はじめに

このロータリーカッティングユニットは、乗用型の装置に取り付けて使用する専門業務用の製品であり、そのような業務に従事するプロのオペレータが運転操作することを前提として製造されています。この製品は、集約的で高度な管理を受けているスポーツフィールドや商用目的で使用される芝生に対する刈り込み管理を行うことを主たる目的として製造されております。この機械は本来の目的から外れた使用をすると運転者本人や周囲の人間に危険な場合があります。

この説明書を読んで製品の運転方法や整備方法を十分に理解し、他人に迷惑の掛からない、適切で安全な方法でご使用ください。この製品を適切かつ安全に使用するのはお客様の責任です。

製品の安全や取り扱い講習、アクセサリなどに関する情報、代理店についての情報の入手、お買い上げ製品の登録などをネットで行っていただくことができます:www.Toro.com

整備について、また純正部品についてなど、分からないことはお気軽に弊社代理店またはカスタマーサービスにおたずねください。お問い合わせの際には、必ず製品のモデル番号とシリアル番号をお知らせください。図 1にモデル番号とシリアル番号を刻印した銘板の取り付け位置を示します。いまのうちに番号をメモしておきましょう。

Important: シリアル番号デカルについている QR コード(無い場合もあります)をモバイル機器でスキャンすると、製品保証、パーツその他の製品情報にアクセスできます。

g431233

この説明書では、危険についての注意を促すための警告記号(図 2)を使用しております。これらは死亡事故を含む重大な人身事故を防止するための注意ですから、必ずお守りください。

g000502

この他に2つの言葉で注意を促しています。重要 は製品の構造などについての注意点を、はその他の注意点を表しています。

この製品は、関連する全ての欧州指令に適合しています。詳細についてはこの冊子の末尾にあるDOI(適合宣誓書)をご覧ください。

警告

カリフォルニア州

第65号決議による警告

米国カリフォルニア州では、この製品を使用した場合、ガンや先天性異常などを誘発する物質に触れる可能性があるとされております。

安全について

安全に関する一般的な注意

この機械は手足を切断したり物をはね飛ばしたりする能力があります。重大な人身事故を防ぐため、すべての注意事項を厳守してください。

  • 本機をご使用になる前に必ずこのオペレーターズマニュアルをお読みになり、内容をよく理解してください。

  • この機械を運転する時は常に十分な注意を払ってください。運転中は運転操作に集中してください;注意散漫は事故の大きな原因となります。

  • 機械の可動部の近くには絶対に手足を近づけないでください。

  • ガードなどの安全保護機器が正しく機能していない時は、運転しないでください。

  • 排出口の近くに手足などを近づけないでください。

  • 作業場所に、無用の大人、子供、ペットなどを近づけないでください。子供に運転させないでください。

  • 運転席を離れる前に:

    • 平らな場所に駐車する。

    • カッティングユニット下降

    • 駆動系統をOFFにする。

    • 駐車ブレーキが掛かっていることを確認する。

    • 機械の電源を切り、キーを抜き取る。

    • 全ての動きが停止するのを待つ。

間違った使い方や整備不良は人身事故などの原因となります。事故を防止するため、以下に示す安全上の注意や安全注意標識 Graphic のついている遵守事項は必ずお守りください 「注意」、「警告」、および「危険」 の記号は、人身の安全に関わる注意事項を示しています。これらの注意を怠ると死亡事故などの重大な人身事故が発生する恐れがあります。

カッティングユニットの安全確保

  • トラクションユニットに取り付けたカッティングユニットは、機械の一部となります。ですから、トラクションユニットのオペレーターズマニュアルもお読みになって、機械全体を安全に取り扱う方法を良く学んでください。

  • マシンをぶつけたり、マシンが異常に振動したりする場合は、マシンを止めてすべての可動部品が停止するのを待ち、その後にバッテリー遮断スイッチをOFF位置にしてから、アタッチメントなどの点検を行ってください。異常を発見したら、作業を再開する前にすべて修理してください。

