちぎれて飛び出す場合があり、これが起こるとオペレータや周囲の人間に多大の危険を及ぼし、最悪の場合には死亡事故となる。
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ブレードが磨耗や破損していないか定期的に点検すること。
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破損したり割れたりしたブレードは絶対に溶接で修理しないこと。
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磨耗したり破損したりしたブレードは必ず交換する。
ブレードの点検と研磨
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カッティング・デッキを一番高い位置まで上昇させ、エンジンを停止し、駐車ブレーキを掛ける。カッティング・デッキが落下しないように支持ブロックでサポートする。グランドマスター 3500-D と 3500-Gでは、サービスラッチを使用してデッキを固定する。
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ブレードの切っ先を注意深く観察、特に、直線部と曲線部が交わる部分をよく観察する(図 15)。この、直線部と曲線部の交差域は、砂などによる磨耗が進みやすい部分なので、機械を使用するまえによく点検することが必要。磨耗が大きい場合には(図 15)危険であるから交換する;「ブレードの取り外し」を参照。
危険
ブレードの磨耗を放置すると、ブレードのセール部と平坦部との間に割れ目が発生する(図 15)。この割れ目が拡大すると、最終的にはブレードがちぎれてハウジングの下から飛び出し、これがオペレータや周囲の人に重大な人身事故となる。
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ブレードが磨耗や破損していないか定期的に点検すること。
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磨耗したり破損したりしたブレードは必ず交換する。
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全部のブレードの切っ先を丁寧に点検する。切っ先が鈍くなっていたり欠けていたりした場合には研磨する。研磨は刃先の上面だけに行い、刃の元々の角度を変えないように十分注意する(図 16)。ブレードの左右を均等に削れば、バランスを狂わすことなく研磨を行うことができる。
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ブレードが真っ直ぐか曲がっているかを点検するには、平らな面において端部を観察する。ブレードの両端部が中心部よりもわずかに下がっており、刃部がブレードのヒール部(かかと、後部)よりも下がっているのが正しい形状である。このような形状であれば、刈りあがりがきれいで、しかもエンジンのパワーを浪費しない。逆に、両端部が中央部よりも高くなっていたり、刃部がヒール部よりも高くなっている場合、そのブレードは変形しているので交換すること。
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ブレードを取り付ける時は、セール(立ち上がっている部分)がカッティング・デッキの天井を向くように取り付け、芝削り防止カップをつけてブレード・ボルトで固定する。各ブレード・ボルトを 85~110 ft.-lb(115~150 N·m = 11.8~15.2 kg.m)にトルク締めする。
ブレードの停止に要する時間を確認する
整備間隔 | 整備手順 |
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使用するごとまたは毎日 |
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ブレード回転スイッチを OFF にしてからおよそ 5 秒以内にカッティング・デッキのブレードが完全に停止する必要があります。
Note: ブレードが物を跳ね飛ばしたりホコリを巻き上げたりしないよう、この点検は、きれいに刈り込んだターフの上または平らな床の上で行ってください。
停止時間を確認する時は、一人の人間がデッキの後方に、少なくとも 6m 離れて立ち、カッティング・デッキを見てブレードが停止するタイミングを見極めます。もう一人の人が運転席に座り、カッティング・デッキのスイッチを切ってからブレードが完全に停止するまでに掛かった時間を計ります。停止に要する時間が 7 秒以上の場合は、ブレーキバルブの調整が必要です。この調整は、弊社代理店に依頼してください。
前ローラの整備
前ローラに磨耗や過剰なガタ、固着などが発生していないか点検してください。これらの症状が見られたら、ローラの整備を行うか、必要部材の交換を行ってください。
前ローラの分解
前ローラの組み立て
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第一のベアリングをローラハウジングに押し込む(図 17)。アウターレースのみを押すか、インナーレースとアウターレースを均等に押すかする。
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スペーサを入れる(図 17)。
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第二のベアリングをローラハウジングに入れる(図 17);このときは、インナーレースがスペーサに接触するまで、インナーレースとアウターレースを均等に押す。
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ローラ・アセンブリをデッキ・フレームに組み付ける。
Important: ローラ・アセンブリを組み付けるとき、1.5 mm 以上の隙間をつくるとベアリングの側面に負荷がかかり、ベアリングが早期に損傷する恐れがありますから注意してください。
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デッキ・フレームのローラ取り付けブラケットとローラ・アセンブリとの間のすきまが 1.5 mm 以下であることを確認する。隙間が15 mm 以上ある場合は、直径 5/8インチ(15.8 mm)のワッシャを必要なだけ入れて隙間を埋める。
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全部のボルトを 108 N・m(11 kg.m)にトルク締めする。