  • 各部品が良好な状態にあり、ボルトナット類が十分にしまっているか常に点検してください。読めなくなったステッカーは貼り替えてください。

  • アクセサリ、アタッチメント、交換部品は、必ずトロの純正品をお使いください。

安全ラベルと指示ラベル

Graphic

危険な部分の近くには、見やすい位置に安全ラベルや指示ラベルを貼付しています。破損したりはがれたりした場合は新しいラベルを貼付してください。

decal116-8283
decal120-6604
decal133-8061
decal127-0326

デカール 131-1180: モデル 31890 のみ

decal131-1180

デカール 137-5945: モデル 31890 のみ

decal137-5945

デカール 137-5946: モデル 31890 のみ

decal137-5946
decal137-8127

デカール 144-0542: モデル 31891 のみ

decal144-0542

デカール 144-0543: モデル 31891 のみ

decal144-0543
decal144-7008
decal147-2081
decal137-5949

組み立て

警告

スイッチにキーを差し込んだまま放置すると、誰でもを始動させることができ、人身事故を起こす可能性がある。

カッティングユニットを取り付ける前に、スイッチからキーを取り外すこと。

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

マシンの準備を行う

  1. 平らな場所に駐車する。

  2. ディスプレイを使用して重量移動設定をオフにする。トラクションユニットの取扱説明書を参照。

  3. 昇降アームを最も低い位置にする。

  4. 機械の電源を切り、キーを抜き取る。

カッティングユニットをトラクションユニットに取り付ける

この作業に必要なパーツ

六角ヘッドボルト2
ワッシャ 2
刈高ピン2
  1. カッティングユニットをトラクションユニットの前に置く。

  2. 昇降アームを押し下げて、キャスタアームの穴に合わせ、両方のアームにワッシャとボルトを通す。

  3. 昇降アームの穴をキャスタアームの穴に合わせる。

  4. 六角ヘッドボルト(2本)とワッシャ(2枚)でキャスタアームを昇降アームに連結する(図 3)。

    ワッシャーは湾曲側がボルトの頭に接するように配置すること (図 3)。

    カッティングユニットの取り付けにボルトを使用している場合:ボルトのねじ山にロッキングコンパウンドを塗る。

    g433394
  5. ボルトを所定トルクに締め付ける:

    • カッティングユニットの取り付けを初めて行う場合:

      ボルトを 256-313 N·m(2.0-2.5 kg.m = 189-231 ft-lb)にトルク締めする。

    • 二回目以降のカッティングユニットの取り付けの場合:

      ボルトを 195-239 N·m(2.0-2.5 kg.m = 144-176 ft-lb)にトルク締めする。

  6. カッティングユニットコネクタとマシンコネクタからカバーを取り外す(図 4)。

    カッティングユニットをマシンから取り外す間、各コネクタに取り付けるカバーは保管しておくこと。

    g482109
  7. カッティングユニットのコネクタをマシン側のコネクタ(図 5)に差し込む。

    g433399
  8. マシンのコネクタについているラッチを使って接続を固定する (図 6)。

    g451749
  9. 刈り高を設定する;刈高の調整を参照。

カッティングユニットの水平調整

カッティングユニットを水平にする。カッティングユニットの水平調整を参照。

カッティングユニットにグリスを注入する

カッティングユニットがその性能を正しく発揮できるよう、使用開始前に、各部の潤滑を行ってください;キャスタアームブッシュのグリスアップを参照。この作業を怠るとマシンに急激な磨耗が発生しますから注意してください。

製品の概要

Note: 仕様および設計は予告なく変更される場合があります。

刈り幅

モデル 31890: 1.52 m(60")

モデル 31891: 1.52 m(60")

刈高25-152 mm の範囲で 13 mm 刻みで調整可能
純重量

モデル番号 31890:190 kg

モデル番号 31891:200 kg

アタッチメントとアクセサリ

トロが認定した各種のアタッチメントやアクセサリがそろっており、マシンの機能をさらに広げることができます。詳細は弊社の正規サービスディーラ、または代理店へお問い合わせください;弊社のウェブサイト www.Toro.com でもすべての認定アタッチメントとアクセサリをご覧になることができます。

いつも最高の性能と安全性を維持するために、必ずToroの純正部品をご使用ください。他社の部品やアクセサリを御使用になると危険な場合があり、製品保証を受けられなくなる場合がありますのでおやめください。

運転操作

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

注意

始動キーをつけたままにしておくと、誰でもいつでも車両を始動させることができ、危険である。

調整やメンテナンスを行う前に、キースイッチからキーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOF位置に回すこと。

刈り上がりの評価

各ターフのコンディションは同じでなく、またトラクションユニットのカウンタバランスの設定も様々ですので、試験刈りを行って、刈りあがりを確認することをお奨めします。

  1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. カッティングデッキを希望する刈高に調整する;刈高の調整を参照。

  3. トラクションユニットの前タイヤおよび後タイヤの空気圧を、トラクションユニットのオペレーターズマニュアルの指示通りに調整する。

  4. ブレードが曲がっていないか点検する; ブレードの変形を調べるを参照。

  5. テストエリアで試験刈りを行って、カッティングユニットが適切な刈高で刈っているかどうかを確認する。

  6. カッティングユニットの調整が必要な場合は、以下を実行する:

    1. カッティングユニットの水平調整

    2. 刈高の調整

    3. カッティングユニットのピッチの調整

カッティングユニットの水平調整

Note: この作業は凹凸のない水平な場所で行ってください。

  1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. それぞれの外側スピンドルについているブレードを手で回して前後方向に向ける。

  3. 床面から刃先までの距離を測定する。

  4. カッティングユニットを移動走行位置に上昇させる。

  5. 希望する刈高に応じて、前キャスタフォークにシムを入れて調整する。

  6. ブレードを 180°回転させ、もう一度床面から刃先(後ろを向いている方の刃先)までの距離を測る。

  7. 刈高チェーンのUボルトの下側についているジャムナットをゆるめる(図 7)。

    g296783
  8. ブレード後端の高さが前端よりも 6-10 mm 高くなるように、ナット(図 7)でカッティングユニット後部の高さを調整する。

  9. ジャムナットを締めつける。

刈高の調整

刈高の調整範囲は 25-152 mm、調整間隔は 13 mm 刻みです。刈高を調整するには:

  1. マシンを平らな面に駐車し、カッティング ユニットを移動走行位置まで上げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. 以下の作業を行う:

キャスタホイールの軸を位置決めする

左右のキャスタフォークの同じ穴にキャスタホイールの軸をセットする。セッティング用の穴の選択については 図 8 および 図 9 を参照してください。

g031661
g296889

Note: 刈高が 64 mm 以上の場合には、キャスタホイールの軸(ボルト)を下穴にセットすると、ホイール(フォーク)部分に刈りかすがたまりにくくなります。刈り込み中に刈りかすがたまるようでしたら、マシンを後退させると刈りかすが落下します。

キャスタフォークのスペーサの設定

  1. スピンドルシャフトからテンショニングキャップを取り(図 8)、キャスタアームからスピンドルを抜き出す。最初についていたように、スピンドルシャフトにシムを 2 枚セットする。これらのシムは、デッキ全体の左右の水平調整に必要となる。

  2. 適正数のスペーサをシャフトにセットして希望の刈高にする(図 8)。

    刈高と、必要なシムの組み合わせとの関係は図 9にて確認する。

    Note: 刈高設定やカッティングユニットの水平調整を行う際、キャスタアームのハブの上側のシムの枚数と下側の枚数がどのような組み合わせになってもに問題ありません。

  3. キャスタアームにキャスタスピンドルを通す。

  4. スピンドルシャフトにシムを取り付け(当初の状態と同じに)、残りのスペーサも取り付ける。

  5. テンショニングキャップを取り付けてアセンブリを固定する。

刈高チェーンの位置決め

  1. 刈高チェーンをカッティングユニット後部に固定しているピンを外す(図 10)。

    g296784
  2. 刈高と、必要なシムの組み合わせとの関係は刈高デカルで確認する。

    Note: デカル(に掲載)は各刈高プレートの隣に貼ってあります。

  3. 刈高チェーンを刈高に合った穴にピンで固定する。

    ピンは、刈高チェーンの一番下の輪に通すこと。チェーン(図 10)はねじらないこと。

カッティングユニットのピッチの調整

6-9.5 mm の前傾姿勢(刈り込み刃の前端よりも後端の方が 6-9.5 mm 高い状態)を推奨しています。ピッチを大きく(9.5mm 超)すると、刈り込みに必要なパワーは小さくなりますが、クリップが大きくなり、刈り上がりが悪くなります。ピッチを小さく(6 mm 以下)すると、刈り込みに必要なパワーは大きくなりますが、クリップが小さくなり、刈り上がりが向上します。

  1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. カッティングユニットを希望の刈高にセットする。

  3. まず、1本のブレードを前後方向に向ける。

  4. 短い定規を使って、床面からブレードの前側の刃先までの高さを測る。ブレードを半回転させて後方に回し、床面からこの切っ先までの高さを測る。

  5. 後方での測定値から前方での測定値を引いた値がブレードのピッチとなる。

  6. 刈高チェーンのUボルトの上側または下側についているジャムナットをゆるめる(図 11)。

    g296783
  7. もう一組のナットは、カッティングユニットの後部の高さを上下して刈り込みデッキのピッチを調整するのに使用する。

  8. ジャムナットを締めつける。

芝削り防止ローラを調整する

刈高を変更した場合は、必ず芝削り防止ローラ (図 12または図 13) の高さを調整してください。

g431236
g431247
  1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. 14 に示すように、芝削り防止ローラを調整する。

    Note: 設定した刈高に一番近い数値の穴を、芝削り防止ローラの取り付け穴とする。

    g296902

スキッドを調整する

設定刈高が 64 mm 以上の場合はスキッドを低い方の取り付け位置、64 mm より低くする場合は高い方の位置に取り付ける。

  1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. スキッドからフランジヘッドボルトとナットを外す。

  3. スキッドを希望位置に合わせて、フランジヘッドボルトとナットでカッティングユニットに固定する(図 15)。

    g464413

フローバッフルを調整する

モデル 31890 のみ

刈り込みのコンディションに合わせて、デッキの排出フローを調整することができます。刈りあがりが最も良くなる位置に、バッフルをセットしてください。

  1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

  2. ナットをゆるめる(図 16)。

    g295677
  3. 希望の排出フローになるように、スロットの中でバッフルとナット位置を調整する;フローバッフルの位置調整を行うを参照。

  4. ナットを締めつける。

フローバッフルの位置調整を行う

モデル 31890 のみ

フローバッフルの各位置の説明を以下に挙げます。図 16 に示すバッフルの各位置(A, B, C)はデカルの絵と同じです。

各位置はあくまでも推奨です。草種や湿度、ターフの草丈などにより設定を変えてください。

A の位置

一番後ろにセットした状態です。以下のような条件で使うのに適しています。

  • 草丈が低く、軽い刈り込み

  • 乾燥した場所での刈り込み

  • 刈りカスが少ない刈り込み

  • 刈りカスを遠くへ飛ばしたい刈り込み

B 位置

集草を行うのに適した設定です。必ず、ブロアの開口部に合わせてください。

C 位置

一番開いた状態です。以下のような条件で使うのに適しています。

  • 草丈が高く、密度が高い刈り込み

  • 湿った場所での刈り込み

  • マシンの消費電力を削減する。

  • 重い芝刈り作業を、走行速度を上げて行いたい時

サイドディスチャージの使い方

モデル 31890 のみ

モデル31890のカッティング ユニットには、芝生に向かって横と下に刈り粉を分散させるヒンジ付きグラスデフレクターが付いている。

危険

デフレクタや、排出カバー、または集草アセンブリを確実に取り付けずに使用すると、人がブレードに触れたり、ブレードに跳ね飛ばされたものが人に当たったりするなどして極めて危険である。回転中のブレードに触れたり、跳ね飛ばされた物に当たると、けがをするばかりでなく場合によっては死亡する。

  • デフレクタは排出方向を下向きにする重要な部材であるから、絶対に取り外したままで刈り込みを行ってはならない。デフレクタが破損している場合には直ちに交換すること。

  • 刈り込みデッキの下には絶対に手足を差し入れないこと。

  • 刈り込みブレード部分や刈りかす排出部に触れる場合は、必ず事前に PTO (ブレード制御スイッチ) をOFF位置にし、イグニッションキーを OFF にしてキーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にすること。

  • デフレクタが降りた状態になっているのを必ず確認すること。

ヒント

刈り込みのクオリティ

刈り込みの方向

刈り込みの方向を変えるようにしましょう;同じルートで長期間刈り込むとターフにタイヤマークがついてしまいます。また、刈りかすの飛散方向も変わるので自然分解が促進され、栄養的にも有利です。

刈り込み速度

遅めの速度で刈り込むとカットの質が向上します。

刈高を下げすぎない

いままで使っていた芝刈り機よりも広い刈り幅で刈る場合には、以前の刈り高より少し高目の設定で刈って、以前と同じ刈高に仕上がるか、凹凸面を削らないか、確認してください。

条件に合った刈り高の設定を

一度に切り取る長さは25 mm以内に抑えましょう。草丈の1/3 以上は刈り取らないのが原則です。成長期の密生している芝生では、刈り込み速度を遅くしたり、刈り高設定をさらに一目盛り上げる必要があるかもしれません。

丈の高い草

草が少し伸びすぎてしまった場合や、芝生がぬれている場合には、通常よりも高い刈高で刈り込みを行ってください。その後に通常の刈り高に下げてもう一度刈るときれいに仕上がります。

カッティングユニットをきれいに維持する

芝刈り作業が終わったらホースと水道水でカッティングユニットの裏側を洗浄してください。カッティングユニットの内側に刈りかすやごみが溜まると切れ味が落ち、仕上がりが悪くなります。

火災の防止のため、バッテリー収納部やカッティングユニットに刈りかすやグリスがたまりすぎないように注意してください。こぼれた油は拭き取ってください。

ブレードの保守

  • 芝草を引き裂いたり引きちぎったりせずにきれいな刈り込みができるように、シーズンを通じて鋭利な刃先を維持するようにしましょう。切れ味の悪い刃先は芝草を引きちぎるので、切り口が茶色に変色し、芝草の成長を悪くし、また病気にもかかりやすくなります。

  • 刈り込みブレードに磨耗や破損が発生していないか毎回点検してください。必要に応じてブレードを研磨してください。

  • ブレードが破損したり磨耗したりした場合には、直ちに交換してください;トロの純正ブレードを使ってください。ブレードの取り外しと取り付けを参照してください。

保守

Note: 前後左右は運転位置からみた方向です。

推奨される定期整備作業

整備間隔整備手順
使用するごとまたは毎日
  • キャスタアームのブッシュの潤滑を行う。
  • ブレードを点検する。
  • 電気ケーブルの状態を確認する。
  • カッティングユニットを清掃する。
  • 50運転時間ごと
  • 各グリス注入部のグリスアップを行う。車体を水洗いしたときは直ちにグリスアップしてください。
  • 始業点検表

    このページをコピーして使ってください。

    点検項目第週
    刈り込みブレードの状態を点検する。       
    電気ケーブルの状態を確認すること。       
    グリスアップを行なう 1       
    塗装傷のタッチアップ修理を行う。       
    カッティングユニットを清掃する       

    1. 車体を水洗いしたときは整備間隔に関係なく直ちにグリスアップする。

    要注意個所の記録
    点検担当者名:
    内容日付記事
       
       
       
       

    注意

    キーをスイッチに差し込んだままにすると、誰かが誤ってマシンを始動させ、あなたや他の周囲の人に重傷を負わせる可能性があります。

    メンテナンスを行う前に、スイッチからキーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にすること。

    キャスタアームブッシュのグリスアップ

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • キャスタアームのブッシュの潤滑を行う。
  • 50運転時間ごと
  • 各グリス注入部のグリスアップを行う。車体を水洗いしたときは直ちにグリスアップしてください。
  • 定期的に、全部の潤滑個所にNo.2汎用リチウム系グリスを注入します。

    1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

    2. キャスタアームのブッシュの潤滑を行う(図 17)。

      g011557

    カッティングユニットを取り外す

    1. 平らな場所で、カッティングユニットを上昇させた状態で駐車する。

    2. カッティングユニットのサイドプレートから刈高ピン(図 18)を抜き取る。

      g296784
    3. カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外す。

    4. 昇降アームをキャスターアームに固定しているボルトとワッシャを取り外す(図 19)。

      g433394
    5. カッティングユニットのコネクタをマシン側のコネクタ(図 20)から外す。

      g433400
    6. カッティングユニットコネクタとマシンコネクタにカバーを取り付ける(図 21)。

      g482109

    キャスタアームのブッシュの整備

    キャスタアームのチューブには上側と下側にブッシュがはめ込んでありますが、これらのブッシュは使用に伴って磨耗してきます。

    ブッシュを点検するには、キャスタフォークを前後左右に揺り動かして見ます。ブッシュの中でキャスタのシャフトがぐらついているようならブッシュの磨耗が進んでいると判断し、交換してください。

    1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

    2. 各キャスタスピンドルの上部についているトーショニングキャップ、スペーサ、スラストワッシャを外す。

    3. キャスタスピンドルをチューブから引き抜く。スラストワッシャとスペーサは、スピンドルの一番下に残しておく。

    4. ピンポンチを使って、チューブの上または下からブッシュをたたき出す(図 22)。もう1個のブッシュについても同様にして取り出す。チューブの内部をきれいに清掃する。

      g004737
    5. 新しいブッシュの内外面にグリスを塗る。ハンマーと平たい板を使って、ブッシュをチューブにたたき込む。

    6. キャスタシャフトを点検し、必要に応じて交換する。

    7. ブッシュと取り付けチューブにキャスタスピンドルを通し、もう 1 枚のスラストワッシャと残りのスペーサをスピンドルに取り付け、テンショニングキャップをキャスタスピンドルに取り付ける。

    ブレードの整備

    刈り込みブレードについての安全事項

    磨耗の進んだブレードや破損したブレードは、回転中にちぎれて飛び出す場合があり、これが起こるとオペレータや周囲の人間に多大の危険を及ぼし、最悪の場合には死亡事故となる。

    • ブレードが磨耗や破損していないか定期的に点検すること。

    • ブレードを点検する時には安全に十分注意してください。ブレードをウェスでくるむか、安全手袋をはめ、十分に注意して取り扱ってください。ブレードは研磨または交換のみ行い、たたいて修復したり溶接したりしないでください。

    ブレードの変形を調べる

    機械を何かに衝突させてしまった場合には、機械に損傷がないか点検し、必要があれば修理を行ってください。点検修理が終わるまでは作業を再開しないでください。

    1. マシンを平らな面に駐車し、カッティング ユニットを搬送位置まで上げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー切断スイッチをオフの位置にします。

    2. カッティングユニットを整備位置まで上げる;トラクションユニットのオペレーターズマニュアル を参照。

    3. カッティングユニットの天井から各ブレードの前端の刃先までの距離を測る(図 23)。

      Note: 測定値を記録する。

      g010549
    4. ブレードを半回転させて後ろ側にあった刃先を前側にし、ステップ 3 と同じ位置で、カッティングユニットとブレードの刃先の距離を測る。

      Note: 上記手順3と4で記録した2つの測定値が 3 mm の差の中に収まっていれば適正である。この差が 3 mm を超える場合には、そのブレードが変形しているので交換する;ブレードの取り外しと取り付けを参照。

    ブレードの取り外しと取り付け

    ブレードが堅いものに当たった、バランスが取れていない、磨耗した、曲がったなどの場合には交換する必要があります。安全を確保し、適切な刈りを行うために、ブレードは必ず Toro 社の純正品をお使いください。

    1. マシンを平らな面に駐車し、カッティング ユニットを移動走行位置まで上げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

    2. カッティングユニットを整備位置まで上げる;トラクションユニットのオペレーターズマニュアル を参照。

    3. ブレードリテーナの平たい部分にレンチを当てるか、丈夫な手袋やウェスなどでブレードを握る。

    4. スピンドルのシャフトからブレードボルト、ワッシャ、ブレードを取り外す。

      g464417
    5. ブレードをシャフトに取り付ける。

      適切な刈り込みができるように、ワッシャーの向きが図 25に示すようになっていることを確認する。

      警告

      ブレードアセンブリの取り付けが不適切だったり、純正のブレードやブレード金具を使用しなかったりすると、ブレードやブレード関連部品がデッキの下から飛び出して死亡事故を含む重大な人身事故を引き起こす恐れがある。

      必ず、Toro 純正のブレードと部品を、説明書に従って使用すること。

      g464416
    6. スピンドルシャフトの平たい部分にレンチを当てて、ブレードボルトを 75-81 N∙m(7.7-8.3 kg.m = 55-60 ft-lb)にトルク締めする。

    ブレードの点検と研磨

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • ブレードを点検する。
  • 高品質の刈りを実現するためには、刃先と、刃先の反対側にある立ち上がった部分であるセイル部の両方が重要です。

    シーズンを通じて鋭利な刈り込みブレードを維持するようにしましょう。刃先が鋭利であれば、芝草をむしるような刈りにならず、切り口がきれいです。

    ブレードに過度の磨耗がないか、破損がないか点検してください。セイルは芝草を立たせて刈高を揃える重要部分ですが、使用に伴って摩耗してきます。

    1. マシンを平らな面に駐車し、カッティング ユニットを移動走行位置まで上げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

    2. カッティングユニットを整備位置まで上げる;トラクションユニットのオペレーターズマニュアル を参照。

    3. ブレードの切っ先を注意深く観察、特に、直線部と曲線部が交わる部分をよく観察する(図 26)。

      Note: この、直線部と曲線部の交差域は、砂などによる磨耗が進みやすい部分なので、機械を使用する前によく点検することが必要である。磨耗が進んでいる場合(図 26)にはブレードを交換する。

      g004653
    4. すべてのブレードの刃先を点検し、刃先が丸くなっていたり打ち傷がある場合には研磨する(図 27)。

      Note: 研磨は刃先の上面だけに行い、刃の元々の角度を変えないように十分注意する(図 27)。両方の刃先から等量を削るとブレードのバランスを維持することができます。

      g000276

      Note: ブレードを取り外し、研磨機で研磨する。刃先の研磨が終了したら、ブレードを取り付ける;ブレードの取り外しと取り付けを参照。

    デフレクタの交換

    モデル 31890 のみ

    警告

    排出口がデフレクタなどで覆われていないと、デッキから異物が飛び出して人に当たる恐れがあり、このようなことが実際におこると深刻な人身事故になりかねない。身体の一部がブレードに接触する事態も考えられる。

    • 必ず、カバープレート、マルチプレート、またはシュートと集草バッグを取り付けて運転すること。

    • デフレクタが降りた状態になっていることを確認すること。

    1. マシンを平らな場所に駐車し、カッティングユニットを下げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

    2. デフレクタをピボットブラケットに固定しているロックナット、ボルト、スプリング、スペーサを外す(図 28)。デフレクタを取り外す。

    3. デフレクタにスペーサとスプリングを取り付ける。L 形端部をカッティングユニット後部のエッジに引っ掛ける。

      Note: 必ずスプリングの L 字形端部をカッティングユニット後部のエッジに引っ掛け、それから 図 28 のようにボルトを取り付けてください。

    4. ボルトとナットを取り付ける。スプリングの右側の J 字形フックを、デフレクタに引っ掛ける(図 28)。

      Important: デフレクタを所定位置まで降ろすことができなければいけません。デフレクタを手で上向きにし、自力で下まで完全に下がることを確認してください。

      g000977

    電気ケーブルの点検

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • 電気ケーブルの状態を確認する。
  • カッティングユニットのコネクタケーブルとブレードモーターケーブル (図 29) に損傷や摩耗がないかを確認する。修理不十分のまま運転しないでください。

    g464415

    カッティングユニットの下の清掃

    整備間隔整備手順
    使用するごとまたは毎日
  • カッティングユニットを清掃する。
  • カッティングユニットの裏側にたまった刈りかすは毎日取り除いてください。

    Important: モーターやその他の電気部品を損傷する可能性があるため、高圧洗浄機を使用したり、カッティングユニット上部の電気部品に水を直接かけたりしないこと。

    警告

    圧縮空気の不適切な使用は、重大な怪我につながる。

    • 保護めがね、聴力保護具、防塵マスクなどの適切な身体保護具を着用すること。

    • 圧縮空気の吹き出し口を自分や他人に向けないこと。

    • エアコンプレッサーメーカーの説明書を参照して正しい操作と安全確保を行うこと。

    1. マシンを平らな面に駐車し、カッティング ユニットを移動走行位置まで上げ、マシンの電源を切り、キーを取り外し、バッテリー遮断スイッチをOFF位置にする。

    2. カッティングユニットを整備位置まで上げる;トラクションユニットのオペレーターズマニュアル を参照。

    3. 圧縮空気または水を使って、カッティングユニットの下からゴミを取り除く。

      Important: 高圧の水(圧力洗浄器)は使わないでください。

    保管

    1. PTOを解除し、走行ペダルをニュートラル位置に戻す。

    2. 運転位置を離れる時はマシンを停止させ、キーを抜き取り、各部が完全に停止したのを確認する。

    3. マシンが冷めるまで待ってから、マシンの調整、清掃、保管、修理を行うこと。

    4. カッティングユニットをきれいに洗浄する。特に以下の部分を入念に清掃してください:

      • カッティングユニットの裏側

      • コントローラーボックス(電装品など)

      • グリス注入部やピボット部

    5. カッティングデッキのブレードを外して研磨とバランス調整を行う。ブレードを取り付け、ブレードの取り外しと取り付けに従って指定のトルクで締めつける。

    6. ボルトナット類にゆるみながいか点検し、必要な締め付けを行う。

    7. グリス注入部やピボット部全部をグリスアップする。余分なグリスはふき取る。

    8. 塗装のはがれている部分に軽く磨きをかけ、タッチアップする。へこみを発見したら修理する